「優しさの空回り」を解消する~女性の健康課題を「遠慮の壁」で終わらせない職場づくり

ここ数年で「健康経営」という言葉を以前よりもずっと身近に感じるようになりました。特に女性の健康課題については、単なる「配慮」の問題ではなく、チーム全員がベストな状態で働き続けるための前向きな投資だと考える企業が増えています。
しかし、実際の現場を覗いてみると、そこには「お互いの優しさゆえの空回り」があるように感じます。管理職の方は「デリケートな話題だし、下手に踏み込んで傷つけたくない」「男性上司としてセクハラと言われないか不安」と戸惑い、女性従業員の方は「体調を言い訳にして、戦力外だと思われたくない」「キャリアを諦めるようで怖い」と一人で無理を重ねてしまう。こうした「遠慮の壁」が、課題の一つなのかもしれません。
「年間3.4兆円」という数字が語る、対話の重要性
女性の健康課題は、決して個人の体質や自己管理だけの問題ではありません。経済産業省が2024年に発表したデータによると、月経随伴症状や更年期障害といった女性特有の健康課題による経済損失は、日本全体で年間約3.4兆円(※)にものぼると試算されています。
これほどの規模の損失が、日々「見えないところ」で発生しているのです。ここで大切なのは、「損失を減らそう」と焦ることではありません。不調を抱えながらも「本来の力を発揮したい」と願う一人ひとりの声に耳を傾け、安心して長く働き続けられる土壌を整えることです。その一歩が、結果として組織全体の創造性や活力を高める「健康経営」の本質ではないでしょうか。
※参考:経済産業省「令和5年度(令和6年2月)『女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について』」より(最終アクセス:2026/3/09)
心理的安全性を高める、職場での「ちょっとした」関わり方
更年期や生理の話を、職場で真正面から議論する必要はありません。大切なのは、体調に波があることを前提に、業務上の調整を「当たり前のこと」として行える関係性です。
管理職の寄り添い方①~「体調」そのものではなく「仕事の進め方」を軸にする
相手を気遣う「大丈夫?」という言葉も大切ですが、言われた側は「大丈夫です」としか答えにくいものです。漠然と体調を聞くのではなく、「今の業務量でパンクしそうなところはないか」「何かサポートがあれば教えてほしい」など、仕事のパフォーマンスを軸に問いかけてみてください。症状そのものに触れなくても、仕事を通じた「力になりたい」という思いはしっかりと伝わるはずです。
管理職の寄り添い方②~「いつでも頼っていい」という空気感を、あらかじめ言葉にしておく
いざ体調が優れないときに、自分から「助けてください」と言い出すのはとても勇気がいることです。だからこそ、日頃の面談などの場で「誰にでも体調の波や家庭の事情はあるものだから,調整が必要なときは遠慮なく教えてね」と、先回りで伝えておくことが大切です。「困ったときはお互い様」という共通認識があるだけで、部下の心理的なハードルはぐっと下がり、深刻な状況になる前に相談し合えるようになります。
周囲のメンバーにできるサポート~「お互い様」で動けるよう、チームの状況をオープンにする
特定のメンバーが配慮を受けていると、周囲が「自分たちだけ負担が増えるのでは」と不安になり、それが不満に繋がってしまうことがあります。これを防ぐには、誰がどの業務を抱えているかをチーム内で共有し、「困ったときは誰かがカバーできる体制」を標準にしておくことが大切です。状況が見えるようになれば、助け合いが「特別な配慮」ではなく「チームとしての当たり前」になり、結果として全員のワーク・ライフ・バランスが守られるようになります。
状況をスムーズに伝えるための「プロらしい」相談術
一方で、相談する側の女性従業員も「ただ辛さを分かってほしい」と伝えるだけでは、周囲はどう助けていいか迷ってしまいます。周囲と連携するための伝え方のコツをご紹介します。
ステップ1:業務への影響を「見える化」して共有する
「体調が悪い」とだけ伝えると、上司は「どこまで仕事を任せていいか」と判断に迷ってしまいます。そこで、報告を少しだけ「業務の状況共有」という視点に変え、「午後は少し体調に波が出る可能性があるため、今のうちに納品物を進めておきますね」といった共有であれば、上司も状況を正しく把握でき、安心してサポートに回ることができます。
ステップ2:具体的な「調整案」を自分から提案する
「休ませてください」と伝えるだけでは、どうしても心苦しさを感じてしまうものです。「今日はデスクワークに専念させてもらいたい」「会議をオンラインに切り替えられれば参加できる」といった、今の自分にできる形での貢献策を添えてみると、業務を止めないための前向きな提案は、周囲にとっても非常に心強い助けになります。
ステップ3:感謝を伝え、回復後の貢献で信頼を積み上げる
配慮を受けた際には、一言「助かりました」と感謝を伝えることで、周囲の「力になりたい」という気持ちが報われます。そして体調が良いときに、自分の力をしっかり発揮してチームに貢献する。このサイクルを繰り返していくことが、お互いを支え合える「本当の意味で強い信頼関係」を築くことにつながります。
大切なのは「個人の体調」を「組織の力」に変える視点
女性の健康課題への対応は、単なる一時的な配慮ではなく、組織全体の土壌を豊かにするための投資です。女性も男性も基本的な知識を学ぶことが、お互いを支えあう職場づくりの第一歩ではないでしょうか。
働く女性の健康問題~今とこれからの自分を大切にする
女性の社会進出が進む現代において、なぜ女性の健康支援が重要なのかを社会情勢から解説し、女性ホルモンの働きや月経困難症、PMS、更年期障害などの具体的な症状や影響について詳しく学びます。
女性特有の健康問題に関する基礎知識から職場での実際の困りごとまで幅広く理解するだけでなく、職場でのコミュニケーション方法、制度活用、医療機関への相談など、どう対応していくかを学べる内容となっています。女性は自身の健康管理への理解を深め、男性は女性部下や同僚への適切なサポート方法を身につけることができる動画です。
対象者
- 働く女性の健康支援に取り組みたい企業の人事・労務担当者の方
- 月経や更年期などの体調変化にお悩みの働く女性の方
- 女性部下や同僚をサポートしたい管理職・男性社員の方
よくあるお悩み・ニーズ
- 女性特有の健康問題について基本的な知識を身につけたい
- 職場で女性の健康課題にどう対応すればよいか分からず不安
- 月経や更年期の症状で仕事のパフォーマンスが下がることに悩んでいる
セットでおすすめの研修・サービス
【健康経営シリーズ】がまんしない更年期の対処法
「女性が我慢しないですむ社会」の実現に向けて、女性のヘルスケアに対する知見を啓発するトップランナーの一人として講演会、TVなどメディア出演が多数続いている産婦人科専門医・産業医:三輪綾子先生による 「更年期に起こりうる症状への対処法と向き合い方」を解説した動画です。
治療法・予防法についてもポイントを絞りながら、わかりやすく解説しています。自分自身が治療対象なのか簡単にわかる「自己評価表」や「男性の更年期障害チェック方法」についても紹介されている、視聴した皆さんの行動変容を促す内容となっています。
【健康経営シリーズ】妊活・不妊治療との向き合い方~私らしい選択を
産婦人科専門医・産業医:三輪綾子先生による 「妊活・不妊治療との向き合い方」を解説した動画です。
女性自身が家族の形、妊娠・出産、社会活躍についても「自分の意志で納得できる選択」ができるよう、三輪綾子先生ご自身の経験も交えながら解説をされています。
女性のためのスマートワーク研修~自分らしい働き方で職場に貢献する
これからの働き方やキャリアを多面的に考え、ワークライフバランスを実現しながらいきいきと働くための考え方を学ぶ、女性限定の研修です。研修では「これから30年シート」といった長期的視点でのアプローチや、「キャリア・アンカー」といった自分の価値観の整理を通して、キャリアについて考えていきます。女性の直面しやすい課題を理解し、その乗り越え方を持ち帰っていただく内容です。
Leaf wellness~健診結果管理システム×ヘルスケアコンテンツ
Leaf wellnessは健康診断の関連業務をスムーズに完了し、データを活かした適切な措置を行うためのサポートパックです。健診業務の効率アップにつながることはもちろん、従業員の心身の不調を改善するヘルスケアコンテンツがセットになっており、企業の健康施策をサポートできます。「健診結果の管理」「健康課題の分析」「労基集計・就業判定」だけでなく「健康施策サポート」まで支援いたします。




