
インソースの2024年CEOメッセージ
スピーディーな組織変革とサービス開発で社会課題を解決し、2027年には売上高200億円を目指します。
2024年9月期を振り返っていかがでしたか?
全体の売上は、120億円を達成し、4期連続で最高売上。営業利益、売上総利益ともに、過去最高となりました
全事業で伸長、特にITサービス事業で前年比39.7%増加
全事業で増収となり、連結売上高は前年比15.7%増の約124億円、売上総利益も前年比16.6%増の約96億円でした。
研修事業ではDX関連のニーズが高く、講師派遣型研修事業の売上が前年比11.6%増、うちDX関連研修は前年比35.1%伸長しました。公開講座事業は、売上高が16.9%増、DX関連受講者数は前年比27.6%増となりました。 ITサービス事業は、全事業を通じて最も伸び率が高く、前年比39.7%増加しました。第2四半期に文部科学省や厚生労働省などの中央官庁にて新規大型案件の納品が完了し、通期を通して、アクティブユーザー数が前年比40%以上伸びたことは大きな成果といえます。 その他事業では、動画・eラーニング事業やコンサル・アセスメント事業の売上が拡大しました。
一方で、人件費の伸びが想定より抑制されたため、販管費率は前年比2.4ポイント減となっています。25年9月期も引き続き優秀な人材を積極採用していきます。
25年9月期上期は顧客セグメントに合わせた営業活動とデジタル分野のコンテンツ開発を強化
これまでの重点顧客セグメント別の商品開発、販促戦略に加えて、各営業本部に実績ある本部長を配置し、競い合いながら活動した成果が、徐々に数字として表れつつあります。
例えば第四営業本部では、「Leaf」を中央官庁に導入した実績と経験を活かし、25年3月末までに、北海道、千葉県、神奈川県の1道2県において3~4カ年の研修業務事業委託、総額10億円の実施業者に選定されました。 各本部が独自の方針を掲げて、お客さまのニーズに合わせて機動力高く活動できるようになったことで、社内での競争が加速し、よいシナジーが生まれています。
コンテンツの開発については、デジタル分野を最重要分野に設定しており、24年9月期は合計115本の研修を開発しました。マーケットインで、具体的な業務に合わせた生成AI活用やOAスキル等のラインナップを拡充しています。今後も、インソースグループの力を結集し一丸となって、コンテンツ開発を推進します。
中期経営計画「Road to Next2027」について教えてください
「コンテンツ」と「デジタル」を旗印に、売上200億円、営業利益78億円を目指します
安定した財務基盤と仕組みを生かして大胆に成長
2027年9月期の売上高は200億円、営業利益は78億円を目標としています。 当社はこれまで持続的に成長してきましたが、投資家の皆さまから求められているのはもっと大胆な成長だということは十分に認識しています。
改めて現在の当社を俯瞰し、財務基盤の安定した、よく仕組み化された企業体に育ったと考えています。この仕組みを存分に活用して、「コンテンツ」と「デジタル」をキーワードに、さらなる成長を目指します。 また、BtoC向けのサービス提供も開始し、知名度向上、ブランド力強化にも注力します。 さらに、当社グループの力になる組織があれば、十分に検討したうえでM&Aも検討しながら成長していきたいと考えています。
戦略①コンテンツによる成長~網羅的に開発・調達
現在の主力サービスである社会人教育を実施するプロセスで、強力な開発体制を構築し、年間360タイトルの研修コンテンツを開発し続けています。また、講師派遣型研修や公開講座、対面研修やオンライン研修、そして動画・eラーニング等、多彩なチャネルで展開しています。 この強力なコンテンツ群とマーケティング力で、20年以上の持続的な成長を実現してまいりました。
今後は業界別、部署別、実践的なDXなど細分化したニーズに対応すると共に、コンテンツの開発・提供対象をエッセンシャルワーカーにも広げ、日本で働く人のニーズに網羅的に対応し、市場シェアをさらに上げ、成長を実現していこうと考えています。
戦略②デジタル分野での成長~80億円超えを目指す
当社のデジタル分野のサービスには、クラウドサービスの「Leaf」、動画・eラーニング、DX分野の教育等があり、合計すると売上高全体の約30%の37億円以上にのぼります。 この分野の開発人材は揃っているため、新たな研修やサービスの開発を強化すると共に、斬新な新サービスを開発し売上全体の4割、80億円を超える成長を目指します。
戦略③BtoC分野の強化~知名度向上と新たな収益源確保
当社はこれまで、企業や官公庁向けにサービスをご提供し、人事部門における知名度は非常に高くなりました。 一方、まだまだ学生や20代の働く人における知名度は低く、採用活動でも苦戦している状況です。BtoC分野の新サービスを開発・ご提供していく中で、新たな収益源の確保と知名度の向上を同時に目指します。
生成AIの台頭が現在の主力である研修事業に与える影響をどう考えていますか
生成AIが発展・浸透しても、研修ニーズはなくならないと考えています
学習意欲やITリテラシーに左右されない、全体の底上げや組織力の向上には当社の教育が必要
生成AIを活用することで、プログラミングなど、コモディティ化している知識やテクニカルスキルの習得は可能です。 一方、生成AIを活用できるのは、自発的に学習する意欲がありITリテラシーも高い個人であり、自発性の低い方へ、時間的・物理的拘束力を発揮しながら働きかけることや、人と人との関係性にもとづく「気づき」の提供は、講師が携わる研修だからこそできることです。 現時点では、生成AIが当社事業に与えるマイナスの影響は、さほど大きくないと考えています。
生成AI活用の研修コンテンツは現在30本、当社ビジネスにも生成AIを活用。共存を目指す
当社は生成AIをリスクとしてのみ考えるのではなく、生成AIとの共存を目指しています。 実際に、2023年4月以降ご提供している、ChatGPTやCopilotを始めとした生成AI活用に関する研修コンテンツや動画教材への引き合いが強く、業種別や職種別など、ラインナップも充実してきました。 当社ビジネスにおいても、業績拡大、業務改善に向けて生成AIを活用しています。今後も、リスクも十分に調査しながら、最大限活用していこうと考えています。
インソースの競争優位性は何ですか?
1.「サービス提供における分業型プロセスの擁立」
2.「研修業をコンテンツビジネスと定義して展開したこと」
3.「IT の活用による生産性の向上」
4.「挑戦力と変化対応力」
研修サービスで分業体制を確立し、高品質な研修サービスを低価格で提供
当社の強みの1つ目は、研修サービスにおいて、分業型ビジネスモデルが確立できていることです。
従来の研修サービスは、企業に講師を派遣する仕事でした。派遣される講師が、お客さまと打ち合わせをしながら、教育コンテンツであるテキストそのものも自ら時間をかけて開発し、講義も行うスタイルが一般的でした。 当社では、研修サービスの提供プロセスを「お客さまとの折衝・調整」「テキスト開発」「講義の実施」に分解し、それぞれ営業担当者、コンテンツ開発クリエイター、講師の三者間でITを活用して分業のうえ協業しています。
具体的には、まず営業担当者がお客さまのニーズをヒアリングし、データベースから最適な研修プログラムをご提案します。受注後、コンテンツ開発クリエイターがそのプログラムをもとにお客さまの個別ニーズを加味したオリジナルテキストを短時間で開発します。 そして、講義スキルの高い講師がそのテキストで講義に専念するという仕組みです。 その結果、評価の高い講師が多数の研修に登壇可能となり、質の高いコンテンツを低価格で提供できるようになりました。そして、それが当社の研修サービスの高い競争力につながっています。
研修サービスを「コンテンツビジネス」と定義し、開発したコンテンツはデータベース化して展開
2つ目は、研修サービスを「コンテンツビジネス」と定義したことです。
開発した研修コンテンツはすべてデータベース化されています。同じコンテンツを講師派遣型研修、公開講座、eラーニング・動画サービスなどに多重活用することにより、売上総利益率を高めています。その結果として、高い営業利益率につながっています。 研修サービスは人材サービスに分類されることが多いのですが、当社はコンテンツビジネスに近いと考えています。毎年300種類以上の新コンテンツを開発し、競争力の維持に努めています。
業務プロセスのIT化で 生産性向上と持続的な成長を実現
3つ目は業務プロセス全体のIT化です。当社では、経験の浅い若手社員でもミスやトラブルなく仕事ができる仕組みを、ITを活用して構築しています。
従来、研修サービスは業務を深く理解したベテラン営業担当者でないとミスなく業務を遂行することができないといわれていました。しかし、徹底的に自社開発のシステムで業務をIT化することにより、入社3年目程度の社員でもベテラン同様の活躍ができるようになり、サービス提供プロセスの生産性向上に大きく寄与しました。
挑戦力と変化対応力で危機を乗り越える
4つ目は挑戦力と変化対応力です。コロナ禍後の成長が鈍化した際にも、スピーディーに組織変更や新サービスを開発するなど、仕事に対する考え方を大胆に変え、乗り越えてきました。
危機的な状況下では、社会人教育サービスはコストダウンの対象とされることが多く、ぼんやりしていると売上はダウンしてしまいます。よって、ミッションや組織を変更する痛みに耐えつつ、ハイスピードで変化する社会のニーズに合わせて自組織も変化し続けることが当社の強みになっています。
4つの強みを日常業務の中でみがき続けていることが持続的成長の理由
毎年、売上高と利益額を拡大することが経営において最重要だと考えています。それを実現するため、創業以来、当社は日々の業務の中で4つの強みをみがき続けています。その結果、コロナ禍やその後の環境変化にも対応し成長を続けています。このやり方に派手さはありませんが、当社が持続的に成長している理由はここにあると考えています。
競合他社と比較しての見解を教えてください
「多種多様な商品の展開」「お客さまの要望にぴったりな商品を廉価で提供できること」「新商品の開発スピード」の3点に優位性があると自負しています
社会人教育事業を行っている企業は、個人のコンサルタントも入れて2,000社以上あり、それぞれが顧客との強いつながりを持っています。単に価格や内容がよいだけでは生き残りが難しい業界です。 当社は他社と比べ、「多種多様な商品の展開」「お客さまの要望にぴったりな商品を廉価で提供できること」「新商品の開発スピード」の3点で優位性があると自負しています。
まず商品については、教育を中心に、人事に関するあらゆる課題の解決を目指しており、年間360本の新作研修コンテンツの開発や、他社との提携などによるサービス分野の拡充を続けています。 また、お客さまのご要望に合わせたカスタマイズや新商品の開発スピードは、あらゆるプロセスのシステム化、コンテンツのデータベース化により実現しています。さらに、システム開発を内製化しており、人事部門のDX化支援においても強みを持っています。
一方で若い社員も多く、あらゆる人事課題に対応できる当社のポテンシャルを伝えきれていない面もあります。 23年10月に設立したインソースコンサルティングでは、ベテラン営業メンバーを中心に、お客様のパートナーとして伴走するべく、研修体系の構築やアセスメントの設計など、社員教育の企画段階からのご支援を進めてきました。さらに25年4月にはインソース総合研究所も設立し、「研修会社のインソース」ではなく、「あらゆる人事課題に対応できるインソース」として、グループ全体で発展し続けています。
インソースはどのような経営を目指していますか?
コンテンツ開発、デリバリー強化、分社化で成長を続けます
コンテンツ開発で成長~最新、最速で顧客ニーズに対応
当社は「お客さまが求めるあらゆるもの」を「自分たちの力」で、「早く」、「最適」につくり、リーズナブルな価格で提供することに徹してきました。その結果、顧客ニーズから生まれた膨大な数のサービスがあり、それらの集合体が当社のサービス、そして売上につながっています。また、コンテンツビジネスの競争力の源泉であるサービス開発の内製化を徹底し、品質向上とコストダウンの工夫を続けることも日常的に行っています。とてもシンプルですが、これが当社のやり方です。
デリバリー強化で成長する~競争力のあるコンテンツを活用
当社は社会人教育分野で日本最大級のコンテンツを保有しています。これをいかに早く、幅広くデリバリーするかが成長の鍵だと考えています。当社の市場シェアは約3%程度ですのでまだ97%の市場があります。よって、現在、31(25年3月末時点)の営業拠点を早期に40拠点程度に増やし、地域密着のデリバリー体制で売上を確保していきたいと考えています。また、コロナ禍の20年に開始したECサイト「動画百貨店」は成長を続けています。得意とするDX力でこれに続く教育サービスのWeb販売をいっそう強化してまいります。また、アライアンスを推進し、代理店販売も拡充していきます。
分社化で成長~グループ経営を通じて成長する
組織が大きくなるにつれ、動きが鈍くなり成長も鈍化します。それを打破するには、分社化した各組織の意欲的なリーダーと経営マインドを持つメンバーが主体的かつ迅速に活動することが解決策だと考えます。
DX教育を推進するインソースデジタルアカデミーは19年4月に分社化により設立しました。インソースと異なりシニア層が多い会社ですが、DX革命の波に乗り、順調な成長を遂げています。構成員もカルチャーも異なる会社ですので、当社内の一部署であったならば急成長は望めなかったと考えます。今後も、教育ジャンルや機能毎に分社化を促進し、各々が強くなることでグループ全体の成長につなげていきたいと考えています。
サステナビリティに関する取り組み状況を教えてください
継続的な企業価値向上のため、グローバル基準で目標を定め、一歩ずつ着実に施策を進めています。
【E環境】2030年までにScope2を2020年比50%減の長期目標達成に向けて再生可能エネルギーを導入
当社グループは自然資本への依存や大規模生産装置を持たないため、他業種と比較しCO₂排出量は高くないものの、人員増加に伴い、エネルギー利用量は増加しています。 今後の気候変動リスクおよび機会への対応、2050年カーボンニュートラルを見据え、長期目標の1つに「2030年までにScope2(電気利用によるCO₂排出)を2020年比50%削減を実現」を掲げています。
達成のため、23年9月にインソース九州ビルをはじめとして、自社ビルへの再生可能エネルギー導入を進めてきました。24年4月にはインソース御茶ノ水スタジオ、同年9月には6拠点目となるインソース日暮里ビルへの導入が完了しました。これで全自社ビルへ再生可能エネルギーを導入したことになります。
加えて、「2030年までに社内紙利用によるCO₂排出を2020年比50%削減を実現」としており、研修事業における電子テキストの提供も継続しています。 24年9月期においては、約6万7千人の方に電子テキストを提供し、約10トンのCO₂削減となりました。
【S社会】心身両面での健康経営を推進し、社員1人あたりの労働生産性を向上させる
従業員の健康は、業績づくりに影響することはもちろんですが、何より従業員本人とそのご家族の幸福に直結しますので、当社グループでも、24年9月期はこれまで以上に健康経営推進を「経営上の重要な事項」と位置づけ、力を入れて取り組みました。 例えば、全社朝礼の後、全従業員が参加するラジオ体操を実施したり、チームごとに週間の歩数を競うウォーキングイベント、自身が2週間にどれだけのたんぱく質を摂取したかを記録し競い合うイベントなど、新しい取り組みを進めています。
また、24年10月には管理栄養士による個別相談ができる栄養相談窓口を開設するなど、健康経営の個別施策に対する投資額も年々増加しています。 現在、当社は健康経営優良法人には認定されていますが、さらに上位のホワイト500に入れるよう、睡眠、食生活、運動などの今後も取り組みを強化してまいります。
【Gガバナンス】腐敗防止に関する施策を強化、サクセッションプランの一環として選抜者教育も実施
24年9月期は、腐敗防止基本方針を制定、開示し、全従業員対象のeラーニング教育を実施しました。受講率は他のコンプライアンス教育同様に100%です。 また、腐敗防止を含むインソースグループコンプライアンス行動規範を制定し開示もしています。今後も顧客にコンプライアンス教育をサービス提供する企業として、透明性高く公正な事業運営を行います。
サクセッションプランの一環として、選抜者が全12回の次世代経営者研修も受講開始しました。経営層の継続的な健全性や安定性、計画的なリーダー交代を確保するべく努めてまいります。
人材戦略を教えてください。また、働きやすい職場づくりのために重視されていることは何ですか?
ベクトルがそろった人材を採用。長く、個人の適性、強みを活かせる職場環境づくりを進めています
カルチャーに共感し、エネルギー高く働いてくださる方を採用
長期的な業績拡大のためには、人員増は非常に重要なファクターです。 しかし、ベクトルがばらばらの人材を大量に採用しても成果にはつながりません。優秀だからと焦って採用しても、当社のカルチャーが合わない人材は、お互いにとってマイナスになります。当社のカルチャーに共感してくださり、目標や考え方のベクトルが同じ人材を厳選採用しています。
25年9月期は、中途採用では特に、当社事業において新しいことを推し進められる、マネージャー層の採用に力を入れてまいります。 新卒採用においては、応募者ひとりひとりの個性を重視しています。個人の適性、強みを活かして活躍していただきたいので、入社前にとことん当社を知っていただき、高いエネルギーで大胆に挑戦する人材を採用しています。
長く自分の強みを発揮できる制度の整備
どのようなライフイベントがあっても、従業員が安心して長く活躍できるよう、個に合わせた制度の拡充を行います。 当社の女性従業員比率は57.0%、女性管理職比率も40.3%で産業平均を大きく上回っています。DE&Iは進んでいますが、今後はより一層、男性女性関係なく仕事と家庭の両立がしやすいように働き方の選択肢も増やしています。
加えて、グループ全体として継続的に給与を上げていきますし、働き方や職種に応じた柔軟な給与体系の整備も進めてまいります。 人材育成については、上級管理職層にはサクセッションプランに基づき経営者になるための研修を今後も継続していきます。若手であっても上級管理職への抜擢を大胆に行います。
2025年に多くご相談をいただいた5つのテーマはこちら
<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)
1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。
(2024年統合報告書より)





