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【生成AIは教育担当者のパートナー2】「現場での判断力」を鍛える効果測定のコツは、目的と判断基準の言語化

eラーニング後に確認テストは実施しているものの、受講者の行動が現場で変わらないと感じている教育担当者さまは少なくありません。設問作成に時間がかかる割に、知識が実務で活用されているかを判断しづらいという声も多く聞かれます。

こうした課題を解決する方法として、近年注目されているのが、生成AIを活用した「現場での判断力を鍛える」確認テスト設計です。生成AIは、うまく使えば、精度が高い確認テストを短時間で作れるだけでなく、現場で起きやすいシチュエーションを入れたり、もっともらしい誤答を含む設問案を作成したり、解説文まで含めたたたき台作成を一気に進められます。

本記事では、正解率だけに頼らず、現場での行動変容を測るためのテスト設計の考え方と、そのための実践的なプロンプト(指示文)設計を解説します。

「正解率が高い=現場で活かせている」ではない!判断力を養うテスト設計とは

確認テストの正解率が高いにもかかわらず、現場での行動が変わらない背景には、設問内容が業務知識の確認に偏っているという問題があります。用語の定義や手順を問う設問は作りやすい一方で、実務で必要な判断力や対応力を測ることができません。

現場で成果を出すためには、知識を知っているかではなく、その知識を使って適切に判断できるかを確認する必要があります。そのためには、設問自体を現場視点で再設計することが重要となります。

特に意識したいのは、現場で実際に起こりやすい迷いどころを切り取ることです。ただし、こうしたシチュエーション型の問題を一から考えるのは負担が大きく、作成者の経験にも左右されがちです。そこで有効なのが、生成AIをテスト作成のパートナーとして活用する方法です。

生成AIを「教育担当者のパートナー」として活用する考え方

生成AIは万能ではありませんが、役割を整理して活用すれば、確認テスト作成の質と効率を大きく高められます。重要なのは、人が担う領域とAIに任せる領域を明確に分けることです。

1.「人が考えるべき領域」と「AIに任せられる領域生成」を切り分ける

精度の高い確認テストを作成するためには、以下の3点を意識する必要があります。

  • 生成AIの強みを理解する
  • テストの目的と正解基準を教育担当者が明確に持つ
  • 成果物の要件をプロンプトとして具体的に言語化する

<生成AIの強み>

  • シチュエーション案の量産
  • 選択肢のバリエーション作成
  • 大量かつ断片的なデータを読み込み、系統立てて整理
  • Webページなど一般公開されている情報の整理

一方で、自社のルールや現場実態に即した正解基準の設定は、人が担うべき領域です。テストの骨子はAI、判断基準は人という役割分担が現実的です。

2.「現場で活きる」テスト問題にするために、目的と正解基準を明確に持つ

現場で使える知識を養う設問は、疑似的な業務体験として設計されている点が大きな特徴です。

  • 業務シーンが具体的に描かれている
    「部下よりこのまま進めるとトラブルに発展しそうな事例の報告がありました。現状では特にトラブルに至ってはいませんが、この後管理職として最も適切な対応はどれですか」など、場面と立場を明確にします。受講者は自分を当事者として想像しながら判断する必要があります。
  • 判断の背景となる考え方が問われる
    行動そのものではなく、その理由を理解しているかが大切です。例えば「なぜこの対応が組織として望ましいのか」「どのリスクを回避できるのか」を解説で示すことで、行動基準が言語化されます。
  • 経験者が納得感できる内容になっている
    実務適用型の設問は、経験者が読んだときに「これは現場でよくある」「この迷いは実際に起きる」と感じられるかが重要です。逆に、机上の空論的な設問だと、現場感覚を測ることができません。
  • 最適解を選ばせる構造になっている
    現場では完全に正しい行動よりも、状況下で最も妥当な選択が求められます。そのため、絶対的な正誤ではなく、「この条件下ではどれが最も適切か」を問う設問にします。
  • もっともらしい誤答を含めた選択肢になっている
    正解以外の選択肢にも、現場で実際に選ばれがちな行動を含めます。例えば、スピードを優先する対応や、上司として善意から取りがちな行動など、一見すると正しそうに見える誤答を用意することで、理解の浅さを測ることができます。

3.教育担当者さま向け「確認テスト作成」プロンプトの実例

生成AIは、人と違って「いい感じに作って」という曖昧な指示を正確に読み取ることはできません。抽象度が高すぎるため、成果物の出力品質が落ちてしまいます。生成AIに依頼する際には、入れるべきプロンプト(指示文)の条件を意識する必要があります。

<プロンプトの条件>

  • 企業の人材育成を理解している専門家として振る舞うよう指示する
  • 目的、対象者、前提条件を明確にする
  • 「何を測らないか(暗記・定義)」まで書く
  • 正解となる「判断基準」を言語化する

<すぐに使えるプロンプトの例>

あなたは企業の人材育成を専門とする人事教育コンサルタントです。
以下の条件に基づき、eラーニング受講後の確認テストを作成してください。

【目的】
受講者が、学習内容を現場で正しく判断・行動できるかを確認すること

【対象】
管理職(例:新入社員/若手社員/入社半年以内の中途社員など)

【テーマ】
情報セキュリティ(情報資産に関するリスク管理と対策の取り方、社内で起きたヒヤリハット事例と対策)

【前提】
・基本的な用語・制度の説明はeラーニングで学習済み
・テストでは暗記ではなく「使えるか」を測りたい

【設問条件】
・業務シーンを想定したシチュエーション判断型を中心にする
・「最も適切な行動はどれか」を選ばせる形式
・現場で起こりやすい誤解やミスを誤答として含める

【NG事項】
・定義をそのまま問う問題
・明らかに不自然・極端な誤答
・理想論のみで現実性のない正解

【出力形式】
・設問文
・選択肢(4択)
・正解
・解説(なぜ正解か/なぜ他は不適切か)

【注意事項】
・正解は「模範社員の理想行動」ではなく、当社の一般的な現場で実際に求められる、再現可能な行動としてください。
・経験者が見ても「これは現場でよくある」「その判断は妥当だ」と感じる内容にしてください。
・各設問は、知識があるだけでは誤りやすい、現場経験や業務理解があると正解できるように設計してください。
・研修を受けていなくても、一般常識で解答できてしまうような設問はやめてください。

可能であれば、eラーニング教材として展開したPowerPointやPDF資料も生成AIに入力できると、より学習内容に沿ったテストが完成します。その際は、個人情報や機密情報を含めないことと、生成AIに情報収集をされないよう、事前に学習データの利用停止申請を行っておくのも肝要です。

学習データの利用停止申請については、「無料で始める生成AI導入~Copilot Chat商用データ保護機能とChatGPT学習データ利用の停止申請(オプトアウト)」この記事もご参考ください

4.確認テスト結果を教育改善につなげる

確認テストは評価のためではなく、教育改善の材料です。個人の点数よりも、正答率が低い設問が示す理解不足の領域に注目することで、研修内容やフォロー施策の見直しにつながります

また、生成AIはテスト結果のレポートも得意です。個人情報を抽象化したうえで、テスト結果のExcelを生成に入力し、正答率や階層・部署ごとの傾向をレポート化すれば、どの分野を重点的に補足すべきか、簡単に把握できます。さらに理解不足の領域に関しては、作成したテストと関連したフォローテストを作成し、再度実施することで、理解不足を補えます。

このように生成AIを活用することで、確認テストは単に知識定着の度合いを確認する手段ではなく、現場での判断力を鍛える効果測定に昇華することができます。効果測定と改善のサイクルを短期間で回せることが、生成AI活用の大きなメリットです

まとめ~生成AIをパートナーにすれば、より密度の高い効果測定を実現可能

生成AIは、確認テスト作成の手間を削減するだけのツールではありません。現場で使えるかを測る設問設計を支援し、教育の質を高めるパートナーとして活用できます。重要なのは、目的と判断基準を教育担当者が明確に持ち、それをプロンプトとして言語化することです。

Leaf Lightningは、テスト作成から結果分析までを一気通貫で支援することで、教育の成果を可視化し、現場に還元するための基盤として活用できます。ぜひ導入もご検討ください。

インソースの「Leaf AI教材クリエイター」が高品質の確認テストを自動作成

インソースには、多機能・マルチデバイスLMS「Leaf Lightning(リーフ ライトニング)」があり、先述のような高品質のテストを自動生成できる機能があります。

上記でご紹介したようなテスト設計のプロンプトを画面上で入力すれば、展開されているeラーニングに即した内容で、自動でテストを作成可能です。この機能の特徴は、「教育・人材育成で利用する」ことに特化している点です。プロンプトで事細かに指示を出さなくても、

  • PDF・PowerPoint資料やeラーニング教材として活用したいページのURLをアップロードする
  • 難易度や問題数、解答の方法(択一の選択肢か、複数選択可能かなど)を指定する

というシンプルな方法でテストが出力されるため、「生成AIを使ったことがない」というご担当者さまにも親切な設計です。

さらに、アップロードした資料や生成結果がAIモデルの学習に使用されることも一切ありません。セキュリティ面での不安も全くなく、安心してご利用いただけることもポイントです。

作成の負荷を大幅に減らしながら、現場での判断力を養うテストを確実に、そして短時間で何度でも作成可能なので、まさに「教育担当者さまのパートナー」として大活躍すること間違いありません。

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Leaf AIトレーナー

同じく生成AIを活用したLeaf Lightningの機能として、「Leaf AIトレーナー」があります。こちらは営業職や販売職の方向けで、従業員自身で撮影した動画をアップロードするだけで、話すスピードや声の抑揚、滑舌、フィラー(「えー」「あのー」など)の頻度、さらには内容の論理性まで、AIが複数の観点から分析し、フィードバックをくれるものです。忙しい店舗・事業所では、自身の応対スキルがどれほどか確認したり、評価してもらったりする機会が少なく、応対品質のばらつきに課題を抱えている方も少なくありません。現場の負担を増やさずにスキルアップができる点で、ご担当者さま・現場教育者さまの良きパートナーとなります。

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Laf Lightning(リーフライトニング) ~効果測定にまつわる機能が多彩

Leaf Lightningは、当社が20年以上、人事担当者さまの解決する中で蓄積した教育のノウハウを凝縮したLMSです。アクティブユーザーは日本最大級、機能数も日本No.1で、多くの方にご利用いただいていますが、「Leaf AI教材クリエイター」以外の効果測定に関する機能も多彩です。回答形式の選択、ファイル提出での回答、必須回答の有無、解答解説表示、合格点設定、自動採点、進捗管理といった基本仕様に加えて、回答ごと・受講者事に違う出題をする「シャッフルテスト」、複数のカテゴリから指定数の設問を出題する「カテゴリシャッフルテスト」、研修後何時間・何日後にテストを開始する「回答開始締め切り設定」やテスト開始時から所定時間で強制終了する「制限時間設定」など、使用用途に応じて様々な確認テスト・アンケートを実施いただけます。

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