第2回「無理してでもやる」をやめ、普通に続けるを優先する働き方へ

現在、精神障がい者雇用として勤務するKさん。前職では、うつ病による休職と復職を経験しています。
その後、無期雇用への切り替えを経て勤務を続けていましたが、体制変更に伴う退職勧奨を受け、当社へ転職することになります。
前回(※)に続き、当社スタッフがKさん本人に内容許可のもと、インタビューを実施。
※第1回 「休むなら辞めろ」と言われた日から~長く働くにたどり着くまで
https://www.insource.co.jp/ihl/260525/kanrisyoku_mentalhealth.html
現在は、「明日も普通に働く」ために意識していることや、不安との付き合い方について伺いました。キャリアの岐路や働き方に悩む方へのヒントが詰まった第2回をお届けします。
今は、「普通に続ける」を優先している
―現在、仕事や生活をするうえで、一番意識していることは何ですか。
時間を守ることです。
もともとの予定などは昔も今もちゃんと守っていますよ(笑)。
ただ、仕事と生活のラインがあいまいで、自分の中で区切りをつけられていませんでした。休んでいるつもりでも、ちゃんと休めていない感覚でした。
今は「無理してでもやる」よりも、「明日も普通に働ける」ように、仕事のやめ時やルールを自分でコントロールすることを優先しています。
―「頑張る」という言葉に対するイメージは変わりましたか。
「頑張る」って、本当にいろんな捉え方がある言葉ですよね。人それぞれの基準がある言葉なので、少し扱いが難しいなと感じる部分はあります。
だから、自分としてはあまり言葉そのものに引っ張られすぎず、無理のない自分のペースでやっていけたらいいのかな、と思っています。周りに対しても、安易に使わないように意識しているくらいですね。
一人で抱え込んでいた過去と、自分の変化
―以前は、人に頼ることに抵抗感がありましたか。
ありました。「社会人=大人=自立=すべて自分で判断する」と考えていたので、仕事も生活もすべて一人で抱えていました。それに年齢を重ねるほど、いまさら人に聞いたり相談したりするのが恥ずかしくてできなかったんですよね。
―「一人で解決しなくていい」と思えるようになったきっかけは何ですか。
本当に、どうすればいいかわからなくなった時です。一人暮らしで無職になり、お金も食べ物もない。自分一人では、もうどうにもできない状態でした。
自分の中では最後の手段でしたが、役所へ相談して助けてもらいました。
当時はまだ「自分で何とかしたい」というプライドがあったので、悔しさと、助かった安心感がごちゃごちゃになって泣いたのを覚えています。これがきっかけになっていると思います。
―その経験を経て、周囲への関わり方は変わりましたか。
以前は、自分基準のペースで動いてしまっていて、相手にも同じペースを求めていたと思います。そのため、時間や考えのズレにストレスを感じることもありました。
今思えば、自分のペースを相手に押しつけていたところがあったんだと思います。
施設でプログラムを受ける中で、少しずつ考え方が変わっていったんですが、相手には相手の都合がある、ということを意識するようになりました。
今は「自分は伝えるところまでやる。あとは相手のタイミングで動いてもらう」というスタンスです。そのほうが、気持ちも楽ですし、以前よりイライラすることも減りました。
―「今、自分は余裕がなくなっている」と気づけるだけでも違うのでしょうか。
まったく違います。前は、しんどくても立ち止まれませんでした。
当時は、営業の達成感というより、「未達成になりたくない」という気持ちのほうが強かった気がします。
今は、「なんか疲れてるかも」って気づけるだけでも違います。
―現在、「相談すること」についてはどう考えていますか。
相談は大事だとは思うのですが、正直、本当に自分の気力がなくなった時って、それすら出せないんですよね。
だから、いわゆる業務上のホウ・レン・ソウの「相談」とは違って、会社だけではなく、友人や家族といった「つらい時に、つらいと言える相手や場所」があるかどうか。それ自体が、私にとっての相談という意味なのかなと思っています。
不安との付き合い方、コントロールの境界線
―第1回で「不安だと思っていたものが、あとから振り返ると単なる緊張だったこともある」というお話がありました。Kさんの中で、「不安」と「緊張」はどう切り分けているのでしょうか。
以前は、まだ起きていないことを悪く想像しては不安になっていました。でも今は、それは現実ではなく、自分の頭の中で問題を大きくしていただけなんだと感じています。未来のことは誰にもわかりません。わからないことを考え続けても仕方がないので、意識して考えすぎないようにしています。
一方で、面接や試験などで感じるものは「緊張」です。これは頭の中の想像ではなく、今この瞬間に起きている出来事への反応です。以前はそうした感覚も含めて不安だと思っていましたが、今は別のものとして切り分けて考えるようになりました。
―「自分で変えられること/変えられないこと」の境界線は意識していますか。
意識しています。何かが起きた時は、まず自分で変えられることなのか、変えられないことなのかを考えるようにしています。
自分でコントロールできないものは、深く考えません。どうにもできない間は、いったん置いておく感じです。逆に、自分で動けることなら早めに判断して対応するようにしています。
余計な先読みをせず、その時にできることへ意識を向ける。今は、そういう状態を保つことを大切にしています。
普通に働くということ
―Kさん自身、不安の渦中にいた時は、どんなお気持ちだったんですか。
私自身の経験でもそうなんですけど、不安を抱え続けている時って、目の前の事実が見えなくなっている時でもあるんです。実際、当時の私は、外に出たら「今なんで外に出たんだろう...」って分からなくなるくらい、完全に思考停止していましたから。
もし、今の環境がそれくらい苦しいなら、一回そこから離れるのもアリだと思います。ただ、つらいときは逃げろって最近よく言われますけど、現実はめちゃくちゃ難しいしハードルが高いです。だから、からだを壊してしまう。
―Kさんにとって、「普通に働く」とはどういうことですか。
私の場合は、「普通に働くこと」が難しくなった感覚がありました。これは精神でも身体でも、似た部分があると思います。
ただ、生活のリズムが元に戻る人もいれば、戻らない人、戻せない人もいる。
大事だと思うのは、自分のやり方だけを通すのではなく、周囲とどう折り合いをつけていくかだと感じています。
会社に相談できる人は相談すればいいし、それが難しい人は、最近ならAI相手にチャットで話してみるだけでもいい。
そうやって自分なりのリズムを探しながら、今日会社に行って、仕事をして、明日また会社に行く。
その先にあるものが、私にとっての「普通に働く」ということです。
第3回では、休職時や転職活動時の気持ちの在り方について伺います。
(若手向け)メンタルタフネスワークショップ~トリセツを用いて自分らしい不安との向き合い方を学ぶ
VUCA時代をタフに乗りこなすためのレジリエンスを高めるワークショップです。まず、「トリセツ」を用いて自分の考えや得意・不得意を言語化し、自己理解を深めることから始めます。そのうえで、レジリエンスの特性を知り、心理学に基づくABCモデル分析やマインドフルネスを実践して、気持ちの切り替え方を身につけます。感情の波にのまれることなく、長く活躍できるメンタル基盤を確立するプログラムです。
セットでおすすめの研修・サービス
(新入社員・新社会人向け)ホウ・レン・ソウ体感ワークショップ
本研修は、インプロ(即興演劇)の手法を活用し、報連相の重要性と効果を実感しながら学ぶプログラムです。単なる知識習得にとどまらず、ロールプレイを交えて、組織の意思決定や業務遂行にどのような影響を与えるのかを体感的に理解します。
また、3つの違いや役割の整理に加え、適切なタイミングや伝える情報の組み立て方を実践的に習得します。さらに、参加者同士でのフィードバックを通じて、新入社員の関係構築にも取り組みます。
(半日研修)メンタルヘルス研修~メンタル不調者が出た場合の対応法
メンタル不調は、各々の症状の表れ方や軽度・重度のレベルなどによって分類の仕方が様々になっているため、専門家でさえも診断が難しい場合があります。管理職は普段からのケアはもちろんのこと、どのようなメンタル不調があるのか、どのようにメンタル不調者の復帰をサポートすればよいのかについて、理解をしておく必要があります。
インソースでは、医療行為ではなくメンタルヘルスの観点から、うつ病・適応障害・発達障害といったメンタル不調に関する知識を学びます。さらに、職場復帰の際の支援方法について、復帰支援の流れや試し出勤制度、面談を行う際のポイントを理解します。
テレワークにおけるメンタルヘルス研修~ラインケア
テレワークでは部下の様子が見えにくくなることでメンタルケアに課題を感じる方も多くなっています。インソースではラインケアとして日頃から気をつけたい点や、部下のメンタルケアに役立つオンラインでのコミュニケーションポイントを学びます。さらに、テレワークで起こりやすいハラスメントや労務管理上の注意点を知ることで、今後のテレワーク時のラインケアの不安を解消できます。
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