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ナッジ理論

ナッジ理論は、行動経済学(行動科学や心理学を融合した新しい学問)のひとつです。「ナッジ」は「ひじでちょっと押す」という意味があり、さりげなく意思決定や行動に働きかける方法として注目を集めています。

行動経済学者であるアメリカのセイラー教授は、2017年にノーベル経済学賞を受賞しました。以来、行動経済学の知見を利用したナッジ理論が広まり、アメリカやイギリスの公共政策に取り入れられています。日本でも環境省を中心に防災や環境保護分野での活用が進められ、自治体によるチラシやポスターへの活用で、住民の受診率の向上などに効果をあげています。
最近の具体例としては、コロナ禍におけるレジ前の足元のサインなどもナッジです。距離を取って、矢印に沿って並ぶ行動をさりげなく促すものでした。

アメリカの企業を中心にマーケティング戦略で広く活用され、ビジネスの現場でもナッジ理論を活用したアプローチが話題となっています。顧客も気づいていない要求(インサイト)に働きかけ、購入や選択を誘導したり、部下のやる気を引き出す際に用いるなど、心理面に働きかける効果があります。

ナッジ理論のフレームワークとして代表的なものにEASTがあります。
【E:Easy 簡単であること】シンプルなメッセージ、選択肢を絞る など
【A:Attractive 魅力的であること】訴求力を高める。得する・損する情報を明示
【S:Soceity 社会的であること】多くの人はどう行動しているかを伝え、誘導する
【T:timely タイムリーであること】情報を欲しがっているタイミングで提供する
4つの要素の頭文字「EAST」に合うよう「文言を変える」「情報の順番を変える」など、ちょっとした工夫で有効な結果を引き出せます。

ナッジ理論が受け入れられた背景として、強制ではなく、あくまでも本人が自主的に行動することを促すアプローチであったことです。主体性を持った選択であれば、その熱意は長続きし、行動変容を促します。また、低コストで効果があげられることも大きいでしょう。

ナッジには前出のセイラー教授も認める「悪いナッジ(スラッジ)」があり、悪用されると危険であると注意を促す人もいます。一見それとはわからない巧妙さで選択を誘導するので、相手の不利益につながる活用方法もあるからです。あくまでも顧客や部下の幸せにつながる、良識にのっとった活用法が求められます。
しかし、うまく活用できれば、主体的な行動を促し、組織変容や顧客へのマーケティング、部下育成など様々な活用の可能性があるとして今後も注目されています。

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