インソース DX支援部

生成AIネイティブほど成果が出ない?新入社員が成果を出すための生成AIの使い方とは

2026年卒の新入社員の多くは、大学在学中(2023〜2024年)から生成AIが身近にあり、日常的に触れてきた「生成AIネイティブ」世代と言えます。

  • スマホの生成AIアプリで、日常的に相談
  • レポート作成、発表準備、就活対策にも活用
  • 「まず生成AIに聞く」という検索習慣の定着

こうした背景から、「生成AIの使い方を一から教える」段階は過ぎつつあり、むしろ「使い方は知っているが、ビジネスの成果に繋がらない」という新しい課題が現場で見え始めています。企業側はこの変化を理解し、生成AIを単なる効率化ツールとしてではなく、ビジネスの成果を生み出す手段として再定義する教育が求められています。

現場で広がる生成AIスキルの格差

現在、多くの現場で生成AIを使いこなして成果を出す新入社員と、活用しきれない新入社員の間で差が生まれています。この違いの多くは、ツールの操作知識ではなく、目的意識を持った指示(プロンプト)の出し方にあります。

例えば、社内会議のメモを報告資料にまとめる場面を考えてみましょう(※社内データを入力する際は、学習利用されないセキュアな環境を使用することが前提です)。

Aさんは「この会議メモを要約して」とだけ指示しました。その結果、要約文は出力されたものの、重要な決定事項が曖昧で、上司への報告には不十分な内容でした。

一方、Bさんは「上司への報告書として、決定事項・課題・対応策の3つの要点を箇条書きでまとめて」と具体的に指示しました。その結果、要点が整理され、そのまま報告のたたき台として活用できる内容が得られました。

ケース プロンプト例 結果
Aさん この会議メモを要約して 要点が曖昧で、上司への報告には不十分
Bさん 上司への報告書として、決定事項・課題・対応策の3つの要点を箇条書きでまとめて 情報が整理され、報告のたたき台として活用可能

この違いの背景には、学生時代とビジネス現場での「生成AI活用の目的」の違いがあります。

学生と社会人の生成AI活用の違い~手段から思考のパートナーにする

学生時代の生成AI活用は、「自分の代わりに文章を作ってくれる便利な道具」として、スピード優先・アウトプット重視になりがちです。例えば、レポートの提出期限の直前に「このテーマで800字のレポートを書いて」と指示し、出てきた文章にほとんど手を加えずにそのまま提出してしまう。あるいは、ゼミ発表のスライド内容を「この論文を3つのポイントにまとめて」「発表用の原稿を作って」と丸ごと任せ、内容の意味を深く理解しないまま発表に臨むといった使い方です。

しかし、ビジネスには「唯一の正解」がないことがほとんどです。生成AIが一度出した答えが、そのまま成果になることは稀です。お客様の状況、感情、目的に合わせて内容を調整し、深めていく思考プロセスが必須になります。そのため社会人は、思考を深めるパートナーとして生成AIを活用します。「提案書をより分かりやすくするには?」「説明案を3パターン出して」と問いかけながら、生成AIとともに内容を練り上げていきます。

このように、学生と社会人では生成AIとの向き合い方が根本的に異なります。手段として使うか、思考を深めるパートナーとして活かすか。その違いが、成果の差を生み出す要因なっています。

新入社員が身につけるべき2つの力

新入社員が成果を出すためには、生成AIを単に使えるだけでは十分ではありません。生成AIの特性を理解し、それを実務の中で活かす力を身につけることが大切です。

生成AIの仕組みと限界を理解する力

生成AIは大量のデータをもとに、最も適切と判断される言葉を予測して文章を作ります。そのため、情報の正確性が保証されているわけではなく、誤った情報(ハルシネーション)が混ざることもあります。出力をそのまま使うのではなく、自分の目で確かめ、必要に応じて修正する姿勢が求められます。

具体例

  • 会議メモや数字の整理を生成AIに任せた後に、内容に誤りがないか確認し、必要に応じて修正する
  • 生成AIが作成したメール文案をそのまま送らず、文体や表現が相手や社風に合っているか確認してから送信する

日常業務で実践的に使う力

生成AIはメール文案作成や議事録、報告書の整理など、日常のさまざまな業務で活用できます。しかし、実務で効果を発揮させるには、ただ操作方法を覚えるだけでは不十分です。どの業務を生成AIに任せ、どこから自分が考えるべきかを見極める使い分けの判断力や、生成AIと対話しながら思考を深める姿勢を身につける教育が欠かせません。

ここでいう判断力とは、業務の目的や求められる精度、扱う情報の機密性、読み手との関係性などを踏まえながら、「情報収集やたたき台づくりは生成AI」「最終判断や表現のニュアンス調整は自分」といったように役割を切り分ける力です。

生成AIに任せてよい範囲と任せてはいけない範囲を意識して線引きできるかどうかが、実務での生成AI活用の成否を左右します。

具体例

  • メール返信の下書きを生成AIに作成させ、自分の言葉で整える
  • 提案書の説明案を3パターン生成して比較し、最適な表現を選ぶ

こうした教育を受けることで、新入社員は生成AIを単なる手段としてではなく、思考を深めるパートナーとして扱えるようになります。その結果、作業効率が高まるだけでなく、アウトプットの質そのものが向上し、より価値の高い仕事に集中できる環境が生まれます。

安心して生成AIを使うために~ルールと教育の必要性

新入社員が安心して生成AIを活用するためには、組織として共通の理解とルールを整えることが重要です。

具体例

  • 生成AIの利用範囲を明確にしたマニュアルを作成・配布する
  • 個人情報の漏えいやハルシネーションなど、リスクを正しく理解するための教育・研修を実施する

多くの新入社員は、「どこまで使っていいか分からない」「情報漏えいが心配で使いづらい」といった不安を抱えがちです。こうした不安も、利用ルールの明確化と適切な教育によって解消され、生成AIを安心して活用できるようになります。

まとめ:3つの視点で、新入社員の生成AI活用を成果に変える

生成AIを使える新入社員の育成ポイントは、「武器」「パートナー」「実践」の3つです。

現場で成果を上げるために、重要なのは生成AIとの向き合い方です。特に、新入社員が身につけるべき3つの観点が重要になります

  • 生成AIは単なる便利ツールではなく、成果を出すための武器
  • 学生の使い方とは異なり、考えるパートナーとして活用すること
  • 日常業務で試しながら、自分の力で成果を出せるスキルを身につける

いまこそ、新入社員が生成AIを安心して活用できるように、成果につなげられる環境づくりを組織全体で進めるときです。

(新入社員・新社会人向け)DX入門研修~実践を通してデジタルへの向き合い方を身につける~

生成AIを活用する第一歩は、全社員が共通の理解と正しい向き合い方をすることです。現場では「どこまで使っていいか分からない」「情報漏えいが心配」という声が多く聞かれます。

本研修では、ChatGPTを実際に操作しながら、プロンプトの基本設計や出力の検証方法、情報の扱い方を実践的に学びます。要約にとどまらず、上司への報告書作成や資料づくり、アイデア発想など、明日から業務で活かせる具体的な活用パターンを身につけます。

生成AIを単なる手段ではなく、自分の思考を深めるパートナーとして使いこなす姿勢とスキルを身につけます。いまや生成AIを自在に使いこなすことは、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。自身の業務に即した正しい活用方法を学び、実務の成果へと確実につなげていきます。

本研修の目標

  1. 業務効率化の考えを獲得できる
  2. データを利用したビジネスモデルの強みを理解している
  3. DXとの向き合い方を理解している
  4. デジタルリテラシーが向上している

よくあるお悩み・ニーズ

  • 新入社員の情報感度を高めたい
  • 業務効率化の観点を持たせたい
  • データを利用したビジネスモデルの優位性に気づかせたい

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