インソース 第一営業本部長
株式会社インソースデジタルアカデミー最高顧問
杉山晋一

若手も「部下」を持つ時代〜生成AIが変える新人育成と、忍び寄る選抜の波

若手も「部下」を持つ時代〜生成AIが変える新人育成と、忍び寄る選抜の波

「部下を持つのは、昇進して管理職になってから」
そんなビジネス界の常識が、生成AIの普及によって急速に崩れ去ろうとしています。

これからの時代は、たとえ新入社員であっても、AIという「優秀ですが時に暴走する部下」に指示を出し、自分のミッションをこなすことが当たり前になります。この大きな変化は、企業の採用や育成のあり方、そして学生たちの未来にどのような影響を与えるのでしょうか。

1年目から求められる「マネジメントスキル」

従来の新人教育といえば、まずは指示された作業(作業員としてのタスク)を正確にこなすことから始まっていました。しかしAIの活用が一般化すれば、単純作業の多くはAIが代行してくれます。

これからの新人に求められるのは、次のような業務です。

  • AIが出してきたアウトプットの誤りや質を見極める「成果物チェック」
  • 期待通りの成果になるよう修正を命じる「改善指示」

これらはすべて、これまで管理職が人間に対して行ってきた「マネジメント業務」そのものです。つまり、AI時代の若手社員は、早々にマネジメントの基本動作を実践することが求められるのです。

AI丸投げ世代の課題~思考放棄が「AIに使われる側」を生む

一方で、受け入れ側の企業を悩ませる大きな課題も存在します。それは「思考力の二極化」です。

大学の教育現場では今、教員の方々が頭を抱えています。AIに丸投げして作成された実の伴わないレポートと、自らの頭で思考を深めた質の高いレポートを見極める作業に追われているためです。

もし、学生時代に「自分で考えるプロセス」をAIに丸投げし、思考の汗をかかずに卒業してきた人物が入社したらどうなるでしょうか。
指示の出し方も分からなければ、AIが出してきた回答の不備にも気づけません。AIという強力な「部下」を指揮するどころか、AIに使われるだけの存在になってしまいます。

だからこそ、企業における「新人教育」の重要性は、従来以上に増大します。若手のうちからビジネス思考の型と、AIを的確に使いこなすためのマネジメントの基礎をしっかり学ばせる教育プログラムが不可欠になってくるのです。

到来する「厳しい選抜の時代」~少数精鋭の厳選採用へ

この現状から導き出される未来は、学生たちにとって非常に厳しい「選抜の時代」の到来です。

AIの台頭により、新人1人あたりにかける教育・育成コストは増加します。しかし同時に、単純労働が不要になるため、「企業が必要とする全体の採用人数」は減少していくと考えられます。

今後、大企業の採用戦略は次の二極化が進む可能性が高いでしょう。

  • 少数精鋭の厳選採用
    学生時代に「自分の頭で考える力」を鍛えてきた潜在能力の高い人材(ポテンシャル層)のみを、コストをかけて厳選して獲得・育成します。
  • インターン・見習い型のスクリーニング
    ポテンシャルが書類や面接で見極めきれない場合は、まずは見習い・有期形式で幅広く採用し、実際の業務適性を見極めた上で正式採用へと絞り込みます。

対人コミュニケーションの課題〜「対話」による合意形成

そして、AI世代の新人育成においては、もう一つ丁寧に向き合うべきテーマが存在します。

AIを当たり前に使うこの世代は、「自分に寄り添い、柔軟に応答してくれるAI」とのコミュニケーションには非常に習熟しています。その一方で、「自分とは異なる意見を持つ他者と対話し、意見をすり合わせながら最適解を見出す」という経験を積む機会はまだ少ないことがほとんどです。

AIはどのような表現であっても寛容に受け止めてくれますが、実際の職場においては、上司や先輩、顧客と意見を交わしながら業務を進める必要があります。

  • 相手の意図や背景をフラットに傾聴すること
  • 自身の考えや意図を正確かつロジカルに言語化すること
  • 意見の相違を恐れず、互いに納得のいく結論を導き出すこと

こうした「対話の基本動作」をしっかりと身につけることこそが、AIという先進的なツールを組織の成果へと結びつけるための土台となります。

AIをマネジメントし、組織で協働し成果をあげる

これからの新人教育において重要となるのは、まさに「2つのコミュニケーション力」をバランスよく育むことだと考えます。

  • 「AI」に対して的確に意図を伝え、最大限に成果を引き出すコミュニケーション力
  • 「人間」と多様な意見を交わし、協働して成果を上げるコミュニケーション力

ツールの操作方法を学ぶだけでなく、その根底にある「言語化力」や「対話力」をしっかりと育むプロセスがあって初めて、新入社員は組織の即戦力として真価を発揮します。

コミュニケーション研修~デキる「ホウ・レン・ソウ」

本研修では、社会人としての考え方や意識を身につけ、仕事の基本コミュニケーションである「報告」「連絡」「相談」について学びます。理論や手法だけでなく、例えば「報告を受ける人への配慮(=タイミング、言い方等)」など相手目線でのコミュニケーションについても理解を深めます。

到達目標

  • ホウ・レン・ソウの重要性と、それぞれの目的を理解する
  • ホウ・レン・ソウをするかどうかを判断し、使い分けて実行できるようになる
  • 相手目線でホウ・レン・ソウの仕方(伝え方)を考えることができるようになる

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣の詳細はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

生成AIへの仕事の任せ方ワークショップ~120%のポテンシャルを発揮する

生成AIをより本格的に業務へ活用しようとする際に多くの方が直面するのが、どんな場面で使えるかわからないという問題です。

本研修では、リサーチ・思考・資料作成・DX・自己研鑽という5つの視点で、生成AIを活用するコツをワークショップ形式で学びます。
生成AIと自身のポテンシャルを最大限に引き出す使い方を身につけられる、体感型の研修です。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣の詳細はこちら

(新入社員・新社会人向け)生成AI活用研修~社会人に求められるAIリテラシーを身につける

新入社員が生成AIを安全かつ効果的に活用できるようになることを目的に、業務に直結する使い方やさまざまなリスクを学びます。後半ではシステム障害で生成AIが使えなくなった設定でワークに取り組み、注意すべきポイントや依存リスクをおさえます。

基礎的なリテラシーを身につけ、生成AIと共に成果を生み出せる社会人を目指す内容です。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

「AIと働く」研修シリーズ

本シリーズでは、普遍的なビジネススキルの習得をベースとし、業務の効率と成果をさらに高めるための実践的な手法としてAI活用のポイントを組み込んでいます。

既存の知見に生成AIという新たな視点を加えることで、現代のビジネス環境に適したスキルの習得と、生産性の向上を目指します。

>詳細はこちら

関連読み物一覧

関連シリーズ一覧

新作記事