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ENERGY vol.04(2020年冬号)掲載

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社員全員をデジタルプラットフォームに乗せる

第一工業製薬株式会社は、国内の全生産拠点でデジタル活用による継続的な業務プロセスの改革を通じて品質・生産性の向上を目指すスマートファクトリー化を推進しており、その中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組んでいます。まさにDXをいち早く実践している同社。

実現のためには、どのような仕組みや人材育成が効果的なのか、取締役 生産統括の河村氏にお話を伺いました。

本来の意味のDXを模索

―生産部門のデジタル化とは、どのように取り組まれたのでしょうか?

コロナ禍でDXが加速したと言われますが、世の中のDXは、テレワーク等のリモートが中心になっています。これは本来の意味でのDXではないと考えています。我々はコロナ禍以前に、DXとは何か?どうDXを進めたらよいか?具体的なイメージがなく、困っていました。

データを「見える化」し経営に活かす

私たちのコンセプトはデータの「見える化」です。簡単に説明すると、客観的なデータを愚直に取って、データから読み取った気づきを経営に活かすということです。そのツールとして機械学習、深層学習等のAIを活用します。それと同時に大事なことは「安価に」実施することだと考えます。最新鋭の工場で何十億円もかければ簡単に出来るかもしれませんが、そのようなことができるのは、超大企業だけです。我々のような規模の企業は超大企業と同じことはできません。そのため「安価に」をキーワードに、現時点で所有している工場資産を使い、速く、しぶとく収益を出せる工場へ変革できるか、真剣に考えました。

老朽化工場からDXを「安価に」進める

DXにおいては自社工場の生産効率を高めた最新のスマート化工場(三重県四日市市)と老朽化工場(滋賀県、新潟県)の2種類のタイプに分類しています。特に、老朽化工場の減価償却の終わった設備から、いかにDXを活用して安価な投資で利益を絞り出せるかに着目しました。

2つのDX~本社主導と現場主導

それには2つの切り口、「生産工程の改善」と「生産効率の改善」があります。「生産工程の改善」は、AIやビッグデータ解析等の最先端のデジタルツールを活用した製造プロセスの変革で、本社主導で行います。一方で「生産効率の改善」は、製造プロセス自体は変えず、各工程の所要時間を効率化すべく生産現場でできる改善を意味します。

生産現場のDXはKAIZENの延長

具体的には、各工程の所要時間をセンシングして時間当たりの生産量を自動的に見える化し、生産効率が落ちるところについて、どうして効率が落ちるのか、人の気づきを効果的に誘導して、「朝礼が長い」、「事前に必要な原料の準備ができていない」など身近なボトルネックや原因を探り改善します。『生産効率の改善』は、現場の人たちがデータを自動で簡単に取得して「なぜそうなっているのか」に気づき、把握することから始まります。いわゆるKAIZEN活動の延長です。

PIMSやMESはシステム名でスマート化ではない

―データを経営に活かすことの重要性にどのように気づかれたのでしょうか?

私は、2018年4月に生産管理本部長になりました。それまでは生産の経験が全くありませんでした。以前から弊社内でもスマート化は謳われていました。しかし、私が着任した時、生産本部でスマート化の話を聞いても、難しい単語が並べられるだけで、しっくりしませんでした。そこで、自身で6カ月間外部の講演会等に参加して必要な知識を蓄えた結果、PIMS(プラント情報管理システム)やMES(製造実行システム)といったデジタルインフラは単なるシステム名でありスマート化ではないと思いました。

自動でデータを取得しボトルネックを分析する

様々なDXやIoT関連の講演会に行ったり人に会ったりする中で、IoT界の革命児と称される方(i Smart Technologies株式会社木村哲也社長)から、「IoTとはお金をかけてやるもんじゃない」と教わりました。大事なことは「自動で簡単にデータを取得することで、データを客観的に把握して、その客観的なデータからボトルネックを分析すること」というシンプルなことでした。

デジタルが身近だという認識が成果につながる

そして滋賀工場で時間当たりの生産量、サイクルタイムをずっと棒グラフで追っていきました。その際に、生産量の落ちたところは、設備の問題か、作業の段取り待ちなのか、原因を調べました。つまり、デジタルって身近なものだってことなんです。自分たちにもできると工場の人たちが気づき始めて、数百万、数千万円の大きな成果につながりました。

DX人材育成は研修が大切

―デジタル人材の育成がインソースとのつながりですね。

そうですね、DX専門部署の創設や専門分野の人材の採用だけでは、会社のDX化は実現できません。ビジョンを実現するためには、社員が成長しなければならない、社員の成長には適切な研修がとても大事です。専門知識を持つ対象者、現場での生産効率の改善に意欲のある人に系統だった研修を実施することに大変意味があります。

社員全員をデジタルプラットフォームに乗せる

安価なセンサーを付けて、データを取って改善につなげる。これには社員の人材育成が大きく役立ちます。意外に社員にはデジタル好きな人が多い。若い人は頭も柔らかく抵抗感がありません。そういう人に目覚めてもらう(会社としては人材発掘)ためにも、社員全体の研修が必要と考えていました。全員がデジタルのプラットフォームに乗りますから、ごく一部の人だけに提供しても意味がありません。新入社員、選抜社員、希望者にあまねく研修を行っています。

DX教育が世代間コミュニケーションを生む

―デジタル教育に期待することは、何でしょう?

当然DXの知識を持った人を増やしたいというのが主目的です。会社でDXを進めるうえでまずは、デジタルリテラシーを持った人材を増やすことが重要です。弊社ではDX研修にもう一つ重要なミッションを考えています。上司と部下、世代間をつなぐ意味で、世代間の会話を生み出すツールにしたいという思いがありました。今回の新入社員向けDX研修では、事後課題の提出が想像以上に早かったといわれました。これには弊社のブラザー・シスター制度という仕組みが役立っています。つまり新人の課題提出は、指導する先輩にも責任があります。結果として、ブラザー・シスター(先輩)のチーム同士の戦いになりました。ブラザー・シスターや課長が新人に、必ず声をかけますし、各工場長も気にかけます。そうすると、「課題を出したか?」「こんなことで困ってます」などの会話が生まれます。また、デジタルに縁遠かったシニアの方から「自分の業務を効率化したいのだけどいいアイデアないかな」と、また会話が広がります。「こんなことを自動化して欲しい」が実現すると、「仕事が楽になった」と会話が生まれます。こういった世代間の会話の促進が生まれることで、現場からのDX推進がさらに加速するのではないでしょうか。

河村 一二

第一工業製薬株式会社 取締役 生産統括(※)

2020年取材時

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