クレーム電話をこじらせない3つのポイント~「最初の30秒」「論点整理」「終話のまとめ方」で印象が変わる

ホテルや旅館、ブランドショップなど、サービス業ではお客さまからのお問い合わせや苦情を電話で受ける場面が多くあります。
電話は表情が見えない分、ちょっとした言い回しや間の取り方が誤解を生みやすく、対面以上に慎重な対応が求められます。
クレーム電話対応の基本姿勢と、現場で今日から実践できる具体的なポイントを整理します。
「最初の30秒」で相手が安心できるかが決まる
電話のクレームでは、冒頭の一言が印象を大きく左右します。お客さまは不満や不安を抱えており、まずは安心材料を求めています。
初動で意識したい3つの基本
お客さまにどんな姿勢で向き合うかが最も重要です。まずは相手の不安を受け止める基本姿勢を整えることで、このあとの言葉遣いや声の工夫がより効果を発揮します。そのための3つのポイントをご紹介します。
- 落ち着いた声で名乗り、丁寧に受け止める
声のトーンが高すぎたり慌ただしかったりすると、不信感を与えてしまいます。 - 相手の言葉を遮らず、最後まで聴く姿勢を示す
話を途中で切ると不満が増幅するため、適度な相槌で「聴いている」ことを伝えます。 - 感情よりも安心感の提供を優先する
「状況を確認して誠実に対応いたします」という一言で、相手の緊張が和らぎます。
サービス業で役立つ「言葉選び」と「声のコントロール」
電話は相手の表情が見えないぶん、こちらの声の安定感や言葉遣いがそのまま印象を左右します。誠実さや落ち着きも、話し方や言い回しから判断されやすいため、対面以上に伝え方への配慮が欠かせません。そのうえで、次のような電話ならではの工夫を意識すると、より安心してもらえる応対につながります。
- 否定表現を避ける
印象が硬くなる否定表現ではなく、前向きな言い換えが効果的です。
言い換えワード集
- 「できません」
確認してご案内します。できる方法を探します。別のご提案を用意します。 - 「分かりません」
調べてご連絡します。確認して折り返します。分かり次第お知らせします。 - 「分かりかねます」
正確な情報を確認します。確認のうえご案内します。念のため調べます。 - 「難しいです/致しかねます」
可能な方法を検討します。代案をご提案します。できる範囲で対応します。 - 「知りません/聞いていません」
担当に確認します。確認後あらためてご案内します。
- クッション言葉を適切に使う
「恐れ入りますが」「少々お待ちいただけますでしょうか」などが、場の緊張を和らげます。 - 声の表情を意識する
笑顔で話すと声に柔らかさが生まれ、相手も落ち着きやすくなります。
クレームが複雑な場合の「論点整理」と「引き継ぎの仕方」
ホテルやブランド店舗では、設備、商品の品質、接遇などクレームの内容が多岐にわたります。電話では特に、情報が整理されていないと誤解が生まれ、状況がこじれやすくなります。
効率よく整理するコツ
- 要点を「いつ」「どこで」「何が」の順にまとめる
- お客さまにも確認してもらい、認識のズレをなくす
- 解決に必要な部署や責任者を早めに特定する
また、引き継ぎが必要な場合は「誰が」「何を」「いつまでに」対応するのかを明確に伝えることで、お客さまの不安を軽減できます。
こじれを防ぎ安心感が残る「終話のまとめ方」の3つのポイント
不満を抱えたお客さまに、説明しても納得が得られない場面が続いていました。ところが終わり際に担当者が「本日はご心配をおかけし申し訳ございません。引き続きこちらでしっかり確認いたしますのでご安心ください」と柔らかく締めたことで、お客さまは「誠実だった」と感情を鎮め、対応が良かった、と後から感想を伝えてくれました。
このように、電話対応では、終話の印象がそのまま企業の評価に直結します。こじれを防ぎ、安心感を残すためには、次の3点を意識したまとめ方が効果的です。
- 対応内容を簡潔に復唱する
- 今後の流れを明確に伝える
- 丁寧な感謝の言葉で締める
これらを徹底することで、クレーム対応であっても信頼関係を損なわず、むしろ評価向上につながるケースも少なくありません。
クレーム電話対応研修~見えない相手との対応テクニックを学ぶ
クレーム電話に対する基本的なスキルを習得できる研修です。「相手の顔が見えない」「こちらの気持ちが伝わりづらい」などの電話特有の難しさを踏まえ、対応の4つの基本手順である「①当事者意識を持つ、②お客さまの心情理解、③問題・要望の確認と提案、④関係部署との連携」を学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 電話でのクレーム対応の経験があまりないので、基礎を身につけたい
- 感情的になっている相手の適切な対応方法や話し方のポイントを学びたい
- 2次クレームを引き起こさないような、落ち着いた対応の方法を知りたい
到達目標
- 電話特有の難しさを知る
- クレーム対応の基本手順を身につけ、自信をもって対応できるようになる
- 具体的なケースを通して、研修内で学んだことが実践できるようになる
対象者
- 電話でお客さまとやり取りをする機会の多い方
- 電話でのクレーム対応スキルを身につけたい方
セットでおすすめの研修・サービス
クレーム対応研修~苦情対応の正しい手順を学ぶ
本研修では、まず、CSマインドや当事者意識などの心構えを身につけます。
そのうえで、背景を聴いてお客さまの怒りを鎮める手法、要望を的確に把握して寄り添う代替案・解決策を提示する流れを学びます。多くのロールプレイングを行うことで明日から使える実践力を高めます。
カスタマーハラスメント防止研修~正しい知識を味方につける
本研修では、カスタマーハラスメントの基礎知識や現場で対応する際のスキル、組織としての防衛策について学んでいきます。
通常のクレームとは異なる部分を持ちつつ、ハラスメントの要素もあわせ持つカスタマーハラスメントに対して、実際の現場でも自信をもって対処できるように学んでいきます。
窓口・電話応対などのCS調査から改善支援まで行うプラン
自組織の電話や窓口応対、接客の品質を独自の評価シートで、CSのプロが調査いたします。統計的な手法による分析で、必要な改善策を打ち出し、計画的に組織のCS向上を目指します。





