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ハラスメント防止の次の段階~「関わるのが怖い」から抜け出すマネジメント

組織のハラスメント問題は、研修やeラーニングで教育して終了、というわけにはいきません。

ハラスメントについて学び、問題を認識し、リスクを低減できたとしても、次の段階として新たな悩みが生まれます。それは、日常的なコミュニケーションの問題です。

指導ができない職場に未来はあるか?ハラスメント対策の盲点

ハラスメント対策が更に進むと、ハラスメントを意識するあまり、コミュニケーション量が減少することがあります。ハラスメントは減ったものの、停滞感が漂う職場となってしまうのです。

実際、ハラスメント防止研修の受講者の方からは、「関わるのが怖いのが本音」といった声も聞かれます。

コミュニケーションが減ると部下が思うように育たず、部の雰囲気やモチベーションに影響します。上司が部下に腫れ物に触るような接し方をしたり、部下側の暴走が見られたりすることもあります。また部下の状況が正確に把握できず、残業や離職が多いといった事態も発生し、結果的に成果が上がらない状況に陥るかもしれません。

こういった事態を防ぐためには、3つのポイントを押さえる必要があります。

1.采配力:部下の成長を促しつつ、組織成果へ導く

ハラスメントになりにくい関係性を作るには、上司と部下の間に信頼や承認の土台があることが大切です。上司が尊敬される仕事力を持っていることや、それが部下に伝わっていること、さらには部下に注意をする際も「これをやったら注意を受けて当然」と部下が納得できる文化や規律の浸透がなされていることが重要となります。

これらを実現できる上司になるためは、部下の力量に合わせた業務配分を行う「采配力」が求められます。

例えば、新入社員にはまず定型的な業務から任せ、成功体験を積ませながら徐々に複雑な業務へ移行させる。既に特定のスキルを持つ部下にはその強みを活かせる専門性の高いプロジェクトを任せる。個々の能力と成長段階を見極めた役割分担が重要です。単に優しいだけでは部下の成長を促せません。成長を促し、成果が上がる采配を意識することが大切です。

部下が「この人の下にいると成長できる」とわかれば、それが関係の土台となり、コミュニケーションが前向きにとらえられるようになります。これが、ハラスメントを根本から防ぎ、成果へと繋がる土壌となります。

2.知識のアップデート:変化に対応し、組織の自律的な成長を促す

ハラスメントの種類は多様化し、かつ変化し続けます。

ハラスメント問題が発覚した際、加害者が過ごしてきた時代や環境が影響しているケースが多くあります。どうしても「自分が成功してきた経験」に沿って指導や指摘をしてしまい、その内容が現代の価値観に合っていないという状況です。

これを防ぐためには、組織全体での継続的な知識・認識のアップデートが不可欠です。一度教育を行って終わりではなく、毎年手を変え品を変えハラスメント防止を意識することにより、組織全体に常識として根付いていきます。

ハラスメント教育の一例

切り口や内容を変えることで、毎年飽きずに「自分ゴト」として捉えることができます。

組織が自ら問題を発見し、解決する「自浄作用」を高めることが、ハラスメントのリスク低減と組織成果の向上を両立させる鍵となります。定期的な研修や情報共有を通じて、常に最新のハラスメントに関する知識を組織全体で共有し、それぞれの立場での適切な対応を学ぶことが求められます。

3.心理的安全性を育む: 遠慮しない組織を作る工夫

ハラスメント防止のその先、すなわちハラスメントが起きることなく成果が上がる組織を目指すためには、「心理的安全性」の確保が極めて重要です。

心理的安全性とは、チームメンバーが気兼ねなく発言でき、自然体でいられる環境を指します。この環境が整うことで、「配慮はあるが遠慮はしない」関係性が育まれ、組織内のコミュニケーションが活発になります。

相手を尊重しつつ、自分の意見や感情を率直に伝えるコミュニケーション技術が「アサーティブコミュニケーション」です。この技術があれば、従業員が「言いにくいこと」も伝えやすくなり、問題の早期発見・早期解決につながります。ハラスメントを予防する効果が期待でき、チームの創造性や生産性を向上させ、結果、組織全体の成果を高めることができます。特に、役員や上級管理職がアサーティブコミュニケーションの技術を身につけることは、組織全体の心理的安全性を大きく左右します。

まとめ

ハラスメント防止は、組織活動の本質であるチームワークを発揮し、成果を高めるための通過点です。健全な職場環境を実現するためには、組織文化の変革とリーダーシップの進化が求められています。

上司が部下の能力に合わせた適切な業務配分を行う「采配力」、ハラスメントに関する「知識のアップデート」、そして安心して意見を言える「心理的安全性」を確保し、結果として成果の最大化につながる組織を目指しましょう。

部下とのコミュニケーション実践研修~心理的安全性の高い職場を作る

部下とのコミュニケーションの仕方を工夫することで、どのように心理的安全性を高めていくのか習得します。言いたいことを伝えるためのアサーティブコミュニケーション、本音で話せる環境を作るための1対1面談の活用方法を実際によくあるケースをもとに実践的に学びます。

研修の最後には、自分のチームの心理的安全性を高めるための具体的な方法を検討していただきます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • メンバーが失敗を恐れ、リスクを取ってチャレンジしようとしない
  • 普段からコミュニケーションが少なく、若手から意見が出にくい
  • メンバーの仲は良いが、馴れ合いになってしまい、成果を出すことへの意識が低い
  • 本音で話すことができておらず、メンバーが何に悩んでいるのかわからない

本研修の目標

  • 心理的安全性の鍵を握る管理職・リーダーが、まずは自分の行動を変える必要があることを自覚する
  • アサーティブコミュニケーションの4つのステップを学び、言いたいことを自他を尊重しながら伝えられるようになる
  • 1対1面談で部下の本音や悩みを把握し、主体性を引き出せるようになる
  • 情報と成功体験を共有する文化の作り方を学び、チーム全体の心理的安全性を向上させることができるようになる

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セットでおすすめの研修・サービス

ハラスメント防止研修~鈍感力で実現する「お互いさま」の職場(半日間)

既に基本的なハラスメント防止研修を受けた方のための、切り口を変えたハラスメント防止研修です。鈍感力を切り口に、ハラスメント防止や職場づくりを考えます。

「お互いさま」と考えられるようになるために、効果を発揮することの一つが「気にしない力」です。研修内では何が自分にとってのうれしさや怒りなのか、気持ちを数値化し、自分事として考え、学びを深めていただきます。

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仕事の任せ方研修~自分でやった方が早いを克服し、部下の成長を促す

やみくもに任せる仕事を選ぶのではなく、効率的、戦略的に仕事を任せる。成長を促し、成果が上がる采配ができるようになる研修です。

部下や後輩がいる人にとって、「どの業務」を「誰に任せるか」を考えることは、組織で働くうえで逃れることはできません。仕事を任せるうえでの事前準備の必要性と、その具体的な手順について本研修内で学んでいただきます。

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ハラスメントリスクアセスメント

完全匿名化できるシステムを用いて従業員の意識や、間接的な行動の有無・知識も含めたハラスメントリスク度・組織の状態・特有の要因や背景を見える化するサービスです。

40の問いかけで、組織に内包するハラスメントリスクと要因・背景を可視化します。

>ハラスメントリスクアセスメントの詳細はこちら

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