戦略で他社と差別化するために営業部長がやるべきこと
私が営業部長として、ある組織のマネジメントをしていた時に直面した重要な課題は「営業戦略をどのように策定するか」でした。当時の営業組織は、個々のメンバーの経験と勘に頼る部分が多く、明確な戦略が不足していました。
そこで、私はまず市場分析を行い、顧客のニーズと競合の動向を細かく調査しました。どの市場にどのような強みを活かせるのか、どの顧客層にフォーカスすべきかを明確にすることから始めました。
次に、営業プロセスを可視化し、標準化を進めました。どの段階でどのようなアクションを取るべきかを明確にすることで、成果が出やすいフローをつくりました。また、データを活用し、営業の進捗や成功要因を数値化することで、戦略の効果を検証しやすくしました。
さらに、戦略をチーム全体に浸透させるために、定期的なミーティングを実施し、目標や進捗を共有しました。営業戦略は策定するだけでなく、現場で実行し、検証・改善を繰り返すことが重要です。
結果として、営業メンバーは自身の目標と戦略の方向性を明確に理解し、行動に一貫性が生まれました。勘や経験だけに頼るのではなく、データと計画に基づいた営業活動を行うことで、成約率の向上にもつながりました。
営業戦略は単なる計画ではなく、現場で実行し続けることで初めて意味を持ちます。営業部長としての役割は、単に戦略を考えることではなく、それをチームとともに実践し、成果につなげ、勝てる仕組みをつくることだと改めて実感しました。
営業部長の役割とは
営業部長の最大の仕事は営業部門の長として率いて、営業活動によって組織を勝たせることです。主に複数の営業課を配下に置き、各課長と連携しながら、組織目標の達成を担います。
方針を決め、実行する
営業部門としての方針を示すことが、営業部長の役割の一つです。諸情勢を客観的に分析し、正しい判断を行い、営業部門を導きます。また、そのためには営業部長自らが考え、行動する力を持っていることが重要です。
営業課長との違いは何か
営業課長 | 営業部長 | |
---|---|---|
役割 | 実務統率者 | 経営代行者 |
運営方法 | 直接指導 | リーダー(営業課長)を通じた運営 |
目指すもの | 自部署の成果 | 全体の最適化 |
求められるもの | 戦術 | 戦略 |
時間軸 | 年間 | 中長期 |
営業部長に求められること
営業部門のトップとして、部下をマネジメントするだけでなく、自らもトップセールスとしての力量を保持していることは重要です。営業部長は得てして、行動管理や施策の展開に注力してしまい、自らの営業の腕を磨くことは後回しにしがちです。
部下はそのような営業部長の姿を見て、自ら勉強し、成長しようと思うでしょうか。いざというときに、「あの人に営業同行してもらえば、何とかなるかもしれない」と思わせられるだけの力量を持ち、部下からの信頼を得ることで、本来の営業施策の実行もたやすくなります。
覚悟と責任
「覚悟」とは、言い換えれば「自分がやらねば、誰がやる」という気概を持つことです。やらなくても済むことならば決してやらないなど、人は会社の仕事を「他人事」だと捉えがちです。営業部長は、特に部下が困っているときには、自分の守備範囲を越えてでも助けるぐらいの気概を持つべきです。その姿勢を見て初めて、部下は上司についていきます。
部下に「関心」と「愛情」を持つ
営業部長は、部下に対して愛情を持って接しなければなりません。自分に愛情があるか、温かさがあるかについて、部下は非常に敏感です。常に温かい愛情を持って、時には褒め、時には叱りながら、部下を育てていく必要があります。
「きめ細かさ」「まめさ」を大事にする
きめ細かさが求められるのは、コミュニケーションと業務確認の2つです。上司・部下を問わず、部門全体が話しやすい雰囲気を自ら演出することを心がけます。具体的には短時間ミーティングを活用したり、部下がホウ・レン・ソウをしやすい環境づくりをしたりすることが重要です。
一緒に知恵を絞る
部下が業務で悩んでいるときは、自分の経験談から先に答えを出せる場合もあるでしょう。しかし、押しつけてはいけません。解決に向けて一緒に悩むことが重要です。部下に任せっぱなしにしないということと、大切な案件・業務に関しては営業部長が引き取ることも考えましょう。
営業戦略の策定の具体的な方法
営業戦略の策定は、企業の売上拡大と競争優位の確立に直結する重要な業務です。まず、戦略立案の出発点は「市場と顧客の理解」です。業界動向、競合の動き、営業実績を分析し、顧客ニーズの変化を正確に捉えます。次に、目指すべき方向性=「目標設定」を行います。単なる売上目標だけでなく、ターゲット市場や顧客層の明確化も含め、中長期的なビジョンに基づいた設定が重要です。
その上で、「誰に」「何を」「どう売るか」という基本戦略(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング:STP)を定めます。そして、それに基づいて具体的な行動計画(営業チャネル、KPI設計、人員配置、育成計画など)を策定します。戦略は立てるだけでなく、PDCAサイクルを回しながら定期的に見直すことが不可欠です。営業部長は、戦略と現場の橋渡し役として、現場の声を吸い上げ、戦略に反映させる柔軟性が必要です。
資源を配分する
マネジメントとは、経営目標の達成のために、経営資源を有効に活用することであり、いかにうまく組み合わせて効果を最大化させるか、つまり「資源配分」の巧拙が鍵を握ります。あるべきところにあるべき資源(つまり「人材」)が配分されないと、どんなに努力を促しても、なかなか結果は出ません。
なぜ、資源配分が重要なのか
会社が事業を推進していくためには、ヒト、モノ、カネなどの「会社固有の資源」を投入しなければなりません。しかしながら、これらの資源はいずれも有限です。そのため、これらの資源をいかに「最適に配分するか」が営業部長の至上命題となります。営業部長は、「資源を適切に配分し、業務を効率的に運営することで、最大の成果を得る」ことが任務であることを肝に銘じましょう。
資源配分を行ううえで考慮すべき事項
「ヒトの資源配分」とはすなわち「役割の分担」を指します。この時、大事なことは「業務」と「個々人の能力」とを最適化することです。
以下でご紹介する研修は、営業戦略を考えるうえで重要な要素を学び、さまざまな分析を踏まえ自社の戦略を検討する内容です。研修では、実効性の高い戦略に欠かせない環境分析やマーケティング思考でターゲットを分析し、誰がどの顧客にアプローチするのかまでを考え、すぐに実践に結び付けます。
営業部長研修~営業戦略立案編(2日間)
本研修は、営業戦略を考えるうえで重要な要素を学び、さまざまな分析を踏まえ自社の戦略を検討する内容です。営業戦略とは、勝てる仕組みを作ることです。研修では、実効性の高い戦略に欠かせない環境分析やマーケティング思考でターゲットを分析し、誰がどの顧客にアプローチするのかまでを考えます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 営業戦略を考えることに不安がある
- 勝てる営業組織の作り方を知りたい
本研修の目標
- 営業部長に求められる役割を認識する
- 自社事業を取り巻く環境を踏まえた顧客ターゲティングの手法を習得する
- どんな戦術で、自社商品・サービス、人材を投入すればよいかを検討できる
セットでおすすめの研修・サービス
営業部長研修~営業人材育成編
営業部長・マネージャーには、部門全体の育成状況を踏まえて「一人前の基準」を作成し、そのうえで一人ひとりを育成していくことが求められます。本研修では、営業に求められる能力要件を考えるところから、個別の目標設定と育成計画、誰がどのように指導していくかまでを考えます。また、営業活動の中で直面するシーンを想定し、どのように部下を指導・フィードバックすればよいかを検討するワークも実施します。
営業部長研修~現場マネジメント編
部下を現場でマネジメントするための考え方、実行すべきことを学ぶ研修です。営業施策を進めるうえでのPDCAの回し方を確認し、先々の見込みをたてながら個別案件を攻略するために日々の行動をどのように管理すればよいかを学びます。月次管理表や週間行動計画シート、戦略シートなどの実用的なツールの使い方も解説するので、明日から即実践できるマネジメントスキルを習得できます。