株式会社インソースクリエイティブソリューションズ

Excelのサポート終了、そのまま使い続けますか?~スプレッドシートという選択肢

サポートがいつまで続くのか、あまり意識せずにExcelを使い続けている方も多いのではないでしょうか。実際に、サポートが終了してもExcelはそのまま起動し、これまでと同じように操作できます。

問題は、新たな脆弱性が見つかっても修正パッチが提供されなくなり、使い続けるほどセキュリティ上の危険性が積み重なっていくという点です。

VBAマクロという入口が、今よりずっと危険になる

Excelには、作業を自動化できるVBAというマクロ機能があります。便利な機能ですが、ファイルを開くと自動的にプログラムが実行されるという性質上、昔からマルウェアの拡散経路として悪用されてきた機能でもあります。

これまでは、Microsoft側の更新で危険性が抑えられていた

マクロ自体の危険性は以前から存在していましたが、Microsoftはインターネットから取得したマクロを既定でブロックする機能など、継続的に防御策を追加することでリスクを抑え込んできました。利用者が意識しないところで、守られているということです。

サポート終了後は、この防御更新そのものが止まる

現在Excel 2019以前の製品を使用している場合、この「防御側の更新」は2025年10月14日の時点ですでに止まっています。今まさに、無防備な状態のまま使っているということです。Excel 2021を使っている場合も、2026年10月13日以降は同じ状態になります。VBAエンジンやOfficeアプリケーション自体に新たな脆弱性が見つかっても、修正されないまま放置される状態が続きます。

特別に細工されたExcelファイルを介して、システムが不正に操作される可能性のある脆弱性が今後見つかったとしても、対応する手段がないまま使い続けることになります。今日開いても問題がなかったファイルが、半年後、一年後には危険なものに変わっている可能性がある、先送りできないリスクとしてとらえておく必要があります。

Excelを使い続ける選択肢

こうしたリスクを避けながら、これまでと同じExcelを使い続ける方法もあります。サポートが続いている状態を保つには、大きく二つの選択肢があります。

買い切り版を新しくする「Office 2024」

2024年に発売された買い切り版のOffice 2024は、2029年10月9日までサポートが継続します。Office 2021からの買い替えであれば、今と近い操作感を保ちながら使い続けられる選択肢です。

サブスクリプション型の「Microsoft 365」

継続的にセキュリティ更新を受けたい場合は、サブスクリプション型のMicrosoft 365も選択肢になります。契約を続けている間は自動的に最新の状態が保たれ、個人向けの「Microsoft 365 Personal」は月額2,130円(税込)、法人向けで多く選ばれる「Business Basic」も2026年7月の価格改定後で1ユーザーあたり月額1,049円(税抜、年間契約)です。買い切り版のような「サポート終了」という区切りがない一方、契約を続ける限り毎月の費用が発生する点は、買い切り版と異なります。

代替候補として注目される「Googleスプレッドシート」

Excelの代替として名前が挙がることが増えているのが、Googleスプレッドシートです。名前は聞いたことがあっても、実際にどのようなツールなのかご存じない方も多いのではないでしょうか。

Googleアカウントがあれば、誰でも無料で使える

Googleスプレッドシートは、Googleアカウントを持っていれば誰でも無料で使えます。Excelのように買い切りやサブスクリプションでライセンス料を支払う必要がなく、ブラウザからsheets.google.comにアクセスすればすぐに利用を始められます。大規模データの集計・分析を行う機能など一部の高度な機能は法人向けのGoogle Workspace(有料プラン)が必要ですが、通常の表計算機能であれば無料の個人アカウントで十分に使えます。

ブラウザで動くため、更新もセキュリティ対応も自動で行われる

Googleスプレッドシートは、パソコンにソフトをインストールするのではなく、ブラウザ上で動作する表計算ツールです。利用者が意識して更新作業を行う必要がなく、セキュリティ対応もGoogle側で継続的に行われるという点が、買い切り版のソフトとの大きな違いです。サポート終了という概念自体がなく、常に最新の状態で利用できます。

複数人が同時に、同じファイルを編集できる

もう一つの特徴は、共同編集のしやすさです。ファイルをメールで送り合ってバージョン管理に悩む必要がなく、複数の担当者が同じファイルを同時に開いて、リアルタイムに内容を反映させながら作業を進められます。変更履歴も自動で記録されるため、誤って内容を消してしまっても元に戻すことができます。

Excelが「自分のパソコンの中で作業するソフト」であるのに対し、Googleスプレッドシートは「クラウド上に置かれた、みんなで使う作業スペース」という位置づけです。関数の使い方など基本的な操作感はExcelと近い部分が多く、Excelに慣れている方であれば、大きな戸惑いなく移行できるケースがほとんどです。

Excelとの違いや互換性・注意点(デメリット)

関数の使い方や基本的な操作感はExcelと共通する部分が多く、移行自体はスムーズに行えます。ただし、以下の違いやデメリットを押さえておくことが重要です。

Excelファイルの読み書きと互換性

Excelファイルをそのままアップロードして閲覧・編集したり、スプレッドシートをExcel形式でダウンロードしたりできます。基本的なレイアウトや関数は引き継がれますが、装飾・マクロ・高度なレイアウト設定など一部の表現がズレる場合があります。

VBAマクロの資産は、GAS(Google Apps Script)で作り直す必要がある

Excelで組んだVBAマクロは、Googleスプレッドシートにそのまま持ち込むことはできません。同じように処理を自動化するには、Googleが提供する「GAS(Google Apps Script)」というJavaScriptベースの言語で、あらためて処理を組み直す必要があります。

文法も実行環境もVBAとは異なるため、既存マクロの資産をそのまま流用することはできず、移行の際には自動化部分の作り直しという初期コストを見込んでおく必要があります。一方で、GASはブラウザ上で動作し、Googleフォームやカレンダーなど他のGoogleサービスとも連携できるため、VBAより広い範囲の業務を自動化できるという利点もあります。

グラフやピボットテーブルの操作感

集計や視覚化に必要なグラフ機能・ピボットテーブル機能も一通り備わっています。基本手順はExcelと似ていますが、設定メニューのインターフェースや見せ方に若干の違いがあるため、慣れるまでに多少のステップが必要です。

扱えるデータ量と制限

Excelが1シートあたり最大約104万行扱えるのに対し、Googleスプレッドシートは「1ファイルあたり合計1,000万セルまで」という上限があります。日常的な業務データであれば問題ありませんが、数十万〜数百万行を超えるような超大規模なデータを1つのファイルで処理・集計する場合は、動作が重くなったり上限に達したりする点に注意が必要です。

オフライン環境での制限

ブラウザ上で動作するクラウドツールであるため、インターネット接続がない環境ではそのままでは作業できません(※事前にオフライン設定を行っておく必要があります)。

移行を検討する際に押さえておきたい視点

3つの選択肢の中から、すべての業務を一度に統一する必要はありません。社外とのファイルのやり取りが多い業務や、複数人での共同作業が発生しやすい業務など、リスクや非効率が特に大きい部分から、どの選択肢が合うか検討を始めることをお勧めします。

サポート終了はセキュリティ上の転換点となる

Excelのサポート終了は、単なる制度上の区切りではなく、VBAマクロという昔からの弱点に対する防御が失われる、実質的なセキュリティ上の転換点です。

Excelの新しいバージョンへの買い替えやMicrosoft 365への切替えでExcelを使い続ける方法もあれば、Googleアカウントがあれば誰でも無料で使えるGoogleスプレッドシートに乗り換える方法もあります。いずれを選ぶ場合も、その効果を十分に引き出すには、基本操作にとどまらない実践的な使い方を身につけることが欠かせません。

Googleスプレッドシート応用研修(1日間)

Google Sheets(通称スプレッドシート)の基本操作を習得済の方向けの研修です。

本研修では実際に講師と一緒にPCを操作しながら、スプレッドシートの応用的な機能について学習します。IFS関数・XLOOKUP関数・QUERY関数といった実務を加速させる応用関数や、ピボットテーブル、条件付き書式、マクロによる自動化など、実務に直結するテクニックを身につけます。

>講師派遣型研修の詳細はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

Googleスプレッドシート基礎研修

本研修では実際に講師と一緒に操作しながら、スプレッドシートの基本的な機能について学習します。ただ知識を押さえるだけでなく、オートフィルやショートカットキーの使い方など、業務で使える便利なテクニックも盛り込んでおります。

また、演習問題に数多く取り組むことで、トライ&エラーでスキルを習得可能です。フルカラーのテキストで操作手順を詳細に掲載していますので、復習も簡単に行うことができます。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

(初心者向け)GAS入門研修~スプレッドシート操作自動化編(1日間)

Googleが提供しているGAS(Google Apps Script)を用いたプログラミングの基礎を身につけることのできる研修です。GASでできることや、どのようにプログラムを作成するのかなどについて、ワークを通して学びます。

教科書的な基礎文法の学習にとどまらず、実際の業務の一場面を想定したプログラムをワークで作成することで、研修後の実業務にも活きるスキルを身につけることができます。プログラミング初学者にとって大きな障壁となりやすいエラーへの対応方法も学ぶことができるので、今後の自立した学習につながります。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

GAS応用研修~Googleアプリとスプレッドシートを連携する

Googleが提供しているGAS(Google Apps Script)を、実務で活用するスキルが身につく研修です。各アプリケーション単体の自動化スキルだけでなく、複数のアプリケーションを組み合わせた自動化プログラムを作成することで、実際の業務でGASプログラムを作成するスキルを身につけます。

ワークでは、Google フォームの回答をトリガーに、回答結果のGoogle スプレッドシートを添付した下書きメールを作成し、GASの業務活用への理解を深めていただきます。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

Microsoft Office研修~Excel応用編

エクセルの基本操作を身につけている方に、

  • エクセルの操作をより効率的に進める機能
  • エクセルを利用したデータ整理・分析・自動処理の方法

の理解を深めていただき、エクセルの更なるスキルアップを図ります。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

>動画教材の詳細はこちら

関連読み物一覧

関連シリーズ一覧

新作記事