新人研修(新入社員研修)をご検討されている組織からは、
- これまで体系的に実施していなかったため、今年からは本格的に企画したい
- 前任から担当を引き継いだため、これを機に研修プログラムを刷新したい
といったお話をよくうかがいます。
本記事では、新人研修の目的を改めて認識したうえで、近年の新人の傾向と、それに合わせた効果的な研修設計の仕方についてご紹介します。
インソースでは年間名(※)に対し新人研修を実施しており、数多くの組織を支援してまいりました。現場で早期に活躍できる新人に育て上げるポイントをご紹介します。
2024年10月~2025年9月
新人研修の目的は、「早期戦力化」と「離職防止」の2つ
組織が新人研修を実施する目的は、大きく分けて2つあります。ずばり、「戦力化」と「離職防止」です。
新人研修ときいてすぐに思い浮かべられるマナーや名刺交換など、多くのスキルはビジネスパーソンとしての戦力化を目的としたものです。一方、昨今ではそれらとは別に「職場に居場所を作って欲しい」「組織や業務を好きになって欲しい」というニーズで行われる研修もあり、これらは離職防止に該当します。
(1)「早期戦力化」のための基礎固め
新人を早期に戦力化することは、組織全体の生産性や業績の向上につながります。そのためには、ビジネスマナーやコミュニケーション能力など、社会人として求められる基本的な姿勢や習慣を身につける必要があります。また、業務に必要な専門知識や技術、組織独自のルールや慣習を習得することも、業務遂行能力の基礎を築きます。
新人が身につけるべき3つのこと
- 1.社会人としての基本姿勢・基本動作
- 2.円滑な仕事の進め方
- 3.自組織への深い理解
(2)「離職防止」を防ぐためのリテンション施策
新人は、新しい環境に期待と不安の両方を抱いています。新人に長く組織で活躍してもらうためには、モチベーションを維持・向上させ、安心して業務に取り組めるようなサポートが求められます。さらに、理念浸透などの施策を通して帰属意識を高めることで、人材の定着をはかることが大切です。
新人にすべき3つのこと
- 1.一体感のある組織をつくるための理念浸透
- 2.コミュニケーション力の向上をはかる
- 3.人生を豊かにするためのキャリアを描かせる
研修内容設計のポイント~不変の「基本研修」と変化する「新人傾向」を織り交ぜる
新人研修を効果的に設計するには、組織として不変の基本研修と、時代や世代によって変化する新人の傾向をバランスよく組み合わせることが重要です。前例通りの研修だけでは早期戦力化や離職防止の効果は十分に得られません。一方で、新人の特性や学習スタイル、価値観の変化に対応しすぎると、組織として伝えたい基本内容がブレるリスクがあります。
知識の習得に留まらず、新人が自信を持って業務に臨み、早期戦力化される仕組みを作ることが肝要です。
「戦力化」のために重視すべき3つの基本研修内容~基本姿勢・仕事術・組織理解
新人を早期に戦力化するためには、組織に所属する一員としての基本的スキルを習得する必要があります。
(1)基本姿勢:マインド・コンプライアンス・マナー
①社会人としてのマインドセット
業務に関する専門知識を身につける前に、社会人としてのマインドを固めておくことが、今後活躍できる社会人の土台となります。
仕事には前後工程があり、さまざまな人とのかかわりを通して、組織として高い成果を生み出すことが求められます。それが社会全体へ貢献することにつながっているという認識を持つことが、学生から社会人への意識改革になります。初めて社会へ一歩を踏み出したタイミングだからこそ、社会人としての意識の醸成が非常に重要です。

②モラルとコンプライアンス
職場ではもちろんのこと、通勤中や休日も、組織の一員として恥ずかしくないふるまい、行動をする「人としてあるべき姿勢」を保つことが不可欠です。社会人歴の長い方にとっては当たり前のことが、新人にとっては当たり前でないことが往々にしてあります。新人がコンプライアンス違反を起こさないよう、組織内の情報の管理方法や、SNSを使用する際の注意点などについて、あらかじめ指導しておく必要があります。
③信頼されるためのビジネスマナー
身だしなみや言葉遣いといった基本動作をはじめ、社会人になって困りごとが発生しがちな電話応対、来客応対、名刺交換など、新人が身につけるべきビジネスマナーは多岐にわたります。これらは実際に体を動かして練習を繰り返すことで動作が身につき、新人の不安を軽減します。

(2)円滑な仕事の進め方
新人が仕事をうまく進めることができるようになれば、即戦力として高い成果を上げられるだけでなく、自信につながり、モチベーションを高めるきっかけにもなります。
①仕事の基本「ホウ・レン・ソウ」
仕事の仕方において、新人が最初に身につけるべきことは報告・連絡・相談です。指示を受けた後にどのようにどのようなタイミングで上司・先輩に報告するのか、どのような場面で相談が必要になるのかについて、仕事の流れを分解し、時系列に沿って説明することで理解を促します。メモをとることの重要性や、計画を立ててから着手することの必要性についても、おさえておくべきポイントです。
②成果を高めるために欠かせないコミュニケーション
組織内外の人との円滑なコミュニケーションが、仕事を進めるうえで重要であることは言うまでもありません。自分と他者との考え方や捉え方は異なるものだという認識を持ち、どのように働きかければうまく伝わるかを考えることが大切です。言葉選びや言葉遣いだけでなく、表情などの身振り手振りも意思疎通には欠かせません。
(3)自組織への深い理解
ビジネスマナーなどのスキルだけでなく、自組織の仕組みやルールについても、現場に配属する前に伝えなければなりません。商材知識などの専門知識はもちろんのこと、業界のルールや就業規則など、日頃の業務に必要な情報を提供します。新人も知っておくべき職場のルールは、すべて言語化して伝えておくべきです。
「離職防止」のために重視すべき3つの基本研修内容~理念浸透・関係構築・キャリア支援
新人の離職を防ぐためには、従業員エンゲージメントの向上が鍵となります。
(1)理念浸透:理念を語り、共感を得る
組織の理念を新人にも共有することで、目指すべき方向性が示されます。新人が組織に対して貢献したいと思い、意欲的に業務に取り組めるような風土づくりが、組織への帰属意識を高めます。また、理念に共感することで、自身の担当業務の範囲だけではなく、チーム全体の仕事や課題にも当事者意識をもってかかわろうとするマインドが育まれ、自律的な新人の育成にも寄与します。
(2)関係構築:リアクション力を高める
離職を防ぐためには、良好な人間関係が築かれる組織風土をつくることが欠かせませんが、それは新人側のスキルにも大きく依存します。既存のメンバーと新人との両方がコミュニケーションスキルを高める必要があるのです。
中でも、新人に特に身につけてほしいのは、リアクション力です。あいづちを打ちながら相手の話をしっかりと受け止める、質問をするなどの良いリアクションをする新人には、教えたくなる先輩が増えるものです。その結果、新人が得られる情報が増え、多くの情報を得られると成長が早くなるという好循環が生まれます。
(3)キャリア支援:偶然を活かす主体的なキャリア形成~プランド・ハプンスタンス・セオリー
キャリア教育によって、自組織で長く働くイメージを持たせることも有効です。ただし、昨今では転職することが珍しくなくなり、新人に転職を考えさせないことは不可能といっても過言ではありません。現在の組織で働き続けるメリットを伝えるのはもちろんのこと、今この組織にいるという偶然をいかに前向きにとらえ、生かしていくかという意識(プランド・ハプンスタンス・セオリー)を醸成することが求められます。
また、ワーク・ライフ・マネーバランスをはじめとしたキャリアビジョンを明確にするだけでなく、新人が持つ夢や目標の実現を支援する仕組みをつくり、主体的なキャリア形成を促すことも重要です。
最近の新人の傾向・特徴に対応した研修内容~早期成功体験・個をみる育成・ゴールの明示
近年の多くの新人には、指示通りに実行することができるなど、素直で真面目な態度の人が多いという傾向が見られます。「同期はライバルではなく、仲間でありお互い認め合うもの」という傾向も定着しており、多様性を認め合う価値観を持っています。一方で、失敗を恐れ、目立つことを嫌う傾向があり、知らないことや教わっていないことにチャレンジすることへの苦手意識を強く持っています。そのために、すぐに正解を求めてしまうことも多いようです。
近年はこのような特徴が多く見られますが、新人を取り巻く社会環境の変化によって、傾向は変わっていくものです。その年の新人にはどのような傾向・特徴があるのか、毎年注意を払う必要があります。
(1)早期成功体験:DX教育・実践プロジェクト
新人が早期に活躍できる機会を設けることで、自信につながりやすくなり、モチベーションを高めます。特に、デジタル分野はスキルが身についたことを自覚しやすい分野であるため、いち早くデジタル教育を施すことをおすすめします。ExcelやPowerPointのみならず、AIやプログラミングなど、習得に時間を要する分野についても学ぶことで、組織を牽引するDX人材となり得ます。新人・若手同士でチームを組み、デジタル分野を活用した業務改善プロジェクトを推進することなども効果的です。
また、最近の新人は正解を求める傾向があるという点においても、デジタル教育は新人研修に適しているといえます。「戦力化」と「離職防止」のどちらにも高い効果が期待できます。
(2)個をみる育成:アセスメントによる特性・スキルの可視化
新人の特性やスキルを数値化・見える化することで、より効果的な新人教育を行うことができます。
①新人の「特性」を把握する
新人がどのようなキャリア志向を持っているのか、どのようなことに苦手意識を持っているかなどを把握することで、より新人に合った教育を設計することができます。また、新人の特性に応じて研修のテーマを決めるだけでなく、配属先の決定やOJT担当者の選定にも効果的です。
②新人の「スキル」を把握する
新人がすでに身につけているスキルや、得意・苦手なことを把握します。インソースでは、新人に求められるスキルを以下のように8つのスキルとして定義しています。8つのスキルのうち、特に新人が苦手意識を感じているスキルに関してフォローを行うことで、不安を解消することができます。
新人に求められる8大スキル
- 1.ビジネスマインド
- 2.ビジネスマナー
- 3.仕事の進め方
- 4.文書スキル
- 5.対人スキル
- 6.伝えるスキル
- 7.考えるスキル
- 8.PCスキル
(3)ゴールの明示:研修後のあるべき姿を明確化
研修を終えたときに、新人にどうなってほしいのかというゴールを明確にします。「情報の過不足なく、上司へ業務報告ができるようになってほしい」「議事録や報告書などの組織内向けの文書が書けるようになってほしい」など具体的に落とし込み、新人研修を設計します。
また、新人自身がゴールを常に意識するように設計することで、研修効果は格段に高まります。例えば「この研修が終わった後、配属先の上司にプレゼンしてもらいます」「研修レポートは人事が必ず目を通します」と冒頭に一言伝えるだけで、研修内容を「自分ごと」としてとらえやすくなります。
研修効果を最大化する5つの仕掛け
(1)研修後、すぐに使える成果物を新人に残す
新人が、研修を受けた後にOJT担当者や上司に報告のできる「成果物」を用意しておくと、現場との連携が取りやすくなります。研修中に考えたことの記録、配属後に職場で実践したいことや目標など、新人が何を学び、それをどう生かしていきたいのかを明文化できる仕掛けを用意しておくことがおすすめです。成果物として残すことで、新人自身にも学びを生かそうとする意欲が生まれます。
さらに、新人が現場で学んだことを見返すことができるよう、内容の充実した教材を使って新人研修を行うことが望ましいです。いくら効果的な研修を設計したとしても、研修中にすべてが身につくわけではありません。日頃の業務を進める中で、研修で学んだことを振り返り、実践していくうちにできることが増えていくものです。また、新人の行動指針が具体的に示された教材であれば、上司・先輩が現場での指導の指標にすることも可能です。
(2)OJT担当者との情報共有
前述の成果物のように、実施した研修の内容や新人の状況について、OJT担当者と共有することが大切です。それらをOJT計画に反映させることで、一貫性のある育成が可能になります。OJT担当者との連携を強化することが、新人の戦力化を促進させるのです。
また、人事担当者が定期的にOJT担当者と情報交換を行い、新人の成長をサポートする体制づくりが望まれます。
(3)離職防止につながるメンター制度の導入~メンターのスキルアップと、人事による介入
OJT担当者とは別に、新人が抱える悩みや不安を気軽に相談できるメンターを選定することも、離職防止に効果的です。メンターには、新人の話に耳を傾け、本音を引き出すための質問をするといった面談スキルと、キャリアに関する悩みに答えるための、キャリア開発支援の基礎知識が求められます。
また、メンターを集めて定期的に情報交換会をするなど、人事担当者が適切に介入することが、メンター制度を形骸化させないポイントです。
(4)新人だけで終わらせない!2・3年目以降を見据えた育成計画
新人研修のみを実施するだけでなく、その後のフォローを継続することで、さらに成長を促すことができます。
①半年~1年後のフォローアップ
社会人になって半年ほど経つと、新人も仕事や職場の雰囲気にも慣れてきます。一方で、仕事の進め方などに悩む時期でもあります。新人には、一度立ち止まって、自分が目標通り成長できているのか、何ができるようになったのかを振り返り、「これから」を考える機会を与えることで、モチベーションを高めることができます。
また、同期同士で集まる機会をつくり、お互いの悩みを共有する場を設けることも有効です。
②2年目以降の教育も抜かりなく行う
新人研修には力を入れるものの、2年目以降の教育が手薄になる組織も少なくありません。社会人2年目といっても、仕事の進め方に悩み、初めて後輩ができることに不安を覚えるなど、心が不安定な時期でもあります。また、社会人3年目になると、業務の中核者としての役割が期待されるようになり、2年目とは異なる困りごとが出てきます。
2年目以降も定期的に教育機会をつくることで、離職防止や意欲向上につながります。その際、現場でどのような悩みを抱えているのかをヒアリングし、課題に即した内容の教育を実施するようにします。若手のうちに定期的なOff-JTの場でトレーニングを重ね、実践力を高めることが、長く活躍するビジネスパーソンを育てるポイントです。

(5)毎年の研修内容のブラッシュアップ
世の中が日々変化していくのと同様に、新人の傾向や、施すべき教育も毎年変化しています。前年行った新人研修を踏襲するのではなく、その年の新人の状況にあわせて毎年アップデートすることが重要です。
大切なことは、机上の空論ではなく自組織の新人の声に耳を傾け、実態を把握することです。世の中の平均と自組織の状況は必ず異なるものです。アセスメントを実施するだけでなく、新人に直接ヒアリングする、フォローアップ研修での言動を観察する、メンター制度や1対1面談の機会を利用するなど、新人の生の声を吸い上げることが必要です。これらを実現するためには、「現場の管理職を巻き込むこと」が不可欠です。
Q&A~新人研修に関するよくある質問8選
Q1.新人が配属後に困りやすいポイントは何ですか?若手の少ない組織で、久しぶりに新人を採用したために新人とのジェネレーションギャップが大きく、新人の困りごとがよくわかりません
A1.ずばり、「人間関係」と「タイムマネジメント」の2つです
人間関係を良好に保つためには、風通しのよい職場づくりが欠かせません。1対1面談やメンター制度を組み込み、新人が気軽に相談できる場を設けるなど、心理的安全性を高める仕組みづくりが必要です。組織の誰もが発言しやすいような相互尊重(アサーティブ)のコミュニケーションを意識することも大切です。
また、上司側が新人世代への理解を深めて歩み寄り、世代間ギャップを縮めることも効果的です。
仕事の進め方においては、タイムマネジメントに悩む新人が大多数です。特に配属から半年ほど経つと、担当業務が増え、仕事を上手く回せなくなったというお悩みを多くうかがいます。
仕事に慣れてきたタイミングだからこそ、現在の進め方に問題がないかどうか、一度立ち止まって考える機会を与えることが大切です。上司やOJT担当者をはじめ、周囲の先輩が積極的に介入して新人の抱える悩みを解決に導いたり、フォロー研修を実施して自身の課題を見つめ直す時間をつくったりするなど、丁寧にサポートすることが必要です。
Q2.危険を伴う作業が多い業務のため、やむを得ず指導がきつくなってしまう場面があります。新人がめげないようになるためには、どのような教育が効果的ですか?
A2.新人にはストレス耐性を高めてもらうとともに、上司やOJT担当者側の指導力を高める必要があります
ハラスメントに気をつける、感情的に怒らないようにするといっても、これまでの習慣をすぐに変えることは難しいというケースは多々あります。もちろん、長期的には仕組みや風土の改善によって、高いストレスのかかる指導を減らしていくことが重要ですが、まずはすぐに取り組めることから始めましょう。
新人がレジリエンス(精神的回復力)を高めると、気持ちを切り替え、失敗や挫折を乗り切るメンタルが身につきます。ストレスの対処法を習得し、ストレスと上手く付き合っていくことで、ストレス耐性を高めることができます。
また、上司・OJT担当者側の伝え方を工夫することも重要です。伝えるべきことは伝えなければなりませんが、感情に身を任せて発言していないか、他に適切な言い方がないか、いま一度指導の仕方を振り返りましょう。
Q3.配属後、新人がPCを全くといっていいほど使えないことが発覚し、任せられる仕事が少なく困っています。まずは何から教えるべきですか?
A3.ExcelとPowerPointを学んでもらいましょう
あらゆる業務で使用することの多いExcelとPowerPointの基本操作を習得することは、新人の即戦力化のために重要です。使い方を現場で教えることは負担も大きいため、操作が苦手な新人だけオープンセミナーを受講させるなどがおすすめです。
ExcelとPowerPointを業務であまり使用しない場合には、ショートカットキーなど作業効率を高めるためのテクニックや、ビジネスパーソンに求められるITの基礎知識を習得することが大切です。
Q4.若年層の離職が多いのですが、何をすべきでしょうか?
A4.大前提として、採用基準や募集要項、説明会資料が適切かどうかを見直しましょう。これらが適切であれば、自組織での離職が多い原因を考えます
離職の原因は、大きく分けて衛生要因と動機づけ要因の2つに分けられます。衛生要因とは、給与や組織の方針、対人関係など、不満を引き起こす要因のことです。動機づけ要因は、達成感や承認、やりがいや昇進など、仕事の満足につながる要因のことを指します。まずは自組織の衛生要因、動機づけ要因が満たされているかどうかを確認する必要があります。そのうえで、必要な施策を検討しましょう。
衛生要因が満たされていない場合には、ハラスメントが起きない組織づくりといったコンプライアンス違反の予防や、人間関係を良好なものにし、職場環境を改善することなどが必要です。動機づけ要因が満たされていない場合には、業務配分の見直しや部下指導力の向上をはかるほか、人事評価制度そのものの見直しが必要なこともあります。
衛生要因と動機づけ要因の両方が満たされる状態を実現できれば、新人・若手の離職を防ぐことにつながります。
Q5. 新人研修の最適な期間はどれくらいですか?
A5.組織の規模や業種、職種、育成方針によって異なりますが、1週間から3カ月程度が目安です
短期間で集中的に研修を行う場合は、ビジネスマナーや企業理念などの基礎的な内容が中心となります。長期間の場合は、専門知識の習得や現場でのOJTを組み合わせることが多いです。自組織の状況や新人に求めるレベルに合わせて、適切な期間を設定することが重要です。また、新人研修の受講後、業務に慣れてきた半年後や、2・3年目になる直前など、節目節目でフォローアップ研修を行うことが有効です。
Q6.新人研修の費用相場は一人あたりいくらですか?
A6.外部研修を利用する場合は、一人あたり数万円から数十万円程度が一般的です
費用相場についても、研修内容や期間などによって大きく変動しますが、内部研修か、外部の研修会社を利用するかによっても異なります。
内部研修の場合は、講師の人件費や教材費、会場費などが主な費用となります。オンライン研修を活用したり、複数の企業と合同で研修を実施したりすることで、費用を抑えるという手段もあります。
Q7.オンラインのみの新人研修でも、十分な効果は期待できますか?
A7.工夫次第で効果は高められますが、内容によっては集合型(対面)での実施をおすすめします
オンラインの場合、知識習得型の講義や情報共有には非常に有効です。ただし、実践的なスキル習得やコミュニケーションの活性化、チームビルディングといった点では、対面研修に比べて工夫が必要です。ブレイクアウトルームを活用したグループワークや、オンライン懇親会などを取り入れ、双方向のコミュニケーションを促すことが重要です。
また、理念浸透、キャリア、モチベーション向上といったマインドに関する研修・教育については、対面研修を強く推奨します。その場にいるファシリテーターや同期の熱量によって研修全体が盛り上がり、マインドチェンジのきっかけになるといった流れは、やはりオンラインに比べ対面研修のほうがはるかに高い効果が期待できます。
Q8.新人研修に多くの予算を確保できないのですが、効果的なプログラムを実施することはできますか?
A8.可能です。大切なのは、自組織の規模やリソースに合わせて、無理のない範囲で計画することです
例えば、高額な外部研修に頼らなくても、組織内の先輩が講師となり、OJTを中心に実践的なスキルを教えることができます。また、無料または低コストで利用できるオンライン学習教材を活用するなどの方法もあります。
最も重要なことは、新人を育成しようという熱意と、計画的な準備です。
まとめ:新人の育成が組織力を高める
新人研修は、新人が社会人として、そして組織の一員としてスムーズにスタートを切るための重要なステップです。効果的な新人研修を企画・実施することで、早期戦力化、組織文化の浸透、そして離職率の低下につながります。自組織に最適な新人研修プログラムを計画し、新人の成長を力強くサポートすることが大切です。







