ENERGY vol.03(2020年秋号)掲載
PICKUP
アフターコロナの4つの勝機
業績回復のために最前線に立ち、これまで以上の働き、成果を発揮することが我々営業の急務となっています。その中で多くの営業現場では、コロナ禍により従来の方法が通用しないという現実に直面しています。しかし、今まで取引できていなかった大企業などの新規顧客を獲得するという点では、今の状況を絶好の勝機と捉えることができます。
コストダウンから切り込む
絶好の勝機と言える第一の理由は、不況下において特に大企業では、生き残るためコスト構造を見直し、利益を上げることを第一に考えるという点にあります。
まずは自社の販管費を削減し、次に製造原価の改善に取り組みましょう。好況時では既存取引先の切替えを狙っても難しいですが、不況時にはチャレンジャーであっても、価格面から切り込んでいくことができます。『見積だけでも弊社へ、きっと満足いただけますよ』と一言添えればチャンスを増やすことができます。
情報提供を切り口に新規事業に入りこむ
第二に、不況下でさらに熾烈な覇権争いを繰り広げている中、企業は将来を見据え、先行投資をしていきます。そのため、情報提供の切り口が新しければ、チャレンジャーでも入り込むチャンスがあるのです。『先行投資は弊社と一緒に行いませんか』と伝えることで提案機会を取得できます。
オンラインで攻める
第三に、リモートワークにより、対面営業からオンライン営業へと移り変わっている中で、いち早くオンラインにさえ対応できれば、チャンスが広がります。オンライン商談はもちろんですが、オンラインでのセミナー、いわゆるウェビナーも有効です。ウェビナーであれば、商談よりも心理的障壁が低いため、これまで取引のなかった大企業担当者とも繋がりやすくなります。『ウェビナーをやっています』とアピールすることで気軽に興味をもってもらえます。
IR資料を精読し、大胆な提案をする
そして第四に、取引関係が長くなると、日々のやりとりに気を取られてしまい、顧客の抱える大きな課題が見えないことが往々にしてあります。チャレンジャーとして新規取引を新たに奪取しようとする際は、決算説明資料などのIR資料を絶対精読すべきです。
IR資料は今まさに企業がどんな状況に置かれ、何を目指そうとしているのかが、経営者目線で書かれています。顧客の現場担当者から話を聞くよりも一歩先の課題、戦略が理解できます。
今なら、DX(デジタルトランスフォーメーション)にどう対応するか、などでニューノーマル時代への対応方針が分かるでしょう。
①一歩先の大胆な提案を実施する
既存のライバルは既得権を失いたくないため、新提案といっても、目新しさのない保守的なものになりがちです。チャレンジャーにとって一番の強みは、失うものがなく、顧客のメリットに最大限対応した提案ができる点にあります。IR資料から仮説を立て、過去の経緯などを一切考慮せず、最高の提案を実施し、奪取しましょう。
②一足飛びに経営トップへ切り込めるチャンス
経営トップは誰よりも自社の将来を考えているため、メリットのありそうな新しい提案には飛びつくものです。そのため今の状況は、ダイレクトに経営トップに切り込む営業スタイルに変えるチャンスもあります。破壊力のあるトップ営業を強化しましょう。『IR資料を踏まえ、大胆な提案をさせていただきます』とアピールすべきです。(図表参照)
俊敏に行動する、顧客に付加価値を出し続ける
当たり前ですが、先行きが不透明な今こそ「立ち止まるな、とにかく動け」というマインドをもって行動することが必要です。売上高を上げる、一番簡単な方法は、アプローチ頻度をあげることです。日本電産の永守重信代表取締役会長も、M&Aした会社を再建する際、売上を上げるための指示はたった一行「訪問件数を1人あたり月100件にすること」※のみとおっしゃっています。
今ならさしずめオンライン商談月100件でしょうか。「俊敏に行動する、顧客に付加価値を出し続けていく」。コロナ禍の苦しい今だからこそ、この当たり前の仕事への姿勢が改めて問われているのです。
川勝宣昭『日本電産 永守重信 社長からのファクス42枚』株式会社プレジデント社、2016年、P121
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本コラム掲載号の記事一覧
2020 AUTUMN
Vol.03 顧客を捉える
Vol.03は今求められる営業戦略がテーマです。コロナ禍により営業を取り巻く環境が大きく変化している中、今こそ営業を変革するチャンスです。データやITを活用した「営業DX」を実践するなど、営業戦略を転換することが業績回復のカギとなります。
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2024 SUMMER
Vol.14 使えるアセスメント
vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。