上司が今日からできる文章指導~部下のビジネス文書を読みやすくする3つの改善策
部下の書いた文書を読むと、内容が頭に入ってこない、結論が見えないと感じる場面は少なくありません。文章の質が低いと、社内外のコミュニケーションに影響が出て、判断の遅れや誤解につながります。
しかし、文章力は特別な才能ではなく、上司のちょっとした指導で大きく改善します。本コラムでは、部下のビジネス文書を読みやすくするために、上司が今日から実践できる3つの改善策を紹介します。
1.書き手の立場を明確にさせる~文章の軸を整える
部下の文書が読みづらくなる背景には、文法よりも「書き手の立場が曖昧」という根本原因があります。自社として何を伝えるべきかが定まらないまま書き始めると、文章は散漫になり、読み手が迷いやすくなります。文章の軸を整えるために、押さえておきたい3つの視点を紹介します。
書き手の立場が曖昧だと文章が散漫になる
立場が定まっていない文章は、情報が並んでいるだけで主張が見えません。たとえば、報告書で「状況を共有します」と書きながら、読み手が知りたい結論が最後まで出てこないケースがあります。これは、書き手が「自分は何を伝える立場なのか」を理解できていないために起こります。
目的が曖昧だと読み手が迷う
文章には必ず目的があります。判断材料を示すのか、承認を得たいのか、状況を整理したいのか。目的が曖昧なまま書き始めると、文章は長くなる一方で、読み手が理解しにくい文書になります。上司は、部下に「この文書で何を達成したいのか」を最初に言語化させることが重要です。
読み手との関係性が曖昧だと情報の取捨選択ができなくなる
文章を書く際には、書き手の立場と目的だけでなく、読み手との関係性を整理することが欠かせません。誰に向けて書くのかが曖昧なままでは、必要な情報量や言葉の選び方が定まりません。
たとえば、上司に提出する報告書であれば、判断材料となる事実を簡潔に示す必要があります。一方、同僚への共有であれば、背景や経緯を丁寧に説明するほうが理解されやすくなります。
読み手との関係性を明確にすると、文章の軸がぶれにくくなり、伝えるべき情報が自然と整理されます。上司が部下に文章を書かせる際も、「誰に向けて書くのか」を最初に確認することで、文書の質が大きく向上します。
2.読み手の理解の流れに沿わせる~構成を整える
文章の読みやすさを左右するのは、内容そのものより「構成の組み立て方」です。読み手の理解の流れに沿っていない文章は、情報が正しくても伝わりにくくなります。理解しやすい構成をつくるために、意識したい3つの視点をまとめます。
読み手が理解しやすい順番は決まっている
稟議書や申請書が読みやすいのは、論理的な順番で情報が整理されているためです。
- ねらい
- 理由
- 具体的な内容
- 詳細情報
- 費用対効果
- リスク
- スケジュール
このように、読み手が知りたい順番で並んでいるため、内容を追いやすくなります。
情報の粒度をそろえると文章が一気に読みやすくなる
文章が読みにくくなる原因のひとつに、情報の粒度がそろっていないことがあります。大きな話と細かい話が混在すると、読み手は「どのレベルの話をしているのか」をつかみにくくなり、理解に時間がかかります。
情報の粒度をそろえるためには、「大きい話は大きい話でまとめる」「細かい話は細かい話でまとめる」「段落ごとに粒度を統一する」といった基本を徹底することが効果的です。
読み手の負担を減らすための視点
文章は、読み手が迷わず読み進められることが重要です。段落の切り方、文の長さ、情報のまとまり方など、読み手の負担を減らす工夫が求められます。特に、1文が長くなりすぎないようにするだけで、文章の読みやすさは大きく変わります。
3.定型フォームとチェックシートを活用させる~文書の質を整える
文章指導は手間がかかる印象がありますが、仕組みを整えるだけで負担を大きく減らせます。文章の質を安定させるために効果的な2つの方法を取り上げます。
定型フォームがあるだけで文章は安定する
日常業務で作成する文書の多くは、毎回ゼロから考える必要はありません。
お詫び状や議事録、社内報告書のような文書は、職場で正しい定型フォームを作っておくことで、誰が書いても一定の品質を保てます。一方で、誤った雛形を引き継いで使い続けているケースも多く、文章の質が下がる原因になります。上司が正しいフォームを整えるだけで、職場全体の文書品質が向上します。
チェックシートで部下が自走できる
上司が毎回細かく指導するのは現実的ではありません。そこで有効なのが、チェック項目をまとめたシートです。
- 立場が明確か
- 読み手の流れに沿っているか
- 結論が最初に書かれているか
- 不要な表現がないか
このような項目を用意し、部下自身に確認させることで、文章力が自然と伸びていきます。上司は最終確認に集中でき、指導の負担も軽減されます。
まとめ~今日から始める指導で文章の質は変わる
文章力は、一部の人だけが持つ特別な能力ではありません。書き手の立場を明確にし、読み手の理解の流れに沿った構成を意識し、定型フォームとチェックシートを活用することで、部下の文書は驚くほど読みやすくなります。上司が少し意識を変えるだけで、職場全体のコミュニケーションが改善され、業務のスピードも上がります。今日から、1つの文書を一緒に見直すところから始めてみてください。
正しいビジネス文書の教え方研修~自信を持って後輩や部下の文書を添削する
本研修では、ビジネス文書(報告書や議事録、メールなど)の書き方について基本をおさらいしたうえで、身近な後輩や部下へ文書の添削指導をするためのノウハウを学びます。
ケーススタディ演習では、様々な添削指導のシーンで実践していただきます。研修参加者同士で添削の共有を行うことで、さらに指導の幅も広げていただき、自信をもって添削指導ができるスキルを身につけていただきます。
本研修のゴール
- ビジネス文書添削における心構えを理解する
- 文書添削において指導すべきポイントを学ぶ
- 様々なシーンに応じた文書添削指導ができるようになる
よくあるお悩み・ニーズ
- 後輩や部下が書いた文書を添削する機会があるが、正しい指導ができているか不安
- OJT担当者となったが、後輩へのビジネス文書の指導に自信を持ちたい
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本研修ではビジネス文書を「5W1H」のフレームで覚えやすく解説していきます。誰が、いつまでに、何をするか、要約やメール文面をつくる演習で実践的にポイントを学びます。
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ビジネス文章力向上研修~相手を動かす「立ち位置」「論理」「要約」「熱意」
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文書を書くための事前準備である「立ち位置」、筋道立った整合性のある文書を書くための「論理」、読み手に伝わる簡潔な文書を書くための「要約」、読み手を動かす「熱意」の4ステップで整理し、実践の場で活用できるようになっていただきます。





