なぜ管理職を避けるのか~中堅社員の本音と3つの支援策
近年、働き方やキャリアの価値観が多様化する中、「管理職に昇進したくない」と考える社員が増えている傾向があります。
特に中堅社員層において、スキルも経験も十分にあるにも関わらず、管理職登用の話を持ちかけても消極的な反応が返ってくるケースは珍しくありません。
中堅層は現場を支える貴重な戦力であり、将来の組織を担う人材です。しかし、その層が管理職を「自分とは無縁なもの」として捉えてしまっている状況は、企業にとって深刻な課題です。ではなぜ、管理職に上がりたがらないのでしょうか。そして、企業としてはどのようにその心理に寄り添い、前向きなチャレンジを促していけばよいのでしょうか。
中堅層が管理職を敬遠する理由
中堅層が管理職への昇進に魅力を感じない背景には、主に2つの要因があります。
(1)管理職に「魅力がない」と感じている
- 業務負荷が増えるだけで、報酬とのバランスが悪い
昇進しても給与の伸びは限定的なのに対し、業務量や責任が急増するため、損な役回りに見えてしまう - ロールモデルの不在や疲弊した管理職の姿
現任管理職が常に忙しく、サポートも乏しい状態にあると、「自分も将来こうなるのでは」という不安が募る
(2)「自信がない」と感じている
- 自分にマネジメントは向いていないと思い込んでいる
チームを率いる役割に自信が持てず、「自分には無理だ」と考えてしまう - 経験不足から来る不安
組織を動かす視点や人を育てる経験を積んでこなかったため、昇進後の業務に対するイメージが湧かない
これらの心理的な壁を取り払うためには、企業側の「育てる姿勢」が欠かせません。ただ昇進を促すのではなく、「挑戦できる状態を整える」ことが必要です。
管理職への抵抗感を軽減する3つのステップ
中堅層のキャリア観を前向きにし、昇進を選択肢として捉えてもらうためには、段階的にアプローチすることが有効です。以下に、インソースが実際に研修現場などでご支援してきた考え方をご紹介します。
STEP1:キャリアの視野を広げる機会をつくる
中堅層が管理職という選択肢を真剣に考え始めるには、「自分が今後どう働いていきたいのか」を整理することが第一歩です。その際に有効なのが、「ワーク(仕事)」「ライフ(生活)」「マネー(収入)」の3つの軸で考えるキャリア設計です。
人生全体を見据えて働き方を考えることで、管理職という道を「自分の可能性を広げる手段」「自身の人生の充実において魅力があるもの」として捉えられるようになります。
STEP2:「向いていない」と思い込む不安を軽減する
次に必要なのは、「自分にマネジメントが務まるだろうか」という漠然とした不安を取り除くことです。ここで有効なのが、「自分らしいリーダー像」の言語化です。
- 自分の強みや価値観を掘り下げる
- 理想の上司像や、尊敬する先輩の要素を取り入れる
- チームをどう支えたいかを考える
このプロセスを通じて、「リーダーとは、特別な人だけがなるものではない」「自分にもできるリーダー像がある」という気づきを得ることができます。
STEP3:スキル・経験の不足を補う機会を設ける
中堅層が昇進をためらう大きな理由の一つは、「経験がない」「スキルが足りない」という思いです。これを解消するためには、段階的な育成機会を設けることが有効です。
- OJTやプロジェクトリーダーの経験を積ませる
- マネジメントの基本スキルを学べる研修を受講する
- 1対1面談やメンタリングなどで管理職との接点を持たせる
こうした経験が「実は管理職の業務は自分にもできる」と思える自信につながります。機会があった時に「やってみよう」と思える土台づくりが、非常に重要です。
管理職に「なりたい人材」を増やすために
管理職に自ら手を挙げる人材を増やすには、単に昇進を打診するだけでなく、その手前の段階での丁寧なフォローが欠かせません。
「選ばれたからやる」ではなく、「自分で選んでやる」という納得感を持って管理職を目指してもらうための、土台づくりが必要です。
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