読み手の心情に働きかけ、行動を促す資料とは ~「ナッジ理論」を活用した資料作成術

読み手の心情に働きかけ、行動を促す資料とは
~「ナッジ理論」を活用した資料作成術

会議や商談で使用する資料や、宣伝に使うチラシなど、資料を作成する機会は多くあります。 しかしながら、「いつも読みづらい資料になってしまう」「相手に響かない」など、資料作成を苦手に思われている方、 もっとスキルを高めたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

資料を作成する際に必要なのは、「分かりやすく訴求力が高いコンテンツであること」です。 「訴求力が高い」とは、内容を十分にアピールできていて、読み手の欲求を呼び起こすという意味です。 「理解できた」というだけではなく、読み手が自発的に行動をとるような工夫が必要になります。

そこで本ページでは、読み手がすぐに理解できる「分かりやすい資料」とは何かをご説明するとともに、 行動経済学の「ナッジ理論」を使って読み手を動かす資料作成のコツを事例と合わせてご紹介いたします。 ぜひ最後までお読みください!

分かりやすい資料とは何か

資料を作成するにあたって、以下のようなご経験はありませんでしょうか。

・伝えたいことが絞り切れず、資料の枚数が多くなってしまう
・論点があちらこちらへずれてしまい、理解するまで時間がかかってしまう
・何が言いたい資料なのか分からない、と指摘されてしまう



資料作成において最も重要なポイントは、資料の目的・内容がはっきりしていることです。
「この資料は誰が読むのか」「読み手にどのようなアクションを起こしてほしいのか」 これらが明確になれば、必要最低限の情報を取捨選択することが可能となり、本当に伝えたいことを伝えることができます。 また、読み手が情報を素早く理解でき、迅速な判断につながります。

伝える内容が決まったあとは、全体の構成を考えます。
資料の目的・内容を考えながら、情報を整理し、その順序を決めていきます。ここでのポイントは、視線の流れに沿って、 構成することです。これにより、読み手を迷わせることなく資料の要点を伝えることができます。

最後に分かりやすく伝える工夫を施していきます。
「一文を短くすることで読み手の負担を減らす」「資料の目的に沿った適切な表現を使う」 といった要約の他、「一目見てわかるように矢印、枠、グラフを使う」といった図解が有効です。
また、専門用語やカタカナ語など特定の層にしか伝わらない言葉は使用しないことも大切です。

ナッジ理論とは何か

分かりやすい資料作成のポイントを踏まえていただいたうえで、 次に、相手が自発的に、より良い選択をするように導く「ナッジ理論」について見ていきましょう。

皆さんは「ナッジ理論」という言葉をご存じでしょうか。
ナッジ理論は、「人は感情で動く」という観点から経済活動を体系的に組み立てた学問 「行動経済学」の理論の1つです。
2017年にリチャード・セイラー教授が同理論を提唱し、ノーベル経済学賞を受賞しました。
これがきっかけとなり、企業のマーケティング戦略や公共政策に使われるなど、 現在ビジネスの場で活用が広がり、大きな注目を集めています。

ナッジ(Nudge)のもともとの意味は、「ひじで軽く突く」という意味で、 「ちょっとしたきっかけで相手により良い選択を促す」ための理論です。
特に資料や広告作成において強い効力を発揮し、読み手の行動を促した、いくつもの成功事例があります。

そんなナッジ理論ですが、「EAST(イースト)」と呼ばれるフレームワークによって構成されています。
「Easy(簡単)」「Attractive(魅力的)」「Social(社会的)」 「Timely(タイムリー)」の頭文字をとってEASTとなっており、これら4つの観点から 相手の行動を促すための工夫を考えます。

▼EASTを構成する4つの要素

E:Easy(簡単)
人は、簡単で楽な行動を選びやすい
→ 一目でわかるような資料を作成したり、選択肢を絞ることで、  行動へのハードルを下げる

A:Attractive(魅力的)
人は、自分にとって魅力的なものを選ぶ
→ 相手の注意を引きつけるような仕掛けをして、訴求力を高める

S:Social(社会的)
人は、社会規範に影響を受ける
→ 他の人がどのような行動を取っているかを伝えることで、人を動かすことができる

T:Timely(タイムリー)
人は、タイムリーなアプローチに反応しやすい
→ 適切なタイミング(相手がその情報・サービスを欲しがっている時)に  情報を提供する

ナッジ理論のフレームワーク「EAST」を使った活用事例

ナッジ理論を活用するメリットは、圧倒的なコストパフォーマンスを発揮する点です。
「資料の文言を少し変える」「情報の順番を変える」「データを差し込む」など、 "ちょっとの工夫"で成果を上げることが可能なため、多額の宣伝・PR費用を抑えることができます。

では、実際にEASTがどのようにして活用されているのか、5つの市町が実施した「がん検診の受診率をアップさせた事例」を用いてご紹介いたします。

▼E:Easy(簡単) 選択肢は少ない方が選びやすい(福井県高浜町の例)

高浜町では、がん検診の受診率を向上させるべく、新たな申込フォームを開発しました。
今までがん検診はオプションのような位置づけとして見せており、受診したいものを 住民が選んで申し込むものでした。
改善したフォームでは、「がん検診は対象となるもの全てセットで受診すること」を前提とし、 住民は検診の希望日を選ぶだけの簡単なものとなりました。
「どれにする?」から「いつにする?」に変更し、選択肢を少なくした結果、従来のフォームと比べて、17ptsアップの申込率53%と大きく向上しました。


▼A:Attractive(魅力的) 損する情報が行動を促す(東京都八王子市の例)

大腸がんを発見するためには、毎年のリピート受診が不可欠です。
八王子市では、大腸がん検診を前年度受診した人のリピート受診を促そうと、 大腸がん検査キット(採便容器)を送付しました。
しかし、送付した対象のうち、受診率は7割にとどまりました。
そこで、未受診者の受診を促そうと、以下の2種類のハガキを送付しました。

<Aグループ>

受診いただいた方には、来年度、 「大腸がん検査キット」をご自宅へお送りします。と記載。
受診すると来年度もキットがもらえるという得がある

<Bグループ>

受診いただかない方へは、来年度、 ご自宅へ「大腸がん検査キット」をお送りすることができません。と記載。
受診しないと、来年度はキットがもらえず、損してしまう


結果は、「損はしたくない」という損失回避に働きかけたBグループの受診率が、Aグループよりも7.2% 高い結果となりました。


▼S:Social(社会的)「他の人はどうしているか」を伝え、行動を促す (高知県高知市の例)

人は自分たちで考えているよりもずっと周りの人の行動や発言に影響を受けています。 統計データを活用することで、相手の行動を促すことができます。「2人に1人が ○○しています」「90%の人が○○しています」と資料に目立つように 記載することで、読み手の「周囲と同化したい」という意識を刺激することができます。 高知市では、周りの人は健診に行っていますよ、と数字で伝えることで、同調性を刺激して、行動を促すことに成功しました。


▼T:Timely(タイムリー) 適切なタイミングで情報を提供する (福岡県福岡市、千葉県千葉市の例)

福岡市と千葉市は、働き盛りで、家庭でも子育てや教育などに関わることから 常に忙しい40代、50 代の受診率が低かったため、携帯電話のショートメッセージを利用した施策で受診率を高めました。

・去年受診した月にショートメッセージを送信し検診の記憶を蘇らせ、予約に促す
・健診の終了1か月前にショートメッセージを送信し、駆け込み予約を促す


千葉市では、駆け込み予約を狙ったショートメッセージの送信により 25.6%が受診するという結果となりました。


参考:厚生労働省「受診率向上施策ハンドブック 明日から使えるナッジ理論」 https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000500407.pdf (最終アクセス2020年12月10日)

最後に

ナッジ理論を活用した資料作成のアイデアはいかがでしたでしょうか。
相手の行動を促す資料は、ほんの少しの工夫で作成できることがおわかりいただけたかと思います。
それに加えて「受診率を高める」という1つの目的に対して、複数のアイデアがあったように、 4つの視点からアプローチが考えられる点も、ナッジ理論の魅力の1つです。
簡単に実践できて、すぐに成果につながるナッジ理論を活用しない手はありません。
この機会にナッジ理論をもとに訴求力の高い資料を作ってみてはいかがしょうか。

<関連リンク>

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