「お客さまに体ごと向き合う・はっきり話す」の重要性~自信のなさ、不誠実さが現れるしぐさを知ろう

売り場におけるお客さまとのやり取りにおいて重要なのは、正確な説明や商品知識だけではありません。姿勢の良しあしや声のとおり方、話し方といった非言語的要素が、信頼感を左右します。
例えば、体を斜めに傾けたり、片足に体重をかけて腕を組んだり、のけぞるような姿勢で振り返ったまま話をするなどの態度は、誠意がないように映ります。また、ボリュームが小さく、聞き取りにくい話し方は「頼りない、子供っぽい、コミュニケーション能力が低い」と受け取られ、不安を招きます。本記事では、接遇改善の具体的なアクションを示し、顧客満足度向上につながる実践ポイントを紹介します。
第一印象を決める「姿勢と目線」
相手にしっかりと体を向けることの効果
胸や足先までお客さまに向ける行動は、相手に「あなたを尊重しています、おっしゃることにきちんと向き合います」というメッセージを届けます。顔だけ向ければ十分、作業の手を止めないまま質問に答えたほうが時間も節約できるという考え方は、誠実さに欠ける印象を与えかねません。おへそを相手に向けるだけで、相手の信頼感や安心感が大きく変わるという事実を知っておくことが大切です。
ただし、真正面から向き合うと、場合によっては少し威圧的に感じられることもあります。相手が驚いたり、緊張しているように見えたときは、速やかにお客さまの斜め前あるいは横に並ぶようにポジションをとり直し、同じ方向を向いて目的のものを一緒に探す「頼れるパートナー」であることを体現します。
アイコンタクトをとる~直視するのが苦手なら、「目があった」と錯覚させる
お客さまと目線を合わせることも良い印象につながる重要なファクターです。もし、直視することがどうしても苦手、というスタッフがいるのであれば、相手の眉間や鼻のあたりなど、目から少し離れた場所を見るように促すとよいでしょう。そうすることで、相手には「しっかり目を見て話している」という印象を与えられます。少なくとも、顔を見て話すだけでも相手に良い印象を与えることができます。
売り場で相手に悪い印象を抱かせる立ち姿~不遜な態度ってどんなもの?
「不遜(ふそん)な態度」とは、おごり高ぶって謙虚さがなく、人を見下すような態度や、礼儀に欠ける横柄な振る舞いのことです。相手の顔を見ない、むやみに手を動かす、腕を組む、足を組む、猫背になるといったしぐさが無意識に表れていると、「面倒に思っている」「関心が薄い」と受け取られてしまいます。背筋を伸ばし、やや前傾でお話を聞く姿勢を取ることで、お客さまは自分の話が大切に扱われていると感じます。
信頼を損なう「声」と「話し方」
声が小さいと不安を招く。50dB~60dBが適正値
声が小さいと、相手はあなたの話すことをきちんと聞き取れません。聞き返す手間が増えることでストレスを感じ、接遇全体の評価が下がってしまいます。自信のなさや準備不足と誤解されることもあるため、適度な声量が欠かせないのです。静かな売り場では50dB程度(少し離れた人にも届く程度の声)、にぎやかなBGMを使っている店舗では60dBほど(隣の人にしっかり届く声)が好ましい、と言われています。いずれの場合も大切なのは、その場の環境に合わせて、相手に確実に届く声量を意識することです。
はっきり話さないことの悪影響
語尾を濁したり、もごもごとした話し方をすると、顧客は「ごまかしたいことや隠していることがあるのでは」「適当に応えてこの場を済ませようとしている」と不信感を覚えます。情報を正しく伝えることはもちろん、言葉を明確に発することそのものが、信頼を築く要素となります。
【改善のための工夫】
- 発声前に一呼吸置き、口を大きく開けて発音する
✖(質問をされた後)...あぁ...そうですね‥‥
○(質問をされた後)はい!そうですね... - 語尾を伸ばしたり曖昧にせず、最後まで言い切る
✖~なので入荷の目途が立っていなくてですねぇ...
○~なので入荷の目途が立っておりません。ご不便をおかけし恐縮でございます。
こうした練習を繰り返すことで、お客さまに安心感を与えられるようになります。
1回では定着しない。継続的なトレーニングやチェックは必須
姿勢や話し方は、意識をやめるとすぐに元に戻ってしまいます。接遇教育やロールプレイングで折に触れ繰り返し練習することで自然に定着し、現場での接遇力向上につながります。良い振る舞いが自然にできていることが見られたら、そのことを承認する・ほめることもスタッフのモチベーションを維持する秘訣です。
EC時代の接遇力向上研修~「対面」ならではの価値を提供する
商品の情報はインターネット上で把握しているが、最終確認のためだけに店舗に足を運ぶというお客さまも少なくありません。
改めて「個客」対応を考え、デジタル時代の新たな視点でサービスを見直すきっかけにすることをねらいとしたプログラムです。
よくあるお悩み・ニーズ
- サービスのデジタル化が進む中で顧客が対面接客に求めていることを知りたい
- デジタル化を進める一方で、対面接客の質を向上させ、顧客満足度(CS)を高めたい
本研修の目標
- デジタル化が顧客にもたらしたメリットを把握する
- 顧客が求めている接客のニーズを理解し、それに応じた対応ができるようになる
セットでおすすめの研修・サービス
CS調査サービス
貴社オリジナルの調査シートを、重視する項目を勘案しながらインソースが作成します。調査をするのは接遇のプロフェッショナルとして長年現場で活躍してきた講師です。
分析結果をもとに、強化すべき点・改善策をご提案いたします。
接客における所作・立ち居振る舞い・体の使い方レベルアップ講座
本動画では、不要に動きすぎないことや放物線を描くような声のかけ方、焦点を定めたまなざしなど、講師が細やかに体現しながらポイントを解説する動画コンテンツです。
接遇環境に応じたお客さまとの距離の保ち方や親しみを感じる立ち位置にも言及します。案内の場面における印象に残る数字の示し方、お客さまの次の行動を読んだものの渡し方のコツなども学べます。


