Excelは組織で活かす!Excelを「教える側」と「教えられる側」の心理~DXのための「Excelの教え方」1
現代ビジネスにおいて、Excelはもはや単なる表計算ソフトではありません。データ分析・進捗管理・予算策定・顧客管理など、多岐にわたる業務でその力を発揮し、私たちの働き方を大きく左右するツールとなっています。
しかし、多くの企業でExcelの潜在能力が十分に引き出されているとは言えません。なぜなら、Excelの活用方法を他者に教えるのは、自分が習得するよりも難しく、いまだに多くの組織でExcelは「一部の得意な人が使いこなしているもの」に留まっているからです。
「Excelを教える」という行為は、一見するとシンプルなスキルの伝達に見えますが、実は非常に奥深い行為です。
Excelを教える難しさ~それぞれの心の声を捉える
Excelを教えることの難しさは、教える側・教えられる側それぞれに要因があります。あなたがもし社内でExcelを教える立場もしくは教わる立場にあるなら、きっと以下のようなお悩みに、心当たりがあるのではないでしょうか。
Excelを「教える側」の心の声
- どこから教え始めたらいいか分からない
- 相手のレベルがバラバラで、全員に合った教え方が難しい
- 一度教えたはずなのに、すぐに忘れられて同じ質問を受ける
Excelを「教えられる側」の心の声
- 「こんなこと聞いていいのかな?」と質問をためらってしまう
- なぜかエラーが出てしまい、解決方法が分からないと手が止まってしまう
- 基本的な用語から誰にも教わっていないので、何と聞いたらいいかわからない
これらの悩みは、Excelを教えることの難しさを浮き彫りにしています。この難しさを乗り越え、組織全体でExcel活用を推進することは、現代のビジネスにおいて非常に重要な意味を持ちます。
現代のITツールは「共有・連携・チーム活用」が当たり前
現代のITツールは、個人の生産性向上だけでなく、チームや組織全体の効率を高めるための「共有」「連携」「チーム活用」が当たり前になっています。クラウドサービスの普及により、複数のメンバーが同時にドキュメントを編集したり、リアルタイムで情報を共有したりすることが容易になりました。
Excelも例外ではありません。OneDriveやSharePointといったクラウドストレージを活用すれば、複数人での同時編集やバージョン管理が格段に容易になります。しかし、この「共有・連携・チーム活用」の恩恵を最大限に享受するためには、メンバー1人ひとりがExcelの基本的な操作だけでは不十分です。加えて、効率的な使い方やデータ管理の原則を理解している必要があります。
例えば、誰かが作成したExcelファイルが、特定の個人のローカル環境にしか存在しないという状況を考えてみましょう。あるいは共有はされているものの、数式が複雑すぎて他の人が手を出せない、といった状況もあるかもしれません。このようなケースは、現代のビジネス環境において生産性を著しく阻害する要因となります。
Excelを組織全員で活用できるメリット例
組織全体でExcelのスキルレベルが向上し、効果的に活用できるようになった場合、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?具体的な例をいくつかご紹介します。
1.関数を用いた業務効率化フォーマットを作り、展開できる
「この作業、もっと効率化できないかな?」
多くのビジネスパーソンが抱えるこの問いに対する強力な答えの一つが、Excelの関数です。
- XLOOKUP関数で大量のデータから必要な情報を瞬時に抽出する
- SUMIFS関数で特定の条件に合致するデータを集計する
- IFS関数で条件に応じた処理を自動化する
こういった関数を組み合わせることで、手作業で行っていたデータ入力や集計、分析といった定型業務を大幅に自動化し、時間を削減できます。
特定の部署で作成された業務効率化フォーマットを、Excelスキルの高い社員が他の部署や全社に展開することで、組織全体の生産性向上に貢献できます。
例えば、営業部門が作成した日報の集計フォーマットを、経理部門が月次決算に活用したり、人事部門が勤怠管理に応用したりするイメージです。このような横展開が可能になることで、各部署が個別に効率化を進めるよりもはるかに大きな効果が期待できます。
2.社内に眠ったデータ活用のアイデアがでやすくなる
多くの組織には、日々の業務で蓄積された膨大なデータが眠っています。
顧客情報・売上データ・在庫データ・ウェブサイトのアクセスログなど、これらはまさに「宝の山」です。しかし、これらのデータが「ただの数字の羅列」としてしか見られていないケースも少なくありません。
Excelのグラフ機能やピボットテーブル・データ分析ツールを使いこなせる社員が増えれば、これらの「眠ったデータ」から新たな知見や課題を発見し、ビジネス戦略に活かすアイデアが生まれやすくなります。
例えば、以下のような仮説を想定できるかもしれません。
「この商品の売上が落ちているのは、特定地域の顧客層に原因があるのではないか?」
「この期間にウェブサイトのアクセスが急増したのは、SNSキャンペーンの効果ではないか?」
このような仮説を、データに基づいて検証し、具体的なアクションプランに落とし込むことができるようになります。データに基づいた意思決定は、勘や経験に頼った意思決定よりも、はるかに高い精度と再現性をもたらします。
3.業務の自動化やその後のメンテナンスが可能になる
Excelは、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語を組み合わせることで、さらに高度な業務自動化を実現できます。具体的には、以下のような業務を効率化することが可能です。
- 複数のシートからデータを集約する
- 定型レポートを自動生成する
- メールを自動送信する
しかし、VBAで自動化された業務は、作成した本人でなければメンテナンスが難しいという課題も抱えています。VBAが「ブラックボックス化」してしまうと、作成者が異動したり退職したりした場合に、その自動化された業務が滞ってしまうリスクがあります。
組織全体でExcel、ひいてはVBAの基礎的な知識を持つ社員が増えれば、誰かが作成した自動化ツールであっても、他の社員がその仕組みを理解することができます。さらに理解が深まれば、必要に応じて修正や改善を行うことができるようになります。これにより、業務自動化の持続可能性が高まり、より強固な業務基盤を構築することが可能になります。
まとめ
Excelを組織全体で活用することは、個々の生産性向上だけでなく、組織全体の競争力強化に直結します。本コラムシリーズが、DXやExcelのリテラシー向上にお悩みの方の一助になれば幸いです。
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