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外資系コンサルが作るパワポ資料はなぜカッコいいのか

なぜ役所の資料は「もっさり」するのか

予めお断りしておきますが、役所が作る資料をダメだといっているわけではありません。求められている資料の一つの到達点として、ある意味とても優れたカタチと言えると思います。

官公庁や自治体などが作成する資料の特徴として、1枚のスライドに多くの情報が詰め込まれている点が挙げられるでしょう。行政文書は正確性と網羅性が重視されるため、説明文が長くなりがちで、結果として文字サイズが小さくなり、余白もほとんどなくなってしまいます。結果的に、スライド全面に文字と図表が隙間なく埋め込まれた「もっさり」した印象の資料になってしまうのでしょう。

一方、外資系コンサルタントが作成する資料は「1スライド1メッセージ」の原則に基づいて作成されています。伝えたいことを明確に絞り、余白を活かしたレイアウトで視覚的なインパクトを重視します。伝えたいキーワードを際立たせることで、瞬時に要点を把握させる構成になっているのです。

投影資料と配布資料は役割が違う

資料作成で陥りやすい失敗の一つが、投影用と配布用を区別せずに作ってしまうことです。プロジェクターで投影する資料は、話し手の説明を補完する役割を担います。したがって、文字は大きく、情報は最小限に抑え、視覚的なインパクトを重視した作りとなります。

対照的に、配布資料は後で読み返すことを前提としています。説明がなくても理解できるよう、詳細な情報や補足説明を盛り込む必要があります。同じ内容でも、用途に応じて構成を変えることで、資料の効果は大きく向上します。

シナリオが資料の構成を決める

説得力のある資料の背後には、必ず明確なシナリオがあります。コンサルタントは資料作成の前に、「どこにゴールを置いて」「誰に」「何を」「どの順序で」伝えるのかを徹底的にシミュレーションします。そのシナリオの上に必要なスライドを仮で並べていくのです。「外資系コンサルが作るパワポ資料は構成が整っていて分かりやすい」のは当然で、先に伝わりやすい構造を固めてから紙を作っているのです。

シナリオ設計の基本ステップ

  1. 目的とゴールの明確化:この資料で相手にどう行動してほしいのか
  2. ターゲットの理解:相手の知識レベルや関心事は何か
  3. ストーリーラインの構築:結論から入るか、課題提示から始めるか

グラフとチャート図は諸刃の剣

外資系コンサルが作る資料には、スタイリッシュはグラフや目を引くチャート図が多用され、見る者に強いインパクトを与えます。データや情報を視覚化するグラフやチャート図は、適切に活用すれば聞き手の理解を深める強力なツールとなりますが、誤った使い方をすれば、逆に聞き手を混乱させる凶器にもなり得ます。

よくある失敗例は、せっかく取ったデータを全て盛り込もうとして複雑なグラフを作成してしまうことです。外資系コンサルタントは、伝えたいメッセージに必要なデータだけを抽出し、シンプルなグラフで表現します。また、グラフには必ずタイトルで結論を示し、色やハイライトで注目すべき箇所を明示します。

チャート図についても同様です。関係性を示すために複数の要素を盛り込みすぎると、かえって理解を妨げます。一つのチャートで伝えるメッセージは一つに絞り、シンプルな構造を心がけることが重要です。

「伝わる」ためには「絞り込む」が大事

こうして見ていくと、外資系コンサルが常に意識しているのは「絞り込み」だということが分かります。伝える相手を絞り込み、何をゴールに置くかを絞り込み、資料に表すことを絞り込む。逆に役所の方たちは、多方面に意識を向け、公平性を損なわないように配慮し、バランスを重視し、責任を分散させるといった資料作りが求められるため、結果的に分かる人にしか分からないような"謎解き"のような資料になってしまうのかもしれません。

インソースでは、コンサルタントの実践的な資料作成スキルを体系的に学べる「資料化する力」養成研修をご提供しています。本研修では、論理的なシナリオ設計から視覚的な表現技術まで、説得力のある資料を作成するための具体的なノウハウを習得いただけます。社内プロジェクトでコンサルティング的な役割を担う方、顧客へのソリューション提案力を高めたい方に最適な内容です。ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【コンサルタント養成シリーズ】「資料化する力」養成研修

コンサルティング会社に勤める人は、日々、PowerPointを使って資料を作成しています。そうした中で形作られた資料作成の作法には合理性があり、そのノウハウに関する様々な書籍も出ています。

いいところはぜひ取り入れられたらと考え、さまざまな先人のノウハウを集約する形で企画した研修です。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 目的に合わせてどのように資料を構成すればいいか知りたい
  • 表やグラフの適切な使い方がわからない
  • 図解の効果的な使い方を知りたい

本研修の目標

  • PowerPointでの資料構成のポイントを理解する
  • 適切に表やグラフの形式を選択し、作成することができる
  • 矢印やブロックなどの図解をどのように使い分けたらよいかわかる

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セットでおすすめの研修・サービス

プレゼン資料作成研修~図・表・グラフを使って伝えたいメッセージを表現する

スライド作成における適切な図表の選び方や表現術を実践を通して身につける研修です。

実際にPCを使って資料作成を行うワークがあり、プロの講師から自身の作成した資料に対するアドバイスがもらえます。

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図解力向上研修~情報を整理し、分かりやすくする編

情報を分かりやすく表すための概念化の考え方と基本的な手法をケーススタディを通して身に付ける研修です。コンセプチュアルスキルの研鑽にも役立ちます。

「たくさんの情報から一番大切な部分を抽出し、分かりやすく伝えることが苦手な社員が多い」というお客さまのお悩みから生まれた講座です。

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【コンサルタント養成シリーズ】「考える力」養成研修

資料化の手前で不可欠な思考力を鍛えるための研修です。

目的思考、原点思考、論理的思考、対比思考、2軸思考など、資料を作成する際にも役立てられる様々な思考力の手法が学べます。

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【コンサルタント養成シリーズ】「調査する力」養成研修

資料作成は、何らかの調査結果を表現するために行われることが少なくありません。

コンサルタントに求められる、ヒアリングとアンケート調査を通じた「現状把握」のスキルを学ぶ研修です。

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