インソース 第四営業本部

期待以上の体験をつくるCS実践法~観察・先読み・連携で差をつける

ホテル・旅館・ブランドショップなどのサービス業では、商品や施設の魅力に加え、スタッフの接客品質が企業の評価を大きく左右します。

お客さまは「期待通り」ではなく「期待以上」の体験に価値を感じ、再来店や口コミによる紹介につながります。

丁寧・迅速・正確といった従来型の評価軸だけでは差がつきにくい現在では、CS(顧客満足)向上のために新たに求められる観点について、今日から現場で実践できる具体的な行動を挙げながらまとめます。

CS向上の基本は「お客さまの期待を正しく理解すること」

サービスを提供する側と受ける側の「期待値」は必ずしも一致しません。まずはそのギャップを把握し、適切に埋めることがCS向上の第一歩です。

お客さまの期待値を正確に読む3つの観察ポイント

お客さまの期待を的確に捉えるには、単に言われた要望に応えるだけでは十分ではありません。言葉になっていない「背景」や「意図」、その場の感情の動きを読み取ることで、初めて本当の期待が見えてきます。潜んでいる多くのサインに気づく感性と観察力が期待値の把握につながります。

  • 予約時・来店時の情報を丁寧に確認する
  • 表情・声のトーン・言葉遣いなどの非言語情報に注目する
  • いつもと異なる行動や要望を見逃さない

たとえばホテルのチェックイン場面。通常より早口で、荷物を置く手つきも落ち着かないお客さまがいらしたとします。予約情報を見ると、直前に急ぎで変更が入っている。担当スタッフは「お急ぎでしたか。まずお荷物をこちらへどうぞ」と声をかけ、必要最低限の手続きだけを優先。お客さまは「助かりました」と表情を緩め、その後の滞在もスムーズに。

この結果を生んだのは、言われたことではなく、非言語のサインや予約情報から「急ぎたい」という期待を読み取った観察力です。

先回りで差がつくCS~プロが使う先読み3ステップ

ホスピタリティは、単に丁寧な応対をするだけでは生まれません。お客さまが言葉にしないニーズを先回りして満たすことで、はじめて「心のこもったサービス」が実現します。

先読みを実践するコツ

  • 状況を細かく観察する
    旅館ならお荷物の量、ブランド店なら迷っている様子などからお客様の状況を読み取ります。
  • 仮説を立てて行動する
    「次にこれで困りそう」「こう言われるかもしれない」と考える習慣が、自然な気配りにつながります。
  • 押し付けにならない提案を行う
    お客さまのペースを尊重しつつ、最適な選択肢を提示します。

信頼を生む応対の3原則~言い方・聞き方・伝え方

コミュニケーションは、正しい手続き以上に「相手がどう感じるか」を左右します。次の3つの姿勢は接客の土台となる基本になり、意識して繰り返すことで誰でも身につけられる習慣です。日々実践することで、正確さに加えて「安心して任せられる」印象が生まれます。

  • 聴く姿勢を示す
    相槌や復唱を活用し、丁寧に向き合う姿勢を伝えます。
  • 肯定的な言葉選びをする
    「できません」ではなく「こちらの方法でしたら可能です」といった、前向きな言い換えが有効です。
  • 安心感のある説明を心がける
    サービス内容や手続きの流れを簡潔に伝えることで、不安や誤解を防げます。

顧客体験を下げないための情報共有3ルール

予約時に「アレルギーあり」と共有されていた情報が、当日の担当スタッフに伝わっておらず、同じ質問を何度も繰り返してしまう。担当者が変わるたびに説明内容が微妙に異なり、「どれが正しいの?」とお客さまが混乱してしまいます。

サービス品質は個人ではなくチーム全体で作るものです。スタッフ同士の情報共有が不足すると、小さな行き違いが大きな不満につながってしまいます。特にホテルや旅館など多部署が関わる業種は連携の質がそのまま体験価値に反映されます。

どのスタッフが応対しても同じ水準でお客さまを迎えられるように、必要な連携の3つのポイントを押さえます。

  • お客さまの特徴や要望を簡潔に引き継ぐ
    細かな配慮や特別な希望は、担当が変わった瞬間に途切れやすいものです。要点だけでも共有することで、応対の一貫性と安心感が生まれます。
  • 役割分担を明確にし、お互いを補完する
    誰が何を担当するかが曖昧だと対応が重複したり抜け漏れが生じたりします。明確な役割分担は効率だけでなく、チームとしての信頼感を高めます。
  • 問題が発生した際の対応フローを共有しておく
    トラブル時に判断が揺れると、お客さまをさらに不安にさせます。対応手順や判断基準を共有しておくことで、迅速かつ一貫した対応が可能になります。

まとめ~日々の小さな工夫が「期待以上の体験」をつくる

お客さまの期待を読み取り、先回りし、安心を生むコミュニケーションを積み重ねること。さらに、スタッフ同士が連携し、一貫したサービスを提供すること。これらはすべて、日々の観察・工夫・共有によって誰でも磨いていける力です。

小さな行動の積み重ねが、やがて「期待以上の体験」という大きな価値を生み、お客さまの信頼や再来店につながります。現場でできる一歩を、今日から実践してみてはいかがでしょうか。

CS向上研修~ホスピタリティの意識を養う

顧客満足の考え方、ホスピタリティの理解と基本マナーの習得を通じて、個々人のCSマインドを強化します。

そのうえで組織全体のCSを高める改善策を作成し、明日からの実践につなげます。成功事例やCS向上会議の進め方など、職場で何をすればよいのかを参照いただけます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • CSの重要性はわかっているのだが、実践できていない
  • ホスピタリティとはどういうことなのか理解が不足している
  • CSを発揮して成功した事例を参考にして改善を図りたい

本研修の目標

  1. お客さまの立場からCSを考えられるようになる
  2. ホスピタリティの考え方を理解し、具体的にどのような行動をとるべきかを検討する
  3. CSに必要不可欠なマナーの基本を理解する
  4. 自組織のCS改善点を洗い出し、改善策を作成する

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セットでおすすめの研修・サービス

CX(カスタマーエクスペリエンス)向上研修~顧客満足から感動体験へ

商品・サービス自体の価値では競合との差別化が難しい今、「顧客体験価値(CX)」向上が注目されています。

本研修では、感動体験を届けるための鍵を握る接客業の方を対象に、CXを向上させるためのポイントをお伝えし、接客レベルのさらなる向上を図っていただきます。

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顧客視点を強化するデザイン思考ワークショップ~カスタマージャーニーで顧客インサイトを分析する

本研修では、デザイン思考の考え方を業務の実践に落とし込み、顧客インサイトの把握の方法を学んでいただきます。

受講者どうしでチームを組み、カスタマージャーニーを作成するグループワークを通し、顧客インサイトとはどのようなものかと、供給者目線ではなく顧客の目線で潜在的なニーズを把握する方法を、体感的に学んでいただきます。

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CS(顧客満足度)店舗調査サービス

「プロ目線」または「お客さま目線」で現場の顧客満足度を調査し、スタッフの対応状況の的確な把握をお手伝いします。

業種別の具体的なチェック項目で「できている/できていない」を明確化し、競合店舗との比較も可能。結果に基づき、最適な研修もあわせて実施します。

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