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ENERGY vol.03(2020年秋号)掲載

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業績回復のカギは営業DX
〜トップは情報に着目した総力戦で勝ち残りを目指せ

コロナ禍のピンチは営業変革のチャンス

企業の営業活動は一国の軍事活動を擬して語られることがしばしばあります。中世の騎士による一対一での戦闘から、二十世紀は国全体の力を結集して戦う総カ戦へと戦争の形態も変化してきました。企業の営業活動も営業職の個人戦から、企業全体で売上向上を狙う総力戦へと発想を変えてみてはいかがでしょうか。
雇用不安から、社員の求心力を高めやすい今こそ、トップ主導で営業を大胆に変革するチャンスです。まさに『好況よし、不況さらによし(松下幸之助氏)』とも言うべきでしょう。

情報活用が営業DX

近年話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、IT化で既存業務を省力化するだけでなく、社内外にある「情報」を徹底的に活用し、業績を上げる点に本質があります。例えば、社内のありふれた情報に過ぎない在庫量や販売量、詳細な製品仕様が、実は顧客にとっては、わかればすぐに購入を決断できる非常に貴重な情報です。また、営業担当者にとって顧客の詳細な要望や小さなクレームは発生させたくないものですが、商品開発者にとっては貴重な開発の手がかりとなります。
しかし、これらの「価値ある情報」はほとんどの場合、社外に開示されず、詳細な顧客情報は社内で共有されていません。これら「情報」の社内外での流通量をアップすることが、すなわち「営業DX」です。

営業DXは難しくない

「営業DX」を難しく考える必要はありません。情報を徹底的に活用するルールと仕組みを作れば、特別なシステムがなくともWEBやメール、社内LANなど、既存のツールで始めることができます。

トップ主導で情報の目詰まりを取り除く

組織の壁、オーバーコンプライアンス、DXに対する無知などにより、情報はいたるところで部外秘、社外秘として流通していません。情報が十分に展開されないのは、組織内でこのような情報の目詰まりが起きているからです。リスク管理や競争上流通させてはいけない情報と、外部開示や社内共有で活用すべき情報を直ちに仕分け直すべきです。これには経営判断が必要であるため、トップが直接関与しなければなりません。

顧客情報ダイレクトラインを構築する

スピード感を持って業績を上げるには、経営トップが、顧客ニーズに応える新商品開発や収益のあがる顧客への営業資源投入を、迅速に決断・実行する必要があります。「売上の減少は本当に外部環境のせいだろうか?」「顧客の声がストレートに伝わってこない」最近お会いする多くの経営トップがこうおっしゃいます。判断のために必要な顧客のリアルかつ詳細な情報が、最前線の営業担当者から経営トップに迅速かつ正確に伝わることは稀です。そのため、顧客情報がダイレクトに経営トップに伝わる仕組みを構築する必要があります。

全営業担当の声を社内LANで集める

例えば、100名の営業担当者が週報として、顧客の声を3行程度にまとめたとします。作成には1人あたりせいぜい10分程しかかかりません。その週報を読んでも300行なので、要する時間はわずかです。つまり社内LAN上に週報を集約するだけでも、現場に埋もれた情報を活用する事ができます。
実際に当社では、重要な営業情報は社内LAN(Remote-Plants※)に集約され、トップまで上がってくる仕組みができています。

営業情報を簡単に残せる管理・支援ツ ー ル Remote-Plants の詳細はこちら

WEBサイトやメールでのセールス拡充

インサイドセールスとは、営業人員を急に増強できない中、その対応策として、内部人材が顧客にWEBやメールを活用し、情報提供中心のセールスアプローチを実施するものです。例えば、研究開発や製造の担当者が在庫情報、顧客評価、詳細なFAQをWEBで提供するといったこともこれにあてはまります。
当社では、公開講座の受講者評価をWEBで詳細に開示した半年後には、一気に受講者数が50%増加しました。顧客評価を開示するのは勇気がいりましたが、結果は吉と出ました。また、営業担当が追い切れていない顧客に対し、内部担当者がメールで定期的に情報提供するのも有効です。
当然ながら、セールスに対する内部人材への意欲向上策や、WEBやメール作成のスキルトレーニングを実施すれば、一層スピーディに売上向上に結び付きます。

スピード感を持ってトップ自らが実現に動くぺき

最後に、営業DXはスピードが重要です。ライバル各社も必ず同様の動きをしています。
トップが自社の実情を観察、分析、決断し、先行して動く。これが営業活動を優位に進めるポイントです。今こそ、トップ主導で営業DX推進に動く時です。

文/舟橋 孝之

インソ ース代表取締役執行役員社長。神戸大学経営学部商学科卒。三和銀行(現:三菱UF」銀行)に入行。支店配属後、システム開発部門に異動し、管理会計システムや顧客分析システム、 テレマ ー ケティングシステムの開発を担当。その後、テレフォンバンキング、iモードバンキング、コンビニバンキング(ATMサービス)等を企画・開発。写真関係のベンチャ ー企業に転職後、2003年1月にインソースを起業し、現識。

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Vol.03 顧客を捉える

Vol.03は今求められる営業戦略がテーマです。コロナ禍により営業を取り巻く環境が大きく変化している中、今こそ営業を変革するチャンスです。データやITを活用した「営業DX」を実践するなど、営業戦略を転換することが業績回復のカギとなります。

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