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復唱と確認会話がクレームを防ぐ鍵〜指示の理解度を高め、気が利くスタッフを育てる会話術

忙しい飲食店では、オーダーや業務指示が飛び交い、言葉の行き違いが起こりやすい環境にあります。伝達ミスが原因で料理を誤って提供したり、接客対応がずれてしまったりすることも少なくありません。こうした小さなズレが積み重なると、クレームの発声や顧客満足度の低下に直結します。

このコラムでは、飲食店スタッフへの指示理解を確実にし、トラブルを未然に防ぐための「復唱」と「確認会話」の重要性を解説します。さらに、気が利く・ホスピタリティのあるスタッフを育てるための具体的な指導ポイントも紹介します。

指示を正確に伝える力がクレームを防ぐ

「わかったつもり」が一番危険

現場で起こるミスの多くは、スタッフが「理解したつもり」になっていることが原因です。特に新人スタッフは、先輩や上司の指示をよく理解できていなくとも「(とりあえず)はい」と即答する傾向があります。つまり、「はい」の返答は、本当に指示内容を理解していることを意味しているとは限らないのです。

例えば、「あのテーブル片づけておいて」とリーダーであるあなたが指示をした際、スタッフは「どのテーブル?」「どの程度片づける?」という意図を十分に把握できていないかもしれません。このような指示の曖昧さが、現場の混乱やクレームにつながります。

指示代名詞を避け、個別具体的な言葉で伝える

「これ」「あれ」「そこ」などの指示代名詞は、忙しい現場では非常に危険です。聞き手の理解度に依存しすぎるため、状況が変われば簡単に誤解を生みます。

たとえば、「あっちの席お願い」と言うよりも、「窓際の4番テーブル、次のお客さまを3分内でお通ししたいからすぐにバッシングしてくれる?」と具体的に伝えることで、スタッフが正確に動けるようになります。こうした具体的な言葉の積み重ねが、チーム全体の連携力を高めます。

復唱と確認会話で相手の理解度を可視化する

復唱:聞く力と理解力を鍛える訓練

指示を受けた側が内容を自分の言葉で復唱することで、理解のズレを即座に確認できます。たとえば、「3番テーブルのお客さまにデザートをお出しして」と言われた際、「3番テーブルですね。最後のデザートをお持ちします」と相手から聞いた言葉をそのまま繰り返して、聞き間違いや聞き漏れがないかを確認します。情報伝達の正確性を高め、聞き手と話し手の間で認識が一致しているかをチェックします。

確認会話:「ズレ」をその場で修正する

復唱と並んで重要なのが確認会話です。指示を受けた後に「今日は赤があと1本しか提供できない、ということですね」「お客さまにお伝えするタイミングはメインのサーブ前でよろしいですか」と指示内容を自分の言葉に置き換えて声に出すことで、行動前に誤解を防ぐことができます。

この一手間があるかないかで、ミスの発生率は大きく変わります。確認会話を習慣化することで、スタッフ一人ひとりが自ら考え、判断できるようになり、結果的に「気が利く人材」へと成長します。

クレーム予防につながるコミュニケーションの工夫

1.スタッフ同士の連携確認を怠らない

飲食店のクレームは、スタッフ間の情報共有不足から生じることも多くあります。たとえば「誰が対応するのか」「どのテーブルに提供済みなのか」が共有されていないと、同じ料理を二度運ぶ、オーダーが抜けるなどのトラブルが起こります。

シフト交代時や混雑前のミーティングで、今日の注意点や予約のお客さまからの特別注文などを共有する時間を確保することが大切です。短時間でも、復唱を交えながら確認するだけで、現場の精度が格段に上がります。

2.クレームは「学びの材料」として扱う

ミスやクレームが発生した場合は、叱責ではなく原因を共有し再発防止策を話し合う機会と捉えることが重要です。「どのような言葉のやりとりで誤解が生まれたか」「確認のタイミングを逃した理由は何か」を振り返ることで、組織全体のコミュニケーションが進化します。リーダーが率先して言葉を丁寧に扱う姿勢を見せることが、現場全体の意識変革につながります

確認習慣の積み重ねが、気が利く・ホスピタリティがある人材を生む

「気が利く」とは、相手の意図を正しく読み取り、必要な行動を先回りしてとれることです。これは生まれつきのセンスではなく、確認と観察の習慣から生まれます。

店長からの指示を受けて「今のうちにシルバーを多めに出しておけば安心ですね」と補足する、またはお客さまの様子を見て「お水をお持ちしましょうか」と声をかける。このような気配りは、復唱・確認を重ねる中で自然に身につく力です。ホスピタリティ教育においては、まず理解する、相手に確かめる、行動で応えるという3段階を意識的に繰り返すことが、質の高い接客を実現します。

確認を習慣化することで、クレームのない現場へ

飲食店におけるクレームの多くは、言葉の曖昧さや確認不足から生じます。

「あれ・それ・これ」を避け、復唱と確認会話を徹底することで、スタッフ一人ひとりの理解度が高まり、結果としてお客さまへのサービス品質は向上します。確認の習慣は、クレーム防止だけでなく、スタッフ同士の信頼関係の構築にも役立ちます。日々のやりとりの中で、丁寧に言葉を使うことこそがチームの強さを支える基盤であることを意識しましょう。

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