若手の「突然の退職」は防げる!月1回30分の1対1面談で、部下のSOSを見逃さない
「特に不満はなさそうだった」「面談も問題なく終わっていたはず」
若手社員の突然の退職が起きたあと、多くの職場でこうした声が上がります。しかし、こうしたサインは日常業務の中では見えにくく、上司や周囲が気づいたときにはすでに手遅れになっていることも少なくありません。
こうした背景には、若手社員の価値観や働き方の変化があります。仕事そのものだけでなく、将来のキャリアや職場での人間関係、心身の負担などさまざまな要素が複雑に絡み合っています。その結果「このまま続けていいのか」という問いを抱えてしまうのです。
それにもかかわらず、上司とじっくり話す機会がなければ、その迷いは表に出ません。
本記事では、 評価や指示の場ではない、育成と対話を目的とした定期的な1対1面談のやり方を解説します。
1対1面談の導入が若手の「突然退職」を防ぐ鍵
若手社員が「なぜ何も言わずに退職してしまうのか」と疑問に思う方は多いと思います。その原因の一つは、 若手が本音を言葉にする場を持てなかったことにあります。
そのため、若手が本音を話せる場を作ることが重要です。具体的には、月1回の1対1面談を行うことで、普段は言えない悩みや業務上の困りごとを引き出すことができます。
「突然の退職」の正体は、本音を言えなかった時間の積み重ね
ある製造業の現場では、入社3年目の若手社員が突然退職を申し出ました。業務遂行力も高く、評価面談では「問題ありません」と答えていた社員です。
ところが退職面談で本人が口にしたのは、「忙しそうな上司に相談できず、ずっと一人で抱えていました」という言葉でした。
業務量の増加、将来への不安、周囲との比較による焦りなど様々な問題を抱えていました。どれも決定打ではありませんが、 定期的に立ち止まって話す場がなかったことで、相談のタイミングを失っていたのです。
「突然の退職」を防いだのは、1対1面談で生まれた「余白のある対話」
一方で、同じ部署内でも退職を未然に防げた例があります。防いだのは、月1回の1対1面談を継続していた別のリーダーでした。そのリーダーは、ある面談で「最近、帰る時間が少し遅くなっていますね」と声をかけました。
そこから、業務の詰まりや「人に頼るのが苦手」という本人の特性が見えるきっかけとなりました。業務分担を早期に見直した結果、本人は「退職を考えるほど追い込まれていたことに自分でも気づいていなかった」と話しています。
このように退職してしまったケースと防げたケースの差を生んだのは、能力や意欲ではありません。
このリーダーがしていたのは答えを与えることではありません。事実の変化に気づき、評価も指示も挟まずに声をかけ、本人が言葉を探す時間をそのまま待つことです。
1対1面談で大切なのは、部下が本音を言葉にして伝えられる場を上司がつくれるかどうかです。
1対1面談が形骸化すると、離職リスクは高まる
1対1面談を導入したものの、「効果が感じられない」という声は少なくありません。その多くは、面談が 業務進捗確認や指示の場になってしまっていることに起因します。
評価面談と変わらない内容では、部下は本音を語る意味を見いだせません。前回の話が活かされず、準備なく実施された面談は、部下にとって「話しても何も変わらない時間」になってしまいます。
そのため面談に効果がないと感じ、部下からの相談は減り上司に対して不満や不安が膨らみます。その結果、突然の退職につながるのです。
突然の退職を防ぐ1対1面談に必要な3つの視点
離職防止につながる1対1面談には、明確な設計が必要です。そのためには、3つの視点を取り入れることが重要です。
1. 月1回以上、30分から1時間という頻度と時間の確保
「この場で話せばいい」という安心感が、信頼関係の土台になります。
2. 事前準備と記録
議題を共有し、前回の面談内容を振り返ることで、面談は単発ではなく継続的な対話になります。
3. 話す内容の幅
業務だけでなく、働き方、体調、人間関係、キャリアの幅広いテーマを扱えることが、 若手社員の安心感や本音の引き出しにつながります。
面談の質を変えるのは「質問」と「聴き方」
効果的な1対1面談では、 上司が話すよりも、部下が考えて言葉にする時間をつくります。その鍵となるのが「質問」です。あるIT系企業のリーダーが実際に行った面談でのやり取りを紹介します。
上司「この1か月で、一番エネルギーを使った仕事は何でしたか?」
部下「新しい案件より、既存業務の調整が大変でした」
上司「そう感じた理由はどこにあると思いますか?」
部下「自分が全部やらないといけない気がしていました」
このやりとりで効果的な点は、上司がここで結論や指示を出さず、背景を丁寧に聴いた点です。
その結果、部下自身が「頼り方が分からなかっただけかもしれません」と気づき、次回までに一つ相談する行動を決めました。次の面談では発言量が増え、表情も明らかに変わっていました。
質問が変わると、部下の内省が深まり、行動が変わるのです。
チームに一体感を生むために、上司が語るべき3つのポイント
1対1面談でチームの一体感を高めるために重要なのは、「正しい情報を伝えること」ではありません。 上司自身の言葉で、意味と期待を語ることです。多くの現場では、会社方針や数値目標はすでに共有されています。
それでも一体感が生まれないのは、「なぜそれをやるのか」「自分はどう関わっているのか」が、部下の中でつながっていないからです。そこで、上司が語るべきことは大きく3つあります。
1.目標の背景にある意図
たとえば、「今期は生産性向上がテーマだ」という事実だけでなく、「なぜ今、それが必要なのか」「現場として何を守りたいのか」を語ります。
「残業を減らすため」「特定の人に負荷が集中しないようにするため」など、上司自身が腹落ちしている理由を言葉にすることで、目標は 会社のものから自分たちのものに変わります。
2.自分自身のスタンスや迷い
完璧なリーダー像を演じる必要はありません。「正直、このやり方でいいのか悩んでいる」「でも、この方向には意味があると思っている」といった率直な言葉は、部下にとって「同じ目線で考えてくれている」という安心感につながります。
上司が感情や思考を開示することで、部下も本音を話しやすくなるのです。
3.その部下個人への期待の言語化
「期待している」という言葉を抽象的に伝えるだけでは不十分です。
「あなたが調整役に入ると、周りが動きやすくなる」「数字を追うだけでなく、後輩の様子を見てくれている点を評価している」といった具体的な役割や強みに触れることで、部下は自分の存在価値を実感します。この実感が、「このチームで頑張ろう」という内発的な動機になります。
ここで重要なのは、期待を押し付けないことです。「こうなってほしい」と語ったうえで、「あなた自身はどう思いますか」「無理はないですか」と問いを添えることで、対話は双方向になります。
1対1面談は、全員に同じメッセージを一斉に伝える場ではありません。一人ひとりに対して、「このチームで、あなたと一緒に何を目指したいのか」を丁寧に言葉にする。その積み重ねが、結果としてチーム全体の一体感を形づくっていきます。
一体感とは、同じ方向を「命令されて向く」状態ではなく、納得して並んで進む状態が重要です。
小さな変化を見逃さないことが、最大のリスクマネジメント
1対1面談を継続することで、 上司自身の「気づく力」も高まっていきます。雑談が減り、発言が事実報告だけになります。そして、キャリアの話題を避けるようになります。
以前なら見過ごしてしまっていたこうした小さな変化に、「いつもと違う」という違和感を持てるようになります。
面談という定点観測の場があることで、問題が表面化する前に声をかけ、手を打つことが可能になります。1対1面談は、離職対策であると同時に、 現場で実行できる最も現実的なリスクマネジメント手法なのです。
部下コミュニケーション向上研修~1対1面談を通した部下育成支援
職場を構成する社員の年齢層や雇用形態が多様化したことにより、
社員個人の事情や制約に合わせたマネジメント・指導が求められてきています。
そのようなマネジメント・指導を実現させるためには、定期的な1対1面談を通して、社員1人1人と時間をかけて話し合うことが重要です。
本研修では、1対1面談の意義、進め方を理解した上で、面談で取り上げるべき内容(自部署の目標や方向性、部下の働き方、体調、人間関係の悩み)を習得します。
本研修のゴール
- 1対1面談の意義や進め方を習得することで、上司・部下双方にとって有意義な1対1面談を実施できるようになる
- 1対1面談を進める時のポイントを理解する
- 部下・後輩のやる気を引き出す対話のコツを習得し、実践できる
- チームに一体感を出すために、ビジョン・方向性を自分の言葉で語れるようになる
- 部下・後輩の体調や悩みも聞くことで、リスクの芽を事前に摘み取ることができる
よくあるお悩み・ニーズ
- 1対1面談を導入することになったが、どのように面談を進めていけばよいかわからない
- 面談を通して、部下・後輩の仕事に対する意欲を高めたい
- 1対1面談を取り入れているものの、その効果が実感できない
セットでおすすめの研修・サービス
部下の育て方研修~面談とフィードバックで経験学習サイクルを回す
かつての「教え込むスタイル」から、
「部下の力を引き出すスタイル」へと育成指導のスタイルが変わってきている中で、
1対1での面談を活用する動きが広まってきています。
しかし、その趣旨を理解しないまま形だけ面談を行っても効果は期待できません。
この研修では、「経験学習モデル」の考え方に則り、面談を通じて効果的な部下育成を進める方法について学んでいただきます。
1対1面談研修~部下のキャリア開発支援編
社員の価値観が多様化したことにより、
現場では社員1人ひとりの価値観を尊重しながらキャリア開発を支援することが求められてきています。
それを実現させるためには、まずは部下の特徴・キャリア志向をよく理解することが不可欠です。
本研修は、実際に面談をする管理職・リーダーが、1対1面談でどのように部下の特徴・キャリア志向を把握していくか、フレームワークをお伝えしていきます。さらに、ワーク、ケーススタディでの実践を通して、部下のキャリア開発を促す1対1面談ができるようになることを目指します。


