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ENERGY vol.08(2022年夏号)掲載

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ハイブリッドワークにおけるマネジメントの秘訣 ~成功のヒントは小学校教育

ハイブリットワーク下での育成モデルは、小学校教育

コロナ禍によりリモートワークの必要性に迫られ、導入する企業が一気に増加しました。

リモートワークで働く中で、「家で行う方がよい仕事」「出社した方がやりやすい仕事」が見えてきた結果、出社とリモートワークのいいとこ取りをした働き方として、ハイブリッドワークにいきついた企業が多くあります。

ハイブリッドワークで問題となるのが、メンバーの育成です。ハイブリッドワークは「自律した働き手」でなければ、なかなか生産性を上げることができません。

しかし実際には、最初から自律している働き手は少数のため、ハイブリッドワークが機能するように、育成する必要があります。そこで役に立つのが、小学校教育をモデルにした、メンバーの育成です。

小学校教諭のようなきめ細かなマネジメントが必要

一見、小学校教育とハイブリッドワークにおけるマネジメントに接点はないように見えますが、両者には共通点があります。

それは、一人ひとりに目を配り続けるのが困難な環境の中で、対応しなければならない点です。小学校教諭は30、40人の生徒を一人で見なければなりません。またリーダーは、ハイブリッドワーク下の部下と物理的な距離が生まれる中で、きめ細かで丁寧なマネジメントをすることが求められます。

リーダーが実践すべき、小学校教諭の指導法

小学校教諭が大人数の生徒をまとめて指導できるのには、理由があります。それは、大人数の生徒に対して、指導を行う仕組みが整えられているからです。

①計画を立てる

小学校教諭は、指導要領に基づき、指導計画を作成します。これにより、計画的にどのクラスでも一定の質が担保された教育を行うことができます。ハイブリッドワーク下の部下を育成する際にも、育成計画を立てることで、育成の質を保つことができます。

②適切なタイミング・量の情報を与える

小学校では、情報が豊富な教科書と教諭が作成した教材を使用して、生徒に情報を与えます。

ビジネスにおける教科書・教材とは、マニュアルです。ハイブリットワーク下では、隣に座って口頭でナレッジを共有することが困難になるからこそ、情報のマニュアル化が不可欠です。情報を視覚化し、誰でも実践できる環境を作ります。

③メンバーの様子を観察する

小学校教諭は、生徒をしっかりと観察し、それを生徒の評価やメンタルケアに繋げています。

ハイブリッドワークでは、部下をリアルタイムで観察することができないため、観察する機会を作ることが大切です。例えば、朝礼や昼礼、1対1面談、日報などが挙げられます。

④態度・行動を指導する

生徒指導とは、生徒の人間的な成長促進と問題行動の予防のために実施されます。あいさつの指導や服装指導などが該当します。教諭は手本を見せ、生徒と信頼関係を築き、よく観察し、適切なタイミングで働きかけを行います。

ビジネスで指導すべき態度・行動とは、マナー・文書の書き方・仕事の進め方・ホウレンソウの仕方などです。ハイブリッドワーク下の部下は上司の手本を直接見ることができず、どのような行動をとればよいのかを学ぶ機会があまりありません。

しかし、遠隔であったとしても密にフィードバックをすることは可能です。メールやWEB会議ツールでコミュニケーションをとる際に、こまめに指導します。

⑤コミュニケーションがとりやすい仕組みを作る

小学校では集団登下校、部活動、運動会、修学旅行、係での活動を通じて、自然と同級生とコミュニケーションをとることができるようになります。

ハイブリッドワークでは、コミュニケーションの頻度が減るとの問題がよく聞かれますが、場を作ることが重要です。部下からコミュニケーションをとるとは考えずに、まずはコミュニケーションがとりやすい環境であるかを考えます。

⑥役割・ミッションを与える

小学校では、当番活動や係活動を通じて、学級への貢献感と責任感を養います。ハイブリッドワークでは、メンバー同士に物理的な距離が生まれ、帰属意識が低下しがちです。小学校と同じように、その組織の中でメンバーに担ってもらいたい役割や実行してほしいミッションを与えてみてはいかがでしょうか。

目指すところは、「自律した働き手」

ハイブリッドワーク下でも、メンバーがある程度、自分で仕事を回せるようになってきたら、さらに「自律した働き手」として成長できるように促していきます。上司が介入しすぎず、自律的に仕事をセルフマネジメントできるように仕向けていくこともまた、ハイブリッドワークを成功させるうえでは大切です。

文/安西 菜穂

株式会社インソース グループコンテンツ開発部上席チーフ。早稲田大学文化構想学部卒。2017年インソース入社。行動経済学に関連した研修をはじめこれまでに27研修の新作研修を開発。自身が開発した研修を中心に多数登壇。2022年から現職。

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