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内閣府の国家戦略「人工知能基本計画」の4つの柱から読み解く~生成AI研修が現場で使われるために必要なこと

「生成AI研修を実施したのに、現場で使われている実感がない」
「全社にアカウントを配布したが、ログインしていない社員が半分近くいる」
「ルールや人材育成の整備が追いつかず、次に何をすればいいのかわからない」
どれか一つでも心当たりがあるなら、見直すヒントは内閣府の国家戦略である「人工知能基本計画」の4つの柱にあります。

政府は2025年12月、日本で初となる「人工知能基本計画」を閣議決定しました。本計画では、AIを一部の専門家だけが扱う技術にとどめず、社会全体で活用し、そこで見つかった課題を次の技術開発や制度整備につなげていく方向性が示されています。さらに、2026年7月に閣議決定された「人工知能基本計画(第Ⅱ期)」では、AIを既存業務の効率化に使うだけでなく、AIがあることを前提に、業務の進め方そのものを見直していく視点が示されています。

生成AI研修を実施しても現場で活用が進まない場合、足りないのは操作方法の教育ではなく、こうした組織全体の仕組みかもしれません。AIを使える環境を整え、業務を見直し、安全に使うためのルールを設け、人材を育てる。こうした取組を一体で進めることで、生成AIを一時的なツールではなく、組織の業務に定着させやすくなります。

本記事では、人工知能基本計画で示された4つの柱をもとに、企業・自治体がAI活用を定着させるために必要なことを整理します。

※参考:内閣府「人工知能基本計画~「信頼できるAI」による「日本再起」~(令和7年12月23日閣議決定)」https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_plan/aiplan_20251223.pdf
※参考:内閣府「人工知能基本計画(第Ⅱ期)~日本AX、より強く、より豊かに~(令和8年7月14日閣議決定)」https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_plan/aiplan_20260714.pdf
(最終アクセス:2026/10/15)

AI活用の国家戦略「人工知能基本計画」の4つの柱を循環で読み解く

4つの柱は、チェックリストではなく循環としてとらえます。人工知能基本計画では、今後のAI政策の方向性を、次の4つの柱で整理しています。

  1. AIを使う(AI利活用の加速的推進)
  2. AIを創る(AI開発力の戦略的強化)
  3. AIの信頼性を高める(AIガバナンスの主導)
  4. AIと協働する(AI社会に向けた継続的変革)

ここではわかりやすく、「1.使う→2.創る→3.信頼性を高める(ルールを整える)→4.協働する(人を育てる)」という4段階の循環として読み解いていきます。

AIを実際に使うことで、便利な点だけでなく、精度や安全性、データ、業務ルールなどの課題が見えてきます。その課題を技術開発や制度整備に反映し、より信頼できるAIや使いやすい環境をつくる。そして、人とAIの役割分担や働き方を見直し、再び利活用を広げるという循環が想定されています。企業や自治体のAI活用に置き換えると、「ツールを導入する」だけで終わらず、使う・改善する・ルールを整える・人材を育てるところまでを一体で考えることが重要になります。

※参考:内閣府「初の『人工知能基本計画』を閣議決定しました」https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20260206.html(最終アクセス:2026/10/15)

1.AIを使う:AIを使いこなすには、ツールだけでなく社内データの整理も欠かせない

1つ目の柱は、AI利活用の加速的推進です。人工知能基本計画では、日本社会全体で世界最先端のAI技術を能動的に利活用し、新たなイノベーションを生み出すことが掲げられています。そのために、「まず使ってみる」という意識を社会全体に広げることや、AI活用の前提となるデータの集積・利活用・共有を進めることが示されています。

AIは、一部の先進企業やIT部門だけのものではありません。政府・自治体、企業、地域、研究、現場業務など、幅広い分野での活用が想定されています。企業の業務に置き換えると、まずはAIを使える業務を具体的に見つけることが第一歩です。ただし、生成AIに入力する情報が整理されていなければ、期待した結果を得にくくなります。

議事録がPDFと手書きメモにわかれている、製品名の表記が営業部と製品部で違う、最新版の資料がどれかわからない――こうした状態では、生成AI活用の前にデータや情報の整理が必要です。生成AIを使うことと、生成AIが使いやすいデータ・業務環境を整えることはセットで考える必要があります。

2.AIを創る:自社開発の話ではない。現場の不満を仕様に変える話

2つ目の柱は、AI開発力の戦略的強化です。人工知能基本計画では、AIを使うだけでなく、日本の強みとして「信頼できるAI」を開発し、国内外に展開していく方向性が示されています。

ここでいう「AIを創る」は、AIモデルだけでなく、それを支えるアプリケーションや計算基盤まで含めた広い意味での開発力を指し、研究開発から社会実装までを一体的に進めることが想定されています。すべての企業が独自のAIモデルを一から開発する必要があるという意味ではありません。

また、特徴的なのが、AIを社会で使うことで生じた課題を、次のAI開発や技術革新につなげる「好循環」という考え方です。たとえば、現場で生成AIを使った結果、「毎回同じ社内ルールを説明するのに、1回あたり5分かかっている」「自社のマニュアルに沿った回答がほしい」「複数の定型作業をまとめて任せたい」といった課題が見えてくることがあります。

そこで、既存の生成AIをそのまま使うだけでなく、社内資料を参照するAIエージェントを作る、業務アプリと組み合わせる、開発部門やベンダーへ改善要望を伝えるといった次の取組につなげられます。一般の企業・自治体においては、既存のAIを自組織の業務に合わせて組み合わせることや、現場で得た課題を次の仕組みづくりにつなげることも重要です。

3.AIの信頼性を高める:AIガバナンスは、禁止リストではなく「使ってよい範囲の地図」

3つ目の柱は、AIガバナンスの主導です。AIの利活用を広げるうえでは、便利さだけでなく信頼性を確保することが欠かせません。

人工知能基本計画では、技術の開発・実証・評価・運用の各段階で、AIの適正性確保につながるPDCAサイクルを構築することが示されています。これを企業の運用に置き換えると、たとえば四半期に一度、利用状況とルールを突き合わせる場を設けるなど、定期的に見直せる運用が考えられます。また、国境を越えて利用されるAIについては、国内だけでなく国際的なガバナンスが不可欠であり、日本が国際的な議論や枠組みづくりを主導していく方針も示されています。

企業の現場では、AIガバナンスという言葉を聞くと「利用禁止ルールを作ること」を想像するかもしれません。しかし、活用を進めるためのガバナンスでは、禁止事項だけでなく、どこまでなら使えるのか、誰が確認するのか、問題が起きた場合にどう見直すのかまで決めることが重要です。

生成AIのサービスや機能は短期間で変化します。そのため、一度ルールを作れば終わりではありません。活用状況を確認し、問題や新しい使い方が出てきたらルールを見直すという継続的な運用が、AIを安心して使い続けるためのポイントです。

4.AIと協働する:AIと協働するなら、AIを「止める」判断ができるレベルの人材育成が必要

4つ目の柱は、AI社会に向けた継続的変革です。計画では、人とAIが協働する社会を前提に、産業構造、雇用、制度、働き方の在り方を継続的に見直していく必要性が示されています。具体的には、創造力、思考力、判断力、適応力、コミュニケーション力などが「人間力」として挙げられています。

一例を挙げると、生成AIの出力をうのみにせず、適切でないものを止め、修正する力もその一つです。これは、AIを使える人だけを増やせばよいということではありません。生成AIが文章作成や情報整理を支援できるようになったとしても、最終的に何を目的にするのか、出力が適切か、関係者にどう伝えるかといった判断は人に残ります。

生成AIに任せられる仕事が増えるほど、人には「問いを立てる」「判断する」「他者と合意形成する」といった力がより重要になると考えられます。また、職種や仕事内容の変化に対応するため、学び直しを意味する「リスキリング」を継続的に進めることも、長期的な課題として位置づけられています。まずは自部署の職務要件表を開き、「生成AIに任せられる作業」と「人が判断する作業」に線を引くところから始めることができます。

AI導入=業務・人材・ルールの整備を企業・自治体は求められている

人工知能基本計画の4つの柱を企業・自治体の取組に置き換えると、AI活用は次のように整理できます。

  1. まず生成AIを使い、自組織の業務で活用できる場面を見つける(=1.AIを使う)
    例)今週中に、自部署の定型業務を10個書き出し、文章作成や情報整理が絡むものに印をつける
  2. 使ってわかった課題をもとに、エージェントや業務の仕組みを改善する(=2.AIを創る)
    例)印をつけた業務のうち頻度の高いものを1つ選び、AIエージェント化を検討する
  3. 安全に使い続けるためのルールと確認体制を整える(=3.AIの信頼性を高める)
    例)入力してよい情報の範囲と、誰が結果を確認するかを一枚のルールにまとめる
  4. AIと協働できる人材を育成し、仕事や役割を継続的に見直す(=4.AIと協働する)
    例)自部署の職務要件表で、「生成AIに任せられる作業」と「人が判断する作業」に線を引く

この流れを見ると、AI活用は単なるITツールの導入ではなく、業務改善、人材育成、組織ルールの見直しを伴う取組であることがわかります。

たとえば、生成AIのアカウントを全社員に配布しても、何に使えばよいかわからなければ活用は進みません。反対に、研修で使い方を学んでも、機密情報の扱いや確認ルールが決まっていなければ、現場では安心して使いにくくなります。「ツール」「業務」「人材」「ガバナンス」を別々に考えず、組織のAI活用方針としてつなげることが重要です。

人工知能基本計画(第Ⅱ期)はAX推進~AI前提で業務を見直す視点

2026年7月14日に閣議決定された人工知能基本計画(第Ⅱ期)では、4つの基本的な方針(4つの柱)を引き継ぎながら、AIを前提として意思決定や業務の進め方を根底から見直す「AIトランスフォーメーション(AX)」の推進が示されています。AXは、既存業務に生成AIを追加するだけではなく、AIが使えることを前提に、そもそもの業務フローや役割分担を見直すという考え方です。

たとえば、資料を集めて集計し、報告書を作るという業務の例で言えば、「従来の手順をそのまま少し速くする」のではなく、資料の集め方、確認方法、人が判断するポイントまで再設計することで、より大きな改善につながります。AI活用を検討する際には、「今の仕事のどこにAIを入れるか」だけでなく、「AIがあるなら、この仕事はどう進めるのが最もよいか」まで考えることが、今後さらに重要になっていきます。

インソースグループは、AI・DX研修から組織への定着を支援します

本記事では、人工知能基本計画の4つの柱をもとに、組織の取組として何をすればいいかを整理してきました。AIを導入しても活用が定着しない場合、「使える業務」「使いやすい環境」「安全に使うルール」「AIと協働する人材」のいずれかが欠けていないかを確認することが重要です。

インソースグループは、年間96万人(※1)にビジネス研修を提供し、当社サービスをご利用いただいたお取引先の累計は5万2千組織にのぼります(※2)。生成AIを初めて学ぶ方向けの基礎研修から、業務改善、AIエージェント、ガバナンス、推進リーダー育成まで、組織の活用段階に応じた研修をご用意しています。「研修を実施して終わり」ではなく、AI活用方針の整理や、実際の業務への落とし込み、組織内での展開まで含め、貴組織のAX推進までを強力にご支援いたします。

※1集計期間:2025年7月~2026年6月/※2集計期間:2003年6月から2026年6月までに当社サービスをご利用いただいたお取引先累計(出典:数字で見るインソース)

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生成AI推進リーダー育成研修~効果的な業務を選びエージェントを作成する

人工知能基本計画で示されている「1.AIを使う」・「2.AIを創る」という方向性を、現場の業務改善に落とし込みたい方におすすめの研修です。

本研修では、生成AI推進者として、改善効果の高い業務を選ぶ考え方から、業務フローの可視化、生成AI以外のツールも含めた手段の検討、簡単なAIエージェントの作成までを一連の流れで学びます。

実務への活用例

  • 自部署の業務フローを可視化し、生成AIで改善効果が見込める作業を選定する
  • 見積書作成や問合せ対応など繰り返し発生する業務に合わせたAIエージェントを設計する
  • 生成AI、RPA、業務アプリなどの特性を比較し、業務ごとに適切な手段を選ぶ
  • AI活用プロジェクトの目的と効果を整理し、関係者へ説明・展開する

本研修の目標

  • 生成AIプロジェクトで改善効果の高い業務を選ぶことができる
  • 業務の特性に応じて生成AI以外も含めたツールを考えられるようになる
  • 簡単なAIエージェントを作成できる

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セットでおすすめの研修・サービス

生成AIを活用した業務改善研修~業務を可視化し、AIに置き換え組織展開する

業務を作業単位まで洗い出し、生成AIに置き換えられる部分を考えます。個人の活用にとどめず、リスク管理や品質管理、効果測定まで含めて組織への展開方法を学ぶ研修です。自部署の業務改善を任されている担当者や、活用を組織全体に広げたいリーダー層におすすめです。

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AIエージェント基礎研修~自分専用の生成AIで業務を自動化する

生成AIの基本を理解している方を対象に、もっと使えるようになる1日間の研修です。

Microsoft Copilotのエージェント機能を使い、文章添削、社内マニュアル参照、アンケート分析など、特定業務を支援するAIエージェントの作り方を学ぶ研修です。

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触って高める生成AIリテラシー研修~生成AIパスポート取得の1歩を踏み出す

生成AIの基礎知識だけでなく、情報管理、個人情報保護、著作権などのガバナンスや、業務で活用するための判断軸を体系的に学ぶ研修です。生成AIを使い始めたばかりの方や、資格取得を通じて基礎から体系的に身につけたい方におすすめです。

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(半日研修)経営幹部・管理職向け生成AI活用研修~リスクを理解し運用方針を決める

生成AIのリスクを理解したうえで、組織としてどのように活用するか、管理職・経営層の立場から運用方針を考える研修です。

AIの信頼性を高めるという観点を、自組織のガバナンスへ落とし込む際に適しています。

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