新たな職場で直面する「コミュニケーションの壁」を乗り越えるための万能薬とは

中途採用者として新しい職場に移ったとき、これまでの経験やスキルがあるにもかかわらず、なぜか思うように力を発揮できない。そんな声を耳にすることがあります。
その背景には、能力の問題ではなく、新しい職場ならではのコミュニケーションのつまずきが潜んでいることが少なくありません。本コラムでは、中途採用者が早期に職場へ適応し、成果を上げていくために押さえておきたいコミュニケーションの視点を、五つのテーマに沿ってご紹介します。
目指すゴールが揃わなければ、職場でのコミュニケーションは空虚なものとなる
中途採用者がまず直面しやすいのが、「上司の期待」と「自分の理解」とのズレです。
たとえば、前職の経験を活かして改善提案をたくさん出したにもかかわらず、上司からは「今やって欲しいのはそれではない」と言われる。
丁寧に資料を作ったつもりなのに「先にドラフトを見せて欲しかった」と指摘される。こうしたすれ違いは、本人の能力不足というより、成果の定義と評価の基準が揃っていないことから起こります。
その職場で「何をもって成果とするのか」、そして「どう動けば評価されるのか」。この認識が揃っていなければ、どれだけ丁寧にやり取りを重ねても、コミュニケーションは空虚なものになってしまいます。仕事に取りかかる前に、求められている成果は何かを今一度確認し、上司と認識を合わせておく。この一手間こそが、実りある対話の出発点になります。
今の職場の「良い行動」を理解できないと、ぎくしゃくすることになる
どの職場にも、はっきりとは明文化されていないものの、「こういうコミュニケーションの取り方が望ましい」とされる暗黙の作法があります。たとえば、自分の判断で進める前にひと声かけて確認する、結論を出す前に関係者を巻き込んでおく、直上のリーダーが先に目を通してから上司に報告する。こうした「良しとされる行動」は職場ごとに異なり、前職の感覚のまま動くと、悪気は無かったのに不必要に周りとの関係をぎくしゃくさせてしまいます。
報連相の取り方も、その一例です。前の職場では「ある程度自分でできるところまでやり切る」ことが評価されていても、新しい職場では「こまめに共有しながら進める」ことが好まれる、というように、良い報連相の仕方が異なることは珍しくありません。まずは、この職場では何が良いとされているのかを観察し、つかみ取ろうとする姿勢が大切です。
業界によって異なるコミュニケーションにおける常識
コミュニケーションの常識は、業界によっても大きく異なります。たとえば、スピードが重視される業界では、多少未完成でも早めに共有し、走りながら修正することが歓迎される場合があります。一方で、金融、医療、インフラといった、正確性や安全性が重視される業界では、確認の手順や記録を残すことが極めて重要になります。
また、IT企業やベンチャーではチャットでのやり取りがごく普通に行われますが、行政、金融、法務関連の職場では、メールや文書で正式に残すことが重視されます。会議についても、意思決定の場として位置づける職場もあれば、事前調整を終えた内容を共有する場として扱う職場もあります。
違う業界から転職してきた場合、こうした差は想像以上に大きな戸惑いになります。「なぜこんなに確認が多いのか」「なぜチャットがダメなのか」「なぜ会議にこんなに事前準備が必要なのか」と感じる場面もあるでしょう。しかし、その違和感の裏には、その業界が守ってきた品質、リスクの位置付け方、顧客への向き合い方といった、重要な要素が潜んでいる可能性があるのです。
職種によってもコミュニケーションの流儀は異なる
違いは業界だけにとどまりません。同じ会社の中でも、職種によってコミュニケーションの流儀は異なります。
たとえば、その場の空気を読んで相手の要望を汲み取る接客の現場と、仕様や条文で曖昧さを排するエンジニアや法務の現場とでは、伝え方の前提が違います。個人の成果が明確な営業職と、複数人で業務を分担する事務職とでは、求められる動き方も変わってきます。
中途採用者の中には、同じ業界で職種を変えて転職する人もいれば、逆に職種は同じだが業界を変えて転職する人もいます。いずれの場合でも、「この職場での当たり前は何なのか」を捉えるべく、常にアンテナを張っておくことが、円滑な連携につながります。
「前向きさ」であらゆるコミュニケーション文化の違いを乗り越える
ここまで見てきたように、職場のコミュニケーション文化は、業界や職種によってさまざまに異なります。そのすべてをあらかじめ知り尽くすことはできません。そんな時の「万能薬」ともいえるものが、「前向きさ」という姿勢です。
前職との違いに気づいたとき、すぐに「非効率だ」「古いやり方だ」とネガティブに評価するのではなく、まずは背景を確かめようとする「オープンマインド」な姿勢で向き合います。また、自分と異なる相手に敬意をもって接する「リスペクト」の姿勢も大事です。
そして、入ったばかりの組織のあらゆる問題を自分事として捉える「オーナーシップ」、誠実さを保ちながらも自分の考えを率直に伝える「アサーティブネス」。こうしたさまざまな「前向きさ」があれば、どんな文化の違いに出会っても、対立ではなく相互理解に向けた解決が図れるのです。
中途採用者向け研修「コミュニケーション編」~職場に速やかに適応する
本コラムでご紹介してきた視点は、いずれも中途採用者が新しい職場で力を発揮するために欠かせないものです。こうした内容を体系的に学んでいただける公開講座をご用意しています。
本研修は、新しい職場での信頼関係の築き方や、適切なコミュニケーションの取り方を身に付けることで、早期の職場への適応を促し、成果を上げられる人材となっていただくことを狙いとしています。また、どの程度の報連相を行うことが望ましいのか、どこまでの範囲の関係構築が求められるのかといった、中途採用者が悩ましく思う具体的なテーマを取り上げながらお伝えしていきます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 新しい職場でのコミュニケーションルールを理解するポイントが知りたい
- 困った時に相談できる相手を見つけるコツを教えて欲しい
- 社内の人的ネットワークにできるだけ早くアダプトし、活躍してもらいたい
本研修の目標
- 新しい職場での「成果の定義」と「評価の基準」を理解する
- 前の職場と今の職場でのコミュニケーション文化の違いを理解する
- 社内での有益な人間関係を構築するためのポイントを知る
セットでおすすめの研修・サービス
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中途採用者が一日も早く戦力となるためには、まず、本人にかけられている「期待値」を正確に捉える必要があります。
その期待値に応えるような活動を行うことで、早期に成果を出せるようになることを目指す研修です。
中途採用者向け研修「スキルアップ編」~経験を早く成果につなげる
中途採用者が新しい職場で成果を上げていくためには、自身の役割に求められるスキルセット(To Be)と、現状の自身が備えているスキルセット(As Is)とのギャップを可視化し、それを埋めていくアプローチが欠かせません。そのAs Is-To Beモデルの考え方にもとづいてスキルアップ計画を立てていただきます。
中途社員向け研修~オンボーディング・まず上司と話し合う5つのこと
本研修のワークでは、中途採用社員(出向者)の方に、まず新しい職場で求められる役割を考えていただき、そのうえで自分の強みを活かしてどのように活躍するかについて、上司と1対1面談で話し合うことを5つの視点で具体化していただきます。





