「成長企業の人材育成」

安藤弘一講師「管理職に求められる能力について」
 

成長企業における労務管理について

 -労働時間管理を通した職場マネジメントのポイント-


労務管理は人事部や総務部の業務ではなく、職場を管理する管理職の重要な任務であることは論を待ちません。職場の管理職が労務管理を他人事にしては、会社組織を守り発展させることはできません。

職場の労務管理の領域は多岐にわたっていますが、職場でのマネジメントとして基本となる残業を含む時間管理を事例に取りあげてみたいと思います。労務管理の中でタイムマネジメントは極めて重要です。労働時間の管理を怠ると後々に大きな問題になります。

先ずは、次のケースを考えてみましょう。

■[ケース1]出張時の移動時間

営業職のMさんは出張が多い。時には朝6時の新幹線で東京から大阪に向かい、夜遅くに帰宅することも多くある。会社はMさんに対して出張旅費に伴う経費を支払っている。ところがMさんは、ふと「残業代を支払ってもらいたいと思うことがある...」

こうしたMさんの「思い」に対して、会社は基本的にどのようなスタンスで臨む必要があるのでしょうか。以下の(1)(2)について考えてみましょう。

(1)出張中の移動時間は労働時間であるのか否か。
(2)仮に休日に移動した場合は休日出勤であり、当然休日出勤手当の対象となるのか否か。

もちろん、Mさんの希望は理解できます。会社として余裕があるのであればMさんの希望を全て聞き入れることに問題はありません。しかし、労務管理で重要なのは原則をしっかりと押さえることから始める必要があります。

このケースの場合には、「出張中の移動時間は、日常出勤に費やす時間と性質的に同じか、類似したものと考えられ、労働時間に算入されず、時間外手当の対象とはならない」ということになります。

一方で休日が移動日に当たる場合や出張日程が休日にまたがる場合では、その当日に会社業務を処理する指示がない場合、休日として取り扱われることになります。

因みに、出張とは日常の業務以外の場で業務に従事するものなので、現実的に正確な労働時間のカウントは難しいのが現実なので、労働基準法は、所定労働時間労働したものとみなすと規定されています。

法律論はさておき、Mさんの抱く「思い」を理解しつつも会社としてのスタンスを明確に周知徹底させるためには、会社として単純に所定労働時間を謳うだけではなく会社独自の『出張規程』などを作成して、出張時の勤務のあり方や時間外手当の扱いなどに関する規定を明確にしておく必要があります。

■[ケース2]過去2年分の残業代請求訴訟

最近では「残業不払い市場」などという言葉もあるほどに、自己都合退職したはずの退職者から「過去2年分の未払い残業が請求訴訟となる」などのケースが増しています。仮に未払残業請求が裁判で認定されたならば、その未払額を支払わなければなりません。しかも、時効期間は2年なので在職していようが退職していようが関係ありません。さすがに在職中に事を構えるのは、憚れるのか、退職後に請求訴訟になるケースが大半といっても過言ではありません。

ただし、注意しなければならないのは会社が支払わなければならないのは、単に「未払残業代」に留まらないということです。通常の訴訟では未払残業代の他に「付加金」+遅延損害金(延滞利息)が合わせて請求されるということです。「付加金」とは、裁判所が必要と認めた場合には、未払残業代と同額を上限とした額を「付加金」という形でペナルティの支払命令がついてきます。(労働基準法第114条)

流行り言葉でいえば正に「倍返し」となるわけです。おまけに「未払残業代」と「付加金」には延滞利息として在職中であれば6%、退職日以降は年率14.6%となってしまいます。

仮に2年前に退職した者から毎月3万円相当の未払残業代が認定された場合の計算は、単純化するならば

未払残業代:3万円×24カ月=720,000円
付加金  :同額の720,000円

合計で1,440,000円の支払いとなり、さらに遅延損害金および訴訟費用が加算される訳です。

訴訟は氷山の一角で労働審判による和解なども含めるとこうした「残業未払」に関する事例は相当数に増加しています。

■時間管理は現場マネジメントの基本

こうした労務リスクにどのように対処していくのか。正に労務管理とは職場におけるリスク管理の最たるものです。このリスク対応は職場のマネジメントにかかっています。

具体的には残業する場合の場長に対する事前申告制の確立と残業後の結果報告の義務付け、入退社時間の明確な管理(タイムレコーダー等によるドキュメント)、就業規則での残業の取扱についての明確な規定、入社段階で賃金について明確に記述した「労働契約書」の締結。

そして、何よりも従業員の職務内容の明示化と業務にかかる時間の日常的管理と指導を現場のマネジメントの重要項目として管理職が意識することです。

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◆本間  次郎◆

株式会社ノイエ・ファーネ  代表取締役

1954年生まれ。大学在学中より出版・編集業務に携わり、主に労働経済関係をフィールドとし取材・執筆、編集業務に携わる。1992年から中小企業経営 者向け経営専門誌の編集および、教育・研修ツール(冊子媒体、ビデオテープ)等の作成、人材の教育・育成に関する各種オープンセミナー・インハウスセミ ナー企画の立案・実施、人材開発事業・人事コンサルティング業務に従事。
2010年11月に『人と企業組織が互いに「広い視野」「柔軟な思考」「健全な判断」に基づいて行動し、最適な働きの場を創り出していく協働に貢献する』を使命とする株式会社ノイエ・ファーネを設立。

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