【講師インタビュー】元NHKアナウンサーから医療・福祉の世界へ。内多勝康講師が歩んできたキャリアと挑戦

長年にわたりNHKのアナウンサー・キャスターとして第一線で活躍し、視聴者へ正確で信頼性の高い情報を届けてきた内多勝康講師。
その後、医療・福祉分野へと活動の場を広げ、現在は一般社団法人を設立し、インクルーシブな社会づくりに取り組んでいます。
一見すると大きなキャリアチェンジですが、お話を伺うと、その歩みの根底には一貫して人や社会の課題に向き合い、人と人をつなぐという軸がありました。
今回は、これまでのキャリアの歩みや人生の転機、そしてこれから講師として伝えたいことについて伺いました。
「本当はディレクターになりたかった」アナウンサー人生の始まり
Q. アナウンサーを志したきっかけを教えてください。
内多講師:
実は、もともとアナウンサー志望ではなかったんです。大学時代は人前で話すことがあまり得意ではなく、テレビ業界の裏方に魅力を感じていました。ドラマやドキュメンタリーを作るディレクターになりたくて、放送局もディレクター志望で受験しました。
ところがNHKだけがアナウンサーとして採用してくださったんです。当時のNHKは、取材力や企画力を持つ新しいタイプのアナウンサーを求めていた時期だったようで、結果的に30年間アナウンサーを続けることになりました。今となっては、本当に感謝しています。
キャリアを変えた一本の番組
Q. アナウンサー時代に最も印象に残っている仕事は何でしょうか。
内多講師:
2013年に担当した『クローズアップ現代』の医療的ケア児特集ですね。当時はまだ「医療的ケア児」という言葉自体がほとんど知られていませんでした。
医療の進歩によって多くの命が救われる一方、退院後の24時間ケアを家族だけで担わなければならない現実がありました。その課題を取材し、自ら企画提案した番組が放送されたんです。振り返ると、この一本の番組がその後の人生を大きく動かしたように思います。
「事実をもって語る」という信念
Q. アナウンサー・キャスターとして特に大切にしていたことは何ですか。
内多講師:
「事実をもって語る」ということです。NHKでは新人の頃から、思い込みではなく事実に基づいて伝えることを徹底的に教えられます。
人はどうしても先入観で物事を見てしまいます。でも本当にそうなのか、当事者は何を感じているのか、関係者はどう考えているのか。そこを丁寧に取材して確認することが大切なんです。
例えば、重い障害のある子どもたちに対しても、外から見た印象だけで「何もできない」と決めつけてはいけません。実際に当事者や家族の声を聞き、さらに最新のテクノロジーを知ることで、それまで見えていなかった可能性が見えてくることがあります。今の活動でも、この姿勢は変わっていません。
「もう上り坂は終わった」と感じたとき
Q. 医療・福祉分野への転身につながった背景を教えてください。
内多講師:
『クローズアップ現代』の担当を終えた頃でした。50代に入り、自分が取り組みたい企画を担当する機会が徐々に少なくなっていったんです。もちろん組織としては自然なことですが、「この先、自分が本当にやりたいテーマに関わることは難しいかもしれない」と感じるようになりました。
そんな時に耳にしたのが、国立成育医療研究センターで立ち上がる「もみじの家」の話でした。医療的ケア児と家族を支える日本でも先進的な取り組みで、その運営を支えるハウスマネージャーを募集しているという。
私は放送を通じて支援の必要性を訴えてきましたが、今度はその現場に直接関われるかもしれない。そう思った瞬間、大きく心が動きました。
転職後に直面した大きな壁
Q. 転職後はいかがでしたか。
内多講師:
正直に言うと、とても大変でした。最初の1年は人生でも特に苦労した時期だったと思います。アナウンサー時代はWordだけで何とか仕事ができていました。でも病院での運営管理にはExcelやPowerPointが必須だったんです。利用状況の分析、事業計画、収支管理、会議資料など、すべてが初体験でした。
毎日のように「自分はこんなに仕事ができなかったのか」と思い知らされましたね。終電近くまで勉強しながら働く日々が続き、かなり痩せました。
私は冗談で「事務ダイエット」と呼んでいましたが(笑)、当時は本当に必死でした。でも今となっては、その経験が現在の法人経営や活動運営の土台になっています。
壁にぶつかったときこそ、自分を見つめ直す
Q. その経験からどのような学びを得ましたか。
内多講師:
私は比較的現実主義者なんです。できないことを無理に追い続けるのではなく、今置かれている状況で何ができるかを考える。
NHK時代、自分のやりたい仕事を続けることが難しくなった時も、仕事の外で障害福祉に関わる方法を探しました。フードバンク活動に参加したのもその一つです。
思い通りにいかない時は辛いですが、「では次に何ができるだろう」と考えることで、新しい道が見えてくることもあります。実際、その先に「もみじの家」との出会いが待っていました。
インクルーシブな社会づくりへの挑戦
Q. 現在取り組まれている「ウルトラ・ユニバーサル野球」について教えてください。
内多講師:
現在、一般社団法人の活動の一つとして、「ウルトラ・ユニバーサル野球」の普及に取り組んでいます。重い障害があってもテクノロジーを活用しながら野球選手として参加できる仕組みです。視線入力技術やスイッチ操作などを活用し、自宅に居ながら試合に参加できる環境を整えています。
第1回大会は13人の参加からスタートしましたが、今年11月に開催予定の第4回大会では200人を超える選手が参加するまでに成長しています。来年には台湾との国際交流試合も予定しています。
NHK時代の経験が、今につながっている
内多講師:
私はテクノロジーの専門家でもありませんし、野球盤を作る技術者でもありません。ただ、人と人をつなぎながら一つのプロジェクトを形にしていくことは得意なんです。
NHK時代、アナウンサーを務めるだけでなく、自ら企画を提案し、多くのスタッフと一緒に番組を作ってきました。ウルトラ・ユニバーサル野球も同じです。技術者、支援者、家族、企業、学校など、さまざまな人たちをつなぎながら一つの場をつくっていく。そういう意味では、30年間の番組づくりの経験が今につながっていると思います。
さらに大会では、自ら実況も担当しています。新人時代に担当した高校野球実況の経験が、今度は障害のある子どもたちの晴れ舞台を盛り上げるために活かされているのです。何が将来役に立つかは、本当にわからないですね

なぜ今、人に伝えるのか
Q. 今後、講師として伝えたいことは何でしょうか。
内多講師:
私はこれまで、自分にできる範囲で社会課題に向き合い、人と人をつなぐ活動を続けてきました。その経験を通じて、人は一人ではできないことも、多くの人と力を合わせることで実現できるということを学びました。
また、人生100年時代と言われる中で、キャリアのあり方や学び直しについて悩んでいる方も多いと思います。私自身の経験が、そうした方々にとって何かヒントになればうれしいですね。
「伝える力」はすべての仕事の土台になる
Q. 研修を通じて受講者に伝えたいことは何ですか。
内多講師:
私は30年間、伝えることを仕事にしてきました。今は専門性が高まり、世代間のコミュニケーションも難しくなっています。だからこそ、「自分が伝えたいことを、相手に伝わる形で伝える力」がますます重要になっていると思います。
どんなテーマの研修であっても、その学びを現場で活かすためには、人に伝える力が必要です。私はアナウンサーとして培ってきた経験を通じて、そのヒントをお伝えできればと思っています。
悩みの中にこそ、新しい可能性がある
Q. 最後に、仕事やキャリアに悩む方へメッセージをお願いします。
内多講師:
うまくいかない時期は、決して悪いことではないと思います。むしろ、自分を見つめ直すチャンスなのかもしれません。
「自分は何が好きだっただろう」「本当は何をやりたかったのだろう」そんなことを振り返ってみてください。
私自身、振り返れば子どもの頃から野球が大好きでした。そして今、その野球が社会活動につながっています。
やらなければならないことはもちろんあります。でも、それとは別に、自分が好きなこと、自分らしくいられることも大事にしてほしい。
ピンチは、自分自身と向き合う機会です。焦らず、自分の可能性を探してみてください。
インタビューを終えて
アナウンサー、医療・福祉、そしてインクルーシブな社会づくり。一見すると異なるキャリアに見えますが、そのすべてを貫いているのは、「事実に向き合い、人をつなぎ、社会をより良くしたい」という内多講師の想いでした。
また、ウルトラ・ユニバーサル野球の活動には、番組づくりで培った企画力やプロデュース力、そしてアナウンサーとして磨いてきた「伝える力」が生かされています。
「何が将来役に立つかは、本当にわからないですね」そう語る内多講師の姿からは、これまで積み重ねてきた経験が決して無駄になることなく、形を変えて今につながっていることが伝わってきました。
インタビューの中で語られた「うまくいかないときこそ、自分が何を好きだったのかを振り返ってみてほしい」という言葉は、キャリアや働き方に悩む多くの方にとって、新たな視点や一歩踏み出す勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
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伝えたいことを端的に分かりやすく説明するスキルを身につける研修です。
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コミュニケーション基礎研修~きき上手は話し上手、きくから始めるコミュニケーション
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コミュニケーションには「話す」と「きく」の両面があります。心構えを理解しコミュニケーションへの抵抗感を和らげるとともに、「きく」スキルを伸ばすことで、円滑に他者とコミュニケーションを取れるようになることを目指しています。
プレゼンテーション研修~相手を動かす3つの要素を習得する
プレゼンテーションの目的とは、相手に情報を提示し、理解・納得を得た上で、行動を起こしてもらうことです。そのため、本研修では以下の3要素を柱に学んでいただきます。
<研修のポイント>
- 伝える内容~話の構造を整理する方法、内容を効果的にする話の展開方法
- 伝える技術~間の取り方やスピードなど、「伝える」コツや配慮すべきポイント
- 伝える手段~プレゼンテーション資料の効果的な使い方
<ワークのポイント>
講義を通して「伝える」ための内容・技術・手段について学んでいただきます。その上で、撮影した自分のプレゼンテ-ションを見ることにより、客観的に自分を振り返り、改善点を発見していただきます。研修の終わりに、総合演習として改めてプレゼンテーションを行い、学んだ知識をアウトプットしていただきます。
※ビデオカメラを使用して演習を行う場合もございます
50代キャリアデザイン研修~セカンドキャリアを充実させる編(半日間)
本研修は、50代の皆さんが、これからのキャリアチャレンジの原動力とするために「少年性の喚起」をテーマに、前向きに楽しみながらキャリアを考えていただく研修です。
明日の自分、セカンドキャリアを歩む自分にわくわくしてもらえるような場を通して視野をさらに広げ、これからの新しい挑戦・小さな一歩を具体的に考え、踏み出していけるように導きます。






