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ENERGY vol.08(2022年夏号)掲載

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壁を乗り越える 年齢ごとの「壁」と向き合うには

コロナ禍で多くのビジネスパーソンが感じた「不安」

コロナ禍は、多くの人に自分の仕事やキャリアについて考えるきっかけを与えました。今後はどうなるかわからない、果たしてこのままでよいのかという漠然とした不安が多くのビジネスパーソンの中に生まれました。キャリアを考えることの重要性が改めて認識された今、当社内ではキャリアや仕事を考えるうえでの悩み・不安を「壁」ととらえ、2022年3月にアンケートを取りました。(表参照)そこでの結果から見えてきたものは、キャリアと向き合う際の考え方のヒントとなるものです。

20代は「慣れ」とどのように向き合うか

20代後半での「壁」は仕事への憧れに起因するものが多くなります。仕事をし始めたばかりのときは目の前のことに必死で、先々のことを考える余裕がないという人も、社会人歴が3年~5年目となる20代後半で仕事の慣れとともに最初のモチベーションの低下を経験します。すでに自分はこの会社でできることはやりつくしたような気持ちになる、今の仕事に満足してしまうという瞬間です。自分が働き始めるときに思い描いていた仕事とは違う、新しい仕事を始めるなら今しかないと転職を考える人が増える年齢でもあります。

20代に訪れる「慣れ」と「周囲との比較」

20代は慣れを慣れのままではなく、自分なりの新たな目標設定ができるかが、その先の成長に寄与します。自分自身で仕事を作り出す力が重要で、ジョブクラフティング=仕事を自ら面白くする力が問われます。

周りと自分を比べて落ち込んだり、嫉妬してしまったりするのも20代に多い特徴です。同期よりも評価されていない、学生時代の友人のほうが活躍して収入もよい、などつい人と比べてしまいがちです。

30代以上の多くの人が乗り越える方法として「周りと比べなくなった」という点をあげていることからも、そのフェーズを早く抜け出すことが重要です。

周囲と比較するのは自分の価値観、自分の見えている世界だけに終始していることが原因となることが多く、視野を広げるための視点や、上司だけでなく多くの人からの意見を取り入れることが重要です。組織内ではメンター制度の活用だけでなく、この時期にキャリア研修などを取り入れることで、視点を変えることができます。

30歳以上で現実味を増すプライベートとの両立

キャリアを考えるうえで必ずといってよいほどあがる悩みはプライベートとの両立です。30歳を過ぎると出産や結婚などを現実的に考え始める年齢です。20代よりも悩みが具体的になる傾向にあります。多様な働き方が実現される現代のなかで、育児と両立して働くことは一般的になりつつあります。乗り越えるには時短勤務などいつ働き方がかわっても問題ないように備えておくことです。限られた時間を有効に使う術を知っておくことが重要になり、短時間で成果を上げるためのスキルを前もって身につけておく必要があります。

それぞれの年齢で向き合う役割・立場の変化

20代後半では教えられる立場から、自分が後輩へ教える立場にかわります。30代に入ると、リーダーの役割を任され、役職がつくことも増えます。40代は管理職としてマネジメントを担う方が増え、さらにスペシャリストとして仕事を続けるか、マネジメントの仕事をするかの岐路に立つ方もいます。役割の変化は自身のスキル不足から自信の喪失につながり、上手くいかないという不安が大きくなり、感じるストレスも増えていきます。

各年齢に万遍なく教育の機会を与える

各年齢に応じたスキルを学ぶ機会は重要で、リーダーや管理職などの役職を持つ場合の昇格時の研修だけでなく、教育としては見落としがちな、入社5年目くらいの若手や中堅社員など緩やかな立場の変化に対応しきれていない社員への教育も重要です。モチベーションの低下から離職につながりやすい層でもあり、モチベーション向上の施策の一環としてスキルアップやキャリアを考える機会を与えることも大切になります。

40代に向けて体力を充実させる

30代後半~40代になると、仕事で抱える「壁」として「体力」を挙げる人が多くなります。無理ができなくなる、思った通りに働けなくなるなど体力の衰えを具体的に感じ始めた時の働き方について、考える人が増えます。仕事での知識や経験も充実しているこの時期に自分の思い通りに働けるということはモチベーションの向上にもつながっていきます。

単純に体力づくりを頑張ろうという心がけだけではなかなか定着しません。まずは具体的に体に起こり得る変化を知識として知ること、そのうえで対策としての体力づくりを計画的に行うことが重要です。社員の健康づくりをサポートする組織も増えてきています。心がけで終わらず、いかに実行に移せるかという点が大切になっていきます。

文/矢野 由香里

株式会社インソース グループコンテンツ開発部 部長代理。九州大学文学部卒。情報誌の編集職、市場調査会社の企画職等を経験し、2015年入社。コンテンツ開発職としてこれまでに1000件以上の研修テキスト作成に携わる。お客さまの様々な要望に合わせたテキストや、新作コンテンツや新サービスの開発を多数行う。2021年10月より現職。

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