インソース マーケティング&デザイン室

教えたはずの敬語やマナーができない理由は?新人31名の声から導く「新人教育・5つの設計ポイント」

新人研修のカリキュラムを「去年の踏襲」で終わらせていませんか?

「ホウ・レン・ソウができない」「敬語がおかしい」「マナーを理解していない」毎年繰り返されるこうした新人のつまずきは、実は、研修時間や教える内容の問題ではないかもしれません。

今回、インソースの新入社員に「最も印象に残った新人研修テキスト」のアンケートを実施したところ、31名もの社員が『ビジネス基礎』を挙げました。

本記事では新人のリアルな声をもとに、「新人は実際に何でつまずくのか」「何があれば定着するのか」を5つの設計ポイントに整理しました。自社で内製研修を組まれている方も、外部研修やテキストをご検討中の方も、新人教育の質を底上げするヒントとしてご活用ください。

1.「マナー」より前に「意識転換」~学生と社会人の境界線を新人自身に言語化させる

新人教育を、いきなり名刺交換や敬語の話から始めていないでしょうか。実はここに、定着しない教育の最初の落とし穴があります。

「最初のワーク」~学生と社会人の違いを考える

印象に残った最初のワークとして繰り返し挙げられたのが、「学生と社会人の違いを考える」というシンプルな問いかけでした。

「学生気分から抜け出し切れていなかった自分に足りていないものが明確になりました」

「社会人としての意識を自分事ととして捉え直してから学べたのが良かったです」

ポイントは、新人に「正解」を教えるのではなく、新人自身に違いを言語化させることです。「責任の範囲が広がる」「給与をもらう以上、求められるものが変わる」といった気づきを、本人の言葉で出させる。同期とのグループワークで意見を持ち寄ると、自分一人では出てこなかった視点まで引き出せます。

このフェーズで併せて押さえたいのが、コンプライアンスやSNSの扱いです。勤務時間外の振る舞いや会社情報の取扱いといった、入社前は他人事だったテーマも「組織人として」の文脈で語ると、新人の受け止め方がまったく変わります。マナーは「型」の前に「なぜ守るのか」の腹落ちがあって初めて定着するのです。この順番を守ってみてください。

2.「正しいと思っていた」を崩すワーク~知識インプットだけでは敬語は定着しない

新人アンケートでもっとも多く出てきた気づきが、「正しいと思っていた敬語が、実は違っていた」というものでした。

「正しい・できていると思っていたことが私自身の常識であり、本来の正しい認識ではなかったことにも気が付くことができました」

「二重敬語やニュアンスの違いなど、自分の課題に気づくことができました」

ここからわかるのは、新人は「知らない」のではなく「間違って知っている」ということです。「正しいと思い込んでいた」表現を、単なるインプットだけで矯正することは困難です。

敬語を定着させる3つの仕掛け

定着には3つの仕掛けが必要です。

1つ目は、間違いやすい代表例を一覧化したテキスト。新人が自分で気づけるよう、よくある誤用と正解を並べて見せます。

2つ目は、穴埋めや言い換えのワーク。一方通行の講義ではなく、自分の手で書かせて添削する。「自分のズレ」を体感した瞬間が、もっとも記憶に残ります。

3つ目は、ロールプレイングでの実演。電話応対や来客応対の場面で、咄嗟に砕けた表現が出てしまう新人は珍しくありません。声に出して練習することで、ようやく「使える敬語」になります。

「電話などでとっさに話すと砕けた表現をしてしまうなど、自分に足りない部分が浮き彫りになりました」

「声に出して練習してみることで、自信をもって挑もうと思うことができました」

配属後にお客さまの前で恥をかいてから直すのか、研修中に安全に間違って安全に直すのか。「間違える場」を意図的に設計することが、新人教育担当者の腕の見せどころです。

3.名刺交換・電話応対は身体記憶~ロープレと「例外議論」が現場対応力をつくる

名刺交換、来客応対、電話応対、訪問マナーなどは、知識として理解していても、現場でいざ動こうとすると次の一歩が出ません。理由はシンプルで、所作は身体記憶に紐づくため、頭で覚える勉強と身体で覚える勉強の両方が必要だからです。

「名刺交換は初めてだったので、名刺を出すタイミングや置くタイミング、置く位置などひとつひとつの動作が勉強になりました」

「電話応対の基本フロー図があり、全体のするべきことが分かりやすく、その後に具体例もあり実際の対応を想像しながら学ぶことができました」

ペアワークやグループでのロールプレイングは、新人教育の標準装備にしてください。テキストや動画教材で「やり方」を学ぶフェーズと、実際に身体を動かして繰り返すフェーズを、必ずセットで組みます。

同期同士の「例外ケース議論」が現場対応力を生む

さらに、ペア・グループ学習にはもう一つ大きな効用があります。それが「例外ケースの議論」です。

「テキストとは異なるパターンでの名刺の置き方に関して、一緒に受講した同期が疑問に思い、講師の方に伺って解決しました。着任後の商談同席の際にその時の知識を活かすことができました」

テキストや動画はパターンを網羅できません。しかし現場には例外がつきものです。同期同士が「こういうときどうする?」と疑問を出し合い、トレーナーや講師に確認する場があると、テキストにない知識まで埋まります。孤独な座学では絶対に発生しないこの議論こそ、集合形式の教育の最大の価値です。配属後の商談同席や来客対応で、こうした例外パターンに落ち着いて対応できる新人は、ほぼ間違いなくこの議論を経験しています。

4.ホウ・レン・ソウは「進捗30%・50%」「1日4回」と数字で教える

「困ったらすぐ相談してね」新人へのこの一言、何度繰り返しても効果が薄いと感じたことはありませんか?

新人がもっとも悩むのは、ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)のタイミングです。「いつ報告すれば早すぎず遅すぎないのか」「どこまで自分で考えてから相談すべきか」この判断基準を新人は持ち合わせていません。だからこそ、抽象的な「ホウ・レン・ソウは大切」「困ったら相談」だけでは、新人は一歩目を踏み出せないのです。

数字と型で「判断基準」を渡す

「進捗が30%・50%の段階で報告・確認を行うことで、早い段階で修正が可能となり、結果的に効率よく業務を進められることを理解しました」

「新人のうちは1日最低4回は中間報告をするという記載を見て、ためらわずに報告をしようという意識になりました」

「ホウ・レン・ソウの6W3Hなど、実務に直結する内容を学び、現場を意識した行動の必要性を強く感じました」

新人の声から見えるのは、具体的な数字や型を渡すと、新人は迷いなく動けるという事実です。

  • 中間報告は進捗30%・50%の段階で
  • 新人のうちは1日最低4回の中間報告を習慣化
  • 報告内容は6W3H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どうやって・いくつ・いくらで・どのように)で整理
  • 仕事の進め方はPDCAサイクル、品質管理はQCDRS(品質・コスト・納期・リスク・サービス)で考える

「相談してくれない」と新人に苛立つ前に、判断基準を渡せているかを見直してみてください。基準さえあれば、新人はためらわず一歩目を踏み出せます。

5.配属後も「辞書」として開かれるテキストの5条件

新人研修は通常、数日から1か月程度で終わります。しかしテキストはその後もずっと新人の手元に残ります。費用対効果を最大化したいなら、テキスト設計こそ最大の投資ポイントです。

新人31名のアンケートでもっとも多く言及されたのが、配属後のテキスト活用でした。

「配属後も、疑問が生じたときにこのテキストを使って再確認をしており、まるで『永久保存版の教科書』のように感じています」

「敬語に不安を感じていましたが、一覧になっているため復習しやすく、辞書のように見返して使えます」

「製本されたテキストなので手元に残すことができ、実際に配属後に敬語やホウ・レン・ソウで迷ったときは見返して勉強しています」

手元に残るテキスト・5つの条件

新人が手元に残したくなるテキストには、共通する5つの条件があります。

1つ目は、フルカラーの製本仕様。データ配布や白黒コピーのテキストは、配属後ほぼ確実に捨てられます。

2つ目は、敬語や応対表現の一覧性。辞書として開ける検索性が、再利用の前提条件です。

3つ目は、「本文+α」の構造。本文の脇に「先回りした豆知識」や「間違いやすい例」が散りばめられていると、新人が「細かいことで質問するのもためらわれる」と感じる疑問を、テキストが先回りして解決します。

4つ目は、書き込みできる余白。受講中のメモや講師のプラスα情報を書き込めることで、新人だけの専用テキストへと進化します。

5つ目は、章立ての検索性。目次から目的の章にすぐ飛べる構成が、配属後の「困ったときの辞書」化を支えます。

「テキストに書き込むことができ、あとから見てもメモや重要な部分が確認できます」

「本文+αで先回りして悩みに対する豆知識のようなものがある点が特に印象に残っています」

内製テキストを使われている場合も、市販テキストや研修パッケージをご検討中の場合も、この5条件で手元のテキストをチェックしてみてください。

まとめ:新人教育を設計する5つのチェックポイント

新人31名の声から見えた、新人教育で本当に効く設計ポイントを改めて整理します。

  1. いきなり「型」から教えず、学生と社会人の違いを新人自身に言語化させること。
  2. 敬語や言葉遣いは「間違って知っている」を崩すワークを必ず組み込むこと。
  3. 名刺交換や電話応対はロールプレイングと例外議論で身体に染み込ませること。
  4. ホウ・レン・ソウは「進捗30%・50%」「1日4回」など数字と型で判断基準を渡すこと。
  5. テキストを配属後も開かれる「辞書」として設計すること。

自社内製での研修を運営されている方も、新人教育の質に少しでも不安があれば、まず手元のカリキュラムとテキストをこの5条件で点検してみてください。

そして「自社だけで全部はむずかしい」「テキストだけでも品質の高いものを使いたい」「同期間のグループワークまで含めて、まとまった環境で学ばせたい」とお考えのご担当者さまは、ぜひインソースのテキスト・研修をご活用ください。

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