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テレワーク、時短勤務、副業、スキマバイト~勤務形態の多様化に伴うリスクを予測し回避する

  • テレワークの社員とのコミュニケーションが取りにくい
  • 時短勤務の担当者が不在の間、誰も代わりができない
  • 副業で忙しい社員が本業に集中できていない

こうした現場の声を耳にする機会が増えていないでしょうか。今、あらゆる業界で働き方の多様化が進んでいます。テレワーク、時短勤務、副業、スキマバイトなど、働く時間も場所も目的も多様化する中で、マネジメントの難易度はこれまでにないほど高まっています。柔軟な制度を導入することで人材の確保や定着を図る一方、「誰が、どこで、どのように働いているのか」を把握しにくくなり、緊急時の対応力や組織の一体感が損なわれている企業も少なくありません。

この「見えないリスク」を放置すると、業務の属人化や責任意識の希薄化、コンプライアンス違反といった問題につながる危険性が高まります。では、勤務形態の多様化によってどんなリスクがあり、どのように備えるべきなのでしょうか。

多様化の背景と、現場が抱えるマネジメントギャップ

働き方の多様化は、時代の流れによる必然です。労働力人口の減少に加え、価値観の多様化、ワークライフバランス重視の潮流、そしてコロナ禍を経たテレワーク文化の定着。企業は、これらの変化に合わせて柔軟な制度を整え、働き手の選択肢を広げてきました。しかし、「制度がある=うまく機能している」ではありません。現場では実務上の課題が山積していることが珍しくありません。

制度を運用するマネージャーや店長が現場の実情に即した対応策を持っていなければ、柔軟性は逆に「統率力の低下」を招くことになります。つまり、いまの時代に求められるのは「制度を整えること」ではなく、多様な働き方を前提にしたリスクマネジメントの発想なのです。

起こりやすい3つのリスクと、具体的な兆候

起こり得るリスクを3つの視点からみていきましょう。これらのリスクは、表面上は「多様化の副作用」に見えますが、実際は「管理の仕組みと意識の不足」が根本原因です。

1.緊急対応力の低下

勤務時間・勤務場所がバラバラになることで、突発的なトラブルへの即応が難しくなります。例えば、クレームが発生した際に「担当者が在宅勤務で連絡が取れない」「対応権限の所在が不明確」という状況は珍しくありません。また、シフト勤務やスキマバイトを多く活用している現場では、属人化した作業や「その人しかわからないこと」が増え、トラブル時のリカバリーに時間がかかる傾向があります。

2.帰属意識の希薄化

働く場所や時間が異なると、自然な雑談やコミュニケーションの機会が減り、組織への愛着や仲間意識が薄れていきます。「会社のために」という意識が薄れれば、コンプライアンス違反や情報管理の不徹底など、組織人としての責任感に影響を及ぼします。特に副業・兼業を認める企業では、本業と副業の境界が曖昧になり、「何を優先すべきか」の判断を誤るケースもみられます。

3.属人化の進行

多様な働き方を許容するほど、仕事の割り振りが個別化しやすくなります。例えば、ある社員が「子育てのために時短勤務」をしている場合、時間内に処理できる業務に限定しようとする結果、その人にしかできない業務が生まれがちです。こうした属人化は、本人の退職や休職時に業務が止まる大きなリスクとなります。

リスクを予測・回避するための視点

多様な働き方を、リスクではなく「組織の力」に変えるためには、2つの視点から考えることが重要です。

制度設計の視点

制度を導入する際は、自由の裏にある責任とルールを明確に定義する必要があります。テレワークであれば「連絡手段と応答時間」、時短勤務であれば「不在時の業務委任先」など、緊急時にも柔軟に対応できるルールを明文化しておくことが大切です。さらに、制度運用後は定期的にレビューを行い、現場の声を反映して更新することで、ルールの形骸化を防ぐことができます。

コミュニケーションの視点

どんなに制度を整えても、働く人同士の信頼関係が希薄だと、思うようにリスクは減りません。物理的な距離が心理的な距離に変わらないよう、意図的なコミュニケーション設計が欠かせません。たとえば、週次でのオンライン全体ミーティング、チャットでの共有文化、面談によるキャリア支援など、接点を「制度化」することが有効です。

現場マネージャーが実践できる4つのアクション

制度はトップダウンで整備されますが、実際に機能させるのは現場マネージャーです。以下の4つのアクションは、どんな業種でもすぐに取り入れられる基本です。最初は小さな変化に見えますが、組織の結束を維持するうえで非常に大きな効果を生みます。

  1. 「不在時の代替体制」を明文化する
    誰が、どの業務を、どの範囲まで代行できるのか。緊急時の連絡フローを含めて「見える化」します。
  2. 「業務の見える化マップ」をつくる
    属人化を防ぐために、業務手順やノウハウをチームで共有する仕組みを整えます。シンプルなシートを提示しておくだけでも効果は大きいです。
  3. 「全員が発言する場」を定期的に設ける
    テレワークや短時間勤務者も含め、全員が自分の状況を1分でも共有できる場をつくることで、心理的安全性が高まります。
  4. 「働き方別の成功・失敗事例」を共有する
    他のメンバーの事例を知ることで、「自分の働き方もチームの中に位置づけられている」という感覚を育てます。

多様化時代に求められる新しい一体感

働き方の多様化は、もはや一時的なトレンドではなく、組織経営の前提条件です。重要なのは、従来型の「同じ形で働くことによる一体感」ではなく、「目的や価値観の共有による一体感」を築くことにあります。全員が違う働き方をしていても、「この組織は、同じ方向を向いている」と感じられる状態をつくることが、リスクを最小化し、生産性を最大化する鍵となります。働き方の多様化をリスクからチャンスに変えるために、マネジメント体制を再構築する取り組みが求められています。

リスクマネジメント研修~未然に防ぐ方法を学ぶ

一般的なリスクや事例など外部の視点を学ぶことによって、リスクに対する視野を広げます。また、自社を取り巻くリスクについて、内部・外部に存在する様々なリスクを洗い出し、対策の優先度を実際に評価していただきます。

リスクが顕在化した後の取り組みや、リスク管理を行う際に組織全体で気を付けるべきことなども合わせて学び、すぐに現場に持ち帰って活用をいただける内容となっています。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 事故やミスが起きる前に、予防対策を打つ方法を知りたい
  • 様々なリスクがある中、どこから手を付けていいかわからない
  • 自分が職場にいないときにリスク事項が起きてしまったら、部下は適切な判断ができないと思う

本研修のゴール

  1. リスクの洗い出しの仕方を習得し、自分の職場に潜むリスクを洗い出す
  2. リスク顕在化の予防策を習得する
  3. リスクが顕在化した場合の対応策の考え方を習得する

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セットでおすすめの研修・サービス

業務改善研修

業務改善の流れを9つのステップに分け、ポイントを学ぶことで、確実に業務改善を実行し成功させるためのスキルを習得します。

ご自身の組織における改善テーマを選び、ステップに沿って現状分析、真因追及、目標設定、対策立案を行います。最後には、そのまま職場で活用可能な「業務改善企画書」を完成させます。

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