今日から使える!「プロっぽく」なるデザインの基礎テクニック~ノンデザイナーのためのPowerPointデザイン3
垢ぬけた、いわゆる「プロっぽい」デザインをうまく行うには、専門的な知識や長期間の実務経験が必要...と思ってしまいがちです。
確かに、細かい色使いや構成・強弱の調整は奥が深い部分もあります。しかし、ちょっとしたテクニックの積み重ねで、デザインをある程度洗練された印象にすることも可能です。
本記事では、今日からすぐに実践できる、押さえておきたいデザインの基礎テクニックをいくつか具体的に解説します。
上から下、左から右へ
日本語の資料を読む際、私たちは基本的に上から下へ、そして左から右へと視線を動かします。
これは本やWebサイトのレイアウトなど、日頃の視覚体験から無意識のうちに身についている「視線の動き」です。この人間の自然な視線の動きを意識して情報を配置します。
最も伝えたい重要な情報はスライドの上から配置し、時間の経過やプロセスの流れを示す場合は左から右、上から下へとレイアウトすることで、受け手はストレスを感じることなく情報を追うことができます。
逆に、重要なポイントや色・フォントが強調された情報を、他の情報の下や右に書くことは好ましくありません。見る順番に頭を使う時間が発生し、内容が頭に入りづらくなります。
見方ではなく内容に頭を使ってもらうことは、デザインにおいてとても大切です。
見出しと内容の関係性を明確に
スライド全体を俯瞰したときに、どこが見出しで、どこがその内容なのかが一目でわかるようにすることは、情報の整理において重要です。
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文字の大きさや色:
見出しは本文よりも大きく、あるいは異なる色にすることで、視覚的に区別できます。 -
配置:
見出しと内容は近くに配置し、関連性のない情報とは十分に間隔を空けることで、グループとして認識しやすくなります。 -
装飾:
必要に応じて、見出しの下に区切り線を入れたり、背景色をつけたりすることも有効ですが、過度な装飾は逆効果になることもあるため注意が必要です。
よくある失敗は、中身の内容が、見出しの範囲からズレたりはみ出したりしているケースです。 「この見出しの下には、この内容が書かれている」という関係性を、視覚的に明確にすることがポイントです。
上下左右にマージンを設ける
資料があか抜けない要因で最もよくあるのは、「余白がない」ことです。
スライドの端ぎりぎりまで文字や図形を配置すると、資料が窮屈に見えます。資料の上下左右に十分な余白(マージン)を設けることで、情報がすっきりと整理され、受け手が内容に集中しやすくなります。
適切な余白は、文字や図形と同じくらい重要な「情報」です。白い空間は情報を際立たせ、洗練された印象を与えます。特にプレゼンテーションなど、短い時間で多くの情報を伝える必要がある場面では、適切な余白が聞き手の理解度を高めます。
強調箇所を増やさない
強調箇所が多すぎると、結局何も強調されていないのと同じになってしまいます。
「全部重要だから、全部強調したい!」という気持ちをぐっと抑え、本当に伝えたいポイントを絞り込み、その箇所以外の強調は控えましょう。
強調の方法としては、文字を太字にする、色を変える、下線を引く、マーカーを引くなどがありますが、これらを複合的に使うのは避けるべきです。1つのスライド内で、強調方法は1~2種類に絞ります。
逆に強調箇所以外はデザインを統一することで情報としての強度を落とします。例えば、強調点以外の本文の文字色を黒ではなく濃いめのグレーにするなどのテクニックがあります。
表を作るときは、線を少なく、余白は大きく
PowerPointで表を作成する際、ついデフォルトの罫線が多い表をそのまま使ってしまいます。
しかし、罫線もまた一つの情報です。多くの線は、かえって情報を読みにくくしてしまいます。基本的に罫線は引かずに表を作る方針をおすすめします。
罫線なしでも表を見やすくするには、余白を大きくすることです。セル内の文字と文字の間に十分な余白を持たせることで、罫線はなくても見やすくなります。これにより、数値や文字が格段に読みやすくなります。
どうしても面積の都合上余白が取れないときは、横罫線のみ引くなど、あくまで最小限にとどめることを目指します。
複数色を使う際は、ハレーションに注意する
資料に色を使う際、カラフルにすれば良いというわけではありません。
特に、彩度の高い色を隣り合わせで使うと、「ハレーション」を起こし、視覚的にちらついて読みにくくなることがあります。
複数色を使う場合は、以下の点に注意しましょう。
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ベースカラーとアクセントカラーを決める:
まずは資料全体のメインとなる色(ベースカラー)を決めます。強調したい部分には、ベースカラーと調和するアクセントカラーを少量使うのが効果的です。 -
色の組み合わせ:
色相環を参考に、相性の良い色を選ぶか、同系色の濃淡で変化をつけるのが安全です。どうしても複数色必要な場合は、原色に近い色よりも彩度を落とした(グレーに近い)色を選ぶのがおすすめです。 -
色と色の距離をとる:
色の上に色を重ねることや、近づけること自体を避ければ、ハレーションは起きにくくなります。
まとめ~テクニックの積み重ねがデザインの質を高める
本記事では、PowerPointで作成する資料を「伝わるデザイン」にするための基礎テクニックを解説しました。
情報の視線誘導、見出しの明確化、適切な余白の設定、強調箇所の絞り込み、表の見せ方、色の使い方...これらはすべて、「相手目線」での分かりやすさを追求したものです。
今日から意識して資料作成に取り入れてみてください。一つ一つの積み重ねが、あなたの資料を劇的に改善します。
【動画教材】ノンデザイナーのためのPowerPointデザイン講座
本動画では、デザイナーではない方でも簡単に実践できる基本的な考え方とテクニックを解説します。
基本的なレイアウトのルールから、表や写真の扱い方、色の使い方まで、すぐに業務に活かせるデザインの基礎テクニックを学べます。
また、クイックアクセスツールバーの設定や校閲機能など、作業効率を大幅に向上させるPowerPointの機能活用法も紹介します。
本講座のゴール
- デザインはセンスではなく論理の積み重ねであることを理解する
- 相手目線と引き出しの考え方でデザインの質を高める方法を習得する
- 今日から使える基本的なデザインテクニックを実践できるようになる
- PowerPointの効率的な機能活用方法を習得する
よくあるお悩み・ニーズ
- デザインにはセンスが必要だと思い、自信が持てない
- 凝りすぎて時間がかかるのに、なかなか見栄えが良くならない
- 基本的なルールやテクニックを知りたい
- PowerPointの便利な機能をもっと活用したい
対象者
- デザインに苦手意識がある方
- 業務効率化のためにPowerPointの基本機能から応用まで身につけたい方
- 営業資料やプレゼン資料の質を上げたい方
セットでおすすめの研修・サービス
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