インソース マーケティング&デザイン室

絶対参照と相対参照、IF・AND・ORのネスト...一歩進んだ機能の適切な教え方~DXのための「Excelの教え方」5

Excelの基本的な操作に慣れてきた受講者は、「もっと効率的に、もっと見やすくしたい」という次のステップへと進みたくなります。
ここで、「一歩進んだ機能」を正しく伝えることができれば、Excelの組織的な活用は大幅に前進します。

「Excelを少し触ったことがある人」がつまずきやすいポイントとは

Excelに少し触れたことがある人でも、陥りやすい落とし穴というものが存在します。それらの機能を単に操作として説明してしまうと、「なぜそうなるのか」「どう使うと便利なのか」という本質的な理解ができず、応用が効きません。

本コラムでは、基本的な操作ができるようになった受講者が、さらにExcelを使いこなすために理解すべき「絶対参照」と「関数のネスト」の教え方のポイントを解説します。

相対参照・絶対参照の概念を理解させる

Excelの関数を我流でなんとなく使える人が、もっともつまずきやすいポイントが「絶対参照」です。

「数式をコピーしたら、計算結果がおかしくなった」という現象は、相対参照と絶対参照の概念が理解できていないときによく起こります。この機能の説明は、Excelの「自動計算」の仕組みを理解する上で非常に重要なポイントです。

「なぜ数式が勝手に変わるのか?」から入る

まずは、簡単な足し算の数式(=A1+B1など)を作成し、それをすぐ下のセルにコピーしてみせましょう。結果がどうなるか、受講者に予測させ、実際に変化することを確認させます。そして、「Excelは、コピーすると『相対的に』セルをずらして計算してくれるんです」と、この自動機能の意図を説明します。

「ある場所を示すときに、住所を指定するのが絶対参照、現在地からの行き方を指定するのが相対参照」というように、例えを出して説明すると理解しやすいかもしれません。

絶対参照の必要性を説く

次に、特定のセルだけは常に参照したいケースを提示します(例:消費税率のセル、現在日付表記のセルなど)。「こんな時、オートフィルをしても動かしたくないセルは、『$(ドルマーク)』をつけて固定するんです」と、絶対参照の概念を導入します。

「=$A$1」、「=A$1」「=$A1」の3つのパターンを、実際にコピーしながら違いを見せます。「どこに$をつけるかで、動く方向が変わるんですよ」と視覚的に理解を促しましょう。最後にF4キーで簡単に$が切り替わることも教えてあげると、実用性がぐんと上がります。

関数の組み合わせ(IF関数・AND関数・OR関数など)を理解させる

一つの関数は理解できても、複数の関数を組み合わせる「ネスト」は、一気に難易度が上がります。ここでは、論理関数を中心に、考え方を順序立てて教えることが重要です。

IF関数から始める:「もし~なら、こうする」というロジック

まず、基本的なIF関数の構造「=IF(論理式, 真の場合, 偽の場合)」を説明します。「テストの点数が60点以上なら『合格』、そうでなければ『不合格』と表示する」など、身近な例でシンプルなIF関数を作成させ、そのロジックを理解させます。

「最初に書いた式が正しいとき、間違っているとき、それぞれ何をさせたいか」というように、平易な日本語で真の場合と偽の場合の意味を説明する事が大切です。

AND関数・OR関数の導入:「条件を増やしたいときは、こうする」

「もし、条件が複数ある場合はどうすると思いますか?」と問いかけ、AND関数やOR関数が必要になる場面を提示します。

「合格」の条件が「国語と算数、両方とも60点以上」の場合(AND)や、「国語か算数、どちらかが60点以上」の場合(OR)といった具体例で、それぞれの関数の役割を説明します。「AND関数やOR関数は、IF関数の『論理式』の部分に入れることで、条件を増やせるんです」と、関数の組み合わせ方を順序立てて説明し、実際にネストした数式を組ませてみましょう。

ステップバイステップで分解し、実践へ持ち込む

複雑な関数を教える際に、一度にすべてを入力させる必要はありません。
「まず、AND関数だけで正しい結果が出るか確認してみましょう」
「次に、それをIF関数の中に入れてみましょう」
といったように、数式を小さな部品に分解して確認する癖をつけさせることが非常に有効です。
複雑な内容の説明の際は、いつでも手を止めて質問できるような環境にしておくことがとても大切です。

また、IF関数の機能が理解できたところでは終わらせず、実際のビジネスでどう使うかまで説明することも大切です。「うちの会社だとこういうデータの時に...」などと実データに近い事例を紹介すると、より実践的なイメージがわきやすくなります。

まとめ

今回は、Excelに少し触れたことがある方がつまずきやすい「相対参照・絶対参照」と「関数の組み合わせ」について、教える際の具体的なコツをご紹介しました。これらの概念をしっかり理解することは、より複雑なデータ処理や自動化への大きな一歩となります。

ここをクリアできると、組織としてのデータ利活用の幅もかなり広がります。ぜひこれらのコツを活かして、組織内のExcelリテラシー向上にお役立てください。

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  1. Excelは組織で活かす!Excelを「教える側」と「教えられる側」の心理
  2. 「Excelが苦手」な人の本音を理解し、劣等感を抱かせない教育を行う
  3. Excel指導のゴールは「検索」と「自己解決」ができること
  4. 初心者が「できた!」を実感できる、Excel教育のポイント
  5. 絶対参照と相対参照、IF・AND・ORのネスト...一歩進んだ機能の適切な教え方
  6. グラフ、条件付き書式、表示形式、フィルタ...業務効率化を加速させる応用機能
  7. 我流からの脱却!「なぜ?」を深掘りする応用機能
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