成果につながる業務改善の実践術~管理職が使いこなすべき「本気のPDCA」、実行できていますか?

急速な環境変化が続く現代の職場において、業務の進め方や改善の手法は、従来のやり方だけでは通用しないことが多くなってきています。
こうした変化に対応するためには、PDCAサイクルを形式的に回すのではなく、コツを抑えて実践的に運用することが求められます。
本コラムでは、PDCAサイクルの中でも特に「点検(Check)」と「改善(Action)」に焦点を当て、業務を効果的に進めるための考え方と具体的な方法をご紹介します。
PDCAの徹底と判断基準の提示
仕事の管理においては、PDCAサイクルの徹底が非常に重要です。業務を計画的に進め、実行後に点検・改善を繰り返すことで、成果の質を高め、継続的な成長につなげることができます。
P(Plan:計画)→D(Do:実行)→C(Check:点検)→A(Action:改善策の実施)
中でも注意したいのは、点検(Check)の重要性です。コスト削減や業務効率化といった改善策を行う際は、実効性を検証する必要があります。その点検作業において求められるのは、敏感に環境変化を嗅ぎ取り、判断基準を明示していく能力です。
変化の多い現代において、「前例踏襲」だけで業務を遂行するのは困難ですが、一方で何でも変更すればよいというわけでもありません。「守るべきもの」と「変えるべきもの」を明確にして、判断基準を確定する必要があります。
具体例:社内の情報共有ルールの見直し
たとえば、社内での情報共有の方法について考えてみましょう。これまでは、週に一度、部門ごとにメールで業務報告を送るというルールが定着していたとします。
- 守るべきもの:情報共有の「定期性」や「記録に残す」という習慣は、業務の透明性や責任の所在を明確にする上で重要です。これは維持すべき基準です。
- 変えるべきもの:一方で、現在はチャットツールや社内SNS、クラウドベースのプロジェクト管理ツールが普及しており、リアルタイムでの情報共有が可能になっています。メールだけに頼ると、情報の鮮度や即時性が損なわれる可能性があります。
このような場合、点検(Check)の段階で「情報共有の目的は維持しつつ、手段はより効率的なものに変える」という判断が必要です。たとえば、報告はチャットツールのスレッドで行い、必要に応じてクラウド上で資料を共有するなど、環境に適した方法へと移行することで、業務の実効性を高めることができます。
このように、判断基準を明示することで、現場の混乱を防ぎ、業務改善の方向性を明確にすることができます。
成果を出すポイントは2つの基準と「3カ月」
小さな改善でも「成果」は出せる

管理職の中には業務改善の推進が苦手な方もいらっしゃると思います。しかし、気楽に考え、小さな目標から積極的に取り組んでいけば良いのです。
皆さんの職場でも、現場の問題点を洗い出せば、20や30は出てくるのではないでしょうか。同時にすべてを解決するのは不可能ですが、問題のうち、2~3割を改善すれば、「劇的な改善」を実感することができ、外部からも評価されます。
大きな成果を出すためには
- 緊急度や重要度などを鑑みて、仕事の中で優先順位が高いものから課題を選ぶ
- 各自が協力すれば簡単にでき、達成しやすいものから課題を選ぶ
という2つの基準から課題を選び、改善していきます。
このとき、期間の設定がポイントになります。「1カ月」では、改善の準備や検討の時間が足りず、日常業務に支障をきたす可能性があります。一方で、「半年」では、改善の方向性がぶれたり、途中で熱意が薄れてしまうリスクが高まります。
部下全員で議論したり、検討する時間が取れ、かつ、緊張感が途切れない時間が「3カ月間」です。この3カ月間で終わるテーマを見つけて、改善していくのが効果的な課題発見の方法です。小さな課題を3カ月間かけて一つずつ改善すれば、1年で4つの問題解決ができ、振り返れば「大きな成果」と実感できます。
改善は手順が大切~現状分析、根回し、キックオフ
「業務改善せよ」というかけ声だけでは、部下はなかなか動きません。3ステップで実行しましょう。
ステップ1:現状を数字で示す
まずは、管理職が「問題を数字で示すこと」が大切です。つまり、自ら汗をかいて分析を行い、問題の所在とその内容を具体的な数字で示し、「なぜ改善しなければいけないのか」という課題を明確にする必要があります。
ステップ2:根回しで現場の協力を得る
次に、ベテランの部下への根回しを行い、協力を取り付けます。現場にそっぽを向かれては、業務改善は立ち行かなくなってしまいます。
ステップ3:キックオフで全体を巻き込む
最後に、部門全体でキックオフミーティングを開き、業務改善をスタートさせましょう。その際、「どこまでいったら達成なのか」というゴールを明確にした上で、それぞれの仕事の分担やスケジュールを決めます。1カ月単位で点検(Check)を行っていけば、業務改善の推進や管理も容易となります。
まとめ:組織の力を引き出すために
環境変化に対応しながら、組織全体の力を引き出すためには管理職の役割が重大となります。PDCAサイクルの中でも「Check(点検)」の工程を重視し、判断基準を明確にすることで、業務の実効性を高めることができます。
さらに、PDCAサイクルの「改善(Action)」を実効性のあるものにするためには、業務改善を一度にすべて解決しようとするのではなく、3カ月サイクルで2~3割の課題に取り組むという現実的なアプローチが有効です。
こうした考え方や手法を実践することで、管理職としての信頼を高め、組織の生産性向上にも貢献できます。ぜひ、日々の業務の中で意識的に取り入れてみてください。
中級(課長級)管理職研修~PDCA・突破力編
「実務統括の責任者」である課長(中級管理職)の職務で最も重要なのは、PDCAサイクルを回しミッションを完遂することです。ミッション完遂には様々な壁があり、それを突破できるかどうかは課長の力量にかかっています。
本研修では、PDCAを軸に、業績達成、リスク管理、マネジメント、イノベーションについて学び、課長に求められる「突破力」を磨いていただく内容です。
本研修のゴール
- 課長・リーダーとしてのPDCAの回し方を学ぶ
- 突破力の本質を学び、ミッションを完遂するための課長の考え方・動き方を理解する
- 課長に求められるリスク管理、イノベーションについても学ぶ
よくあるお悩み・ニーズ
- 管理職業務をしていく上で、マネジメントの考え方や手法を一から学びたい
- 管理する立場から上司や部下とのコミュニケーションの取り方を知りたい
- 目標管理やリスクマネジメントの具体的なポイントが分からない
セットでおすすめの研修・サービス
業務改善徹底実践プラン~普遍的な「成功の法則」を知る
業務改善の基礎から実行ノウハウまでを実践的かつ体系的に学ぶことができます。
業務改善を「机上の空論」とせず確実に成果を出すためには、周囲を動かすための根拠を明確にする必要があります。本プランはまさに業務改善の「教習所」であり「虎の穴」になる、と考え企画いたしました。
DX活用・推進研修
DXを組織内で推進するための流れと、担当者としての役割や進め方について1日間で理解する研修です。
組織内における担当者としての役割や覚悟、プロジェクトとして推進するための手順などを、事例やワークを通じて学びます。
課長レベルアップ研修~迷いを払拭し、変化に挑む
課長として新たな役割になってからの仕事を振り返り、困っていることや、悩み、今の課題を洗い出していきます。
本研修のポイントは受講者同士での情報交換と講師からのフィードバックです。このパートにできるだけ多くの時間を割き、受講者の皆さんの課題を解決していきます。









