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ENERGY vol.07(2021年冬号)掲載

PICKUP

SDGs人材コンサルティングの最前線

SDGs人材の抜擢要件は当事者意識と推進能力

SDGsを推進するためには、その担い手となる人材の抜擢と育成が欠かせません。とりわけ、SDGsの推進役には、事業の対象となる社会課題と環境課題に対して当事者意識を持ち、自組織の代表者として課題解決活動に従事し、外部と対話し、自社の存在意義・理念に照らし合わせながら事業化を進められる人材が求められます。

コンサルティングの現場から見えた2つの課題

ミテモ株式会社はこれまで様々なお客さまとSDGsに対する社内理解の促進、SDGsの取り組み方針策定、そして、社会課題・環境課題・経済価値を生み出す新規事業開発に取り組んできました。そうした中で、これからSDGs推進に取り組もうとするお客さまから相談される課題が2つあります。

当事者意識を持つ社員がいない?

1つ目は「社会課題/環境課題に対して当事者意識を持っている人材が社内にいない」という課題です。しかし多くの場合、人事をはじめとした本社組織に気づかれていないだけで、日本の組織には〝潜在的推進候補者〟はたくさんいるというのが実情です。これまでに様々なNPOや市民団体との協働を通して、本業で培った専門性を活かして活動するプロボノワーカーとたくさん出会ってきました。そうした人材たちが会社・上司に対して社外活動について報告しているケースは極めて稀です。

ワークショップで潜在的推進候補者を見つけ出す

このような潜在的推進候補者を可視化するために有効な手段がワークショップです。当社が支援している組織では、SDGs推進に関する国内外の事例共有や実践者とのアイディア創発ワークショップなどを開催し、意欲的な潜在的推進者候補を発掘します。

推進能力を持った社員がいない?

2つ目の課題は「SDGsを推進する能力を持った人間がいない」というものです。この課題に対しては、人材を育ててからSDGsを推進する、ではなく、SDGsを推進しながら人材を育てる、へと発想を転換する必要があります。

そもそも新規事業開発や既存事業の革新を推進する能力は、既存事業で実務経験を積むだけでは身につけることはできません。論理的思考、他者を巻き込むコミュニケーションスキルなど、個々の能力はトレーニングで高めることができます。

実践を通じて推進能力を磨いていく

一方でSDGsを推進する際に求められるのは、それらの個々のスキルを統合的に組み合わせながら、とにかく粘り強く挑戦し続ける力であり、その力は新規事業開発や既存事業の革新に挑戦する経験の中でこそ身につきます。よってSDGsを推進するためには、社内の推進候補者を抜擢し、実践する環境を作り、事業を創りながら、人材を育成する施策を展開していくことが求められます。

人材選抜前にシナリオ分析とテーマ設定が先決

推進者を抜擢する際には、組織としての方針、重点テーマを示した上で、当事者意識を持つことができる推進者を選び抜く必要があります。

よって、組織はまず、自社が置かれた環境を分析し、中長期的なシナリオを分析し、自社の理念を踏まえたテーマ設定を行う必要があります。

専任支援者がOJTで推進役の社員を支援する

事業開発と人材育成を同時に進めていく上で有効な手段が、事業開発経験豊富な専門人材によるOJT ・伴走支援です。

具体的には、推進役の社員1人に対して、1〜3人程度の経験豊富な専門人材を支援者として配置し、1〜2週間おきにミーティングを実施しながら、コンセプト策定、ビジネスモデルの検討から役員への提案と投資判断までの一連を伴走的に支援していきます。事業開発の一連において発生する様々な課題を推進役の社員が乗り越えられるよう、専門人材が都度コーチング・アドバイザリーを行うことで、事業開発と人材育成を両立します。

SDGsは3つの価値を生む新しい企業戦略

これまでSDGsは、その言葉を知っているか、その意味を理解しているかが焦点になってきました。今後は、いかに事業を通して社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値を生み出していけるかが焦点となるでしょう。そしてSDGsに取り組むことは、従来市場での競争戦略ではなく、これまでにない新たな需要を創り出す企業戦略そのものであり、VUCAと言われる予測不能で不確実な21世紀において組織の持続的な成長や働く一人ひとりの働きがいを生み出す組織のコア・エンジンです。

ミテモが提供する4つのSDGs支援ソリューション

SDGs実現に向けて本気で取り組む皆さまを、サステナビリティに関する豊富な知見とネットワーク、そして、様々な業界の事業開発支援実績で培ったノウハウと現場力でご支援します。お気軽にご相談ください。

ミテモ株式会社の主な実績

●中小企業庁主催

ふるさとデザインアカデミー
全国20地域・61社への地域課題 解決ビジネス支援

●名古屋市主催 デザイン経営推進

中小企業に向けた地域経済循環のための事業開発支援

●国内大手電機メーカー

経済価値・社会価値・環境価値を創出する事業開発ワークショップの運営

文/澤田 哲也

ミテモ株式会社代表取締役。神戸大学法学部卒。採用コンサルティング企業を経て、2007年インソースに入社。2012年よりミテモ株式会社の経営に従事。映像やワークショップを活用して、社会価値と経済価値を両立するCSV経営導入や理念浸透支援実績多数。2016年からは地方創生事業にも取り組む。

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Vol.07 " 人" づくりから始めるSDGs

vol.7は国際的に注目度が高まる「SDGs」がテーマです。SDGs推進によって企業は「顧客獲得」と「資産向上」という2つのメリットを享受できます。全社員を取り込んだ「社内向けESG」「社外向けESG」によってSDGs経営を実現し、VUCAの時代に勝ち残る方法をお伝えします。

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2024 SPRING

Vol.13 リスキリングの今

vol.13は「リスキング」がテーマです。ビジネスパーソンへの教育で今注目されている「リスキング」。激動の時代に対応するためにも、組織が理想とするリスキングを確立させていくことが求められます。 本誌では、組織、個人、人事・研修担当それぞれがリスキングをどのように捉えているのか、アンケート調査などから浮彫にしていきます。

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