「成長企業の人材育成」

安藤弘一講師「管理職に求められる能力について」
 

成長企業における管理職の未成熟化防止

 -"面従腹背"と"馬耳東風"の悪癖を防ぐ自助努力の涵養-


 

■成長企業の管理職が陥りがちな傾向

一昔前までは大企業に働く人びとの就労姿勢を揶揄して「大企業病」などといわれたことがありました。一言でいうならば、管理職層の"危機感の欠如"ということを表現したものです。具体的には、責任所在の曖昧さや部門間の意思疎通の欠如、意思決定の遅さ、組織全般に広がる融通の利かなさということかもしれません。もちろん大企業組織で発生しがちな官僚主義的な体質や弊害も「大企業病」といわれてきました。

ところが、最近では大企業において、この「病」の克服に向けての取り組みが否応なく進んでいると思います。もちろん自主的な側面というよりは、経営環境の変化を直裁に反映している結果かもしれません。これは一般的にいわれる「グローバル人材」の強調と軌を一にして強調されている「今日の雇用のあり方」をめぐる流れに左右されているのかもしれません。先に安倍内閣が閣議決定した「規制改革実施計画」の『雇用ワーキンググループ報告』は、その是非は別として、明らかに多くの企業にこれまで「大企業病」と総称されるものからの克服をある意味で大きな出血を伴いながら進行させることになると思われます。

一方で成長企業に目を転じるならば、「大企業病」と総称されてきた「病魔」は成長企業をも蝕んでいるという認識が必要になってきていると思います。それは、この「病魔」が単に企業規模によって発生するものではなく、企業組織へのかかわり方や就労意識に根ざした、一人ひとりの没主体的な"上のいうことを聞いていれば何とかなる"という「危機感」の欠如にあるからだと思います。

一般的に成長企業はその設立の経緯からオーナー経営者がほとんどです。そのため、当然ながら経営者に大きな権限が集中しています。それ自体は決して悪いことではく、成長過程での臨機応変な対応は会社組織の発展に欠かせません。ところが、往々にしてこの傾向が常態化してしまいます。すると従業員、とりわけ幹部社員の中に「経営者への過度な期待感」が発生してしまいます。これが高じると「すべては経営者のいうことに従っていればよい」という意識が管理職に蔓延し始め、自然に一般社員にも伝播します。その結果、成長企業の中にはともすると、次のような現象が発生する危険性が大となります。

・「最後は経営者が決定するのだから...」という意識でいるため、経営陣と一般社員の架け橋である管理職層に自らに課せられた役割に対する認識が低くなる。
・「経営者がすべて決定してくれる」と思い、部門や個人の責任の所在が曖昧になってくる。
・「設立当初からの慣習だから...」との理由で、非効率な仕事ぶりに誰も疑問を抱かなくなり、指示されたことは実行するが自分で考えた行動がとれなくなる。

そして、管理職は経営判断を常に待ち望み、決定に対し"面従腹背"となります。部下の側はこうした管理職の姿勢を忖度して、管理職のいうことに対して"馬耳東風"の姿勢に陥るということです。つまり、成長企業が陥る「大企業病」とは、管理職の未成熟な管理意識(「上が何とかしてくれるだろう...」)にあるといっても過言ではありません。

■管理職を成熟させるのは本人の自助努力

成長企業が「大企業病」に侵され始めると「仕組みや制度改革」もいつしか途中で曖昧になる危険性もあります。それは"面従腹背"と"馬耳東風"、さらには最終的に「属人的なパワー」に期待してしまう意識があるからです。

そこで、成長企業ではトップから末端に至るまでのそれぞれの階層における「役割」と「責任」を明確にしていく"組織作り"と、一人ひとりが組織に自分自身を寄り添い過ぎず、仮託し過ぎて埋没させないという"働きの姿勢"を確立させていくという相矛盾する関係性の確立が急務と思います。

成長企業に限らず、管理職は自分の人生目標と企業組織が掲げる目標を一体化させる必要はありません。むしろ、一体化させてしまうと会社組織への過度な期待という"偏愛"を生み出すことに繋がります。こうした会社組織と個人の関係は健全なものではなく、"偏愛"の感情は、結果として「会社へのぶら下がり依存」を生み出し、組織全体が朽ち果てていきます。あまつさえ「会社に裏切られた...」などという本末転倒な感情も生まれる危険性があります。

重要なのは、自分の人生目標を会社組織での働きを通して達成していくという意識を涵養していくことであり、会社組織と自分自身を緊張感ある関係にさせておくことです。

言葉でいうのは簡単なことですが、現実問題となると非常に難しい課題です。単に学習や研修の機会提供回数を増やせば自然に醸成されるものではありません。確かに企業は一人ひとりの管理職に成長する機会を提供することはできます。しかし、その機会を自分自身で活かすか、活かさないか、その結果についての責任は本人にあります。従って、会社組織は個々人の成長についての最終責任を負うことはできません。自分の成長に最大の責任を持っているのは、最終的に自分自身だからです。


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◆本間  次郎◆

株式会社ノイエ・ファーネ  代表取締役

1954年生まれ。大学在学中より出版・編集業務に携わり、主に労働経済関係をフィールドとし取材・執筆、編集業務に携わる。1992年から中小企業経営 者向け経営専門誌の編集および、教育・研修ツール(冊子媒体、ビデオテープ)等の作成、人材の教育・育成に関する各種オープンセミナー・インハウスセミ ナー企画の立案・実施、人材開発事業・人事コンサルティング業務に従事。
2010年11月に『人と企業組織が互いに「広い視野」「柔軟な思考」「健全な判断」に基づいて行動し、最適な働きの場を創り出していく協働に貢献する』を使命とする株式会社ノイエ・ファーネを設立。

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