インソース マーケティング&デザイン室

部下の成長を促すポイントは「任せられるかどうか」~部下を信じ、面談でフォローすることで上司として伴走する

ビジネスの現場では、「自分でやった方が早い」と感じながらも、部下の成長を促すことや、組織としての生産性を高めることの重要性を感じているリーダーや管理職の方が少なくありません。また、現代の多様な価値観を持つ部下たちに対し、どのように接し、育成すれば良いのか、その手法に悩みを抱える声も多く聞かれます。形骸化した面談になってしまったり、部下のキャリア支援が十分にできていないと感じたりする場面もあるかもしれません。

本コラムでは、仕事の任せ方・部下の育て方・1対1面談の3つの重要な要素について触れ、明日から実践できる具体的な行動のヒントをご紹介します。部下へ任せる仕事の基準を明確化し、成長の機会を与え、面談でフォローするといった一連の流れをどのように実行していくか見ていきましょう。

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仕事の任せ方:効率と成長を両立する

「自分でやった方が早い」という考えは、多くのリーダーが抱える共通の悩みです。しかし、仕事を任せることは、単に自分の負担を減らすだけでなく、部下の成長を促し、組織全体の作業効率を高めるための戦略的な一歩となります。

まずは「任せる」ことのメリットを理解し、意識を改革する

仕事を任せることには、以下のような多岐にわたるメリットがあります。これらのメリットを意識することで、「任せる」ことへの前向きな捉え方ができるようになります。

  • 複数人ができる仕事が増えると作業効率が高まる
  • 分業はリスク管理を容易にする
  • 仕事のやり方を次世代へ継承できる
  • 仕事の文書化、マニュアル化を促進する
  • 仕事や業務への理解を深めることができる

任せるべき仕事の選び方

やみくもに仕事を任せるのではなく、効率的、戦略的に任せる仕事を見極めることが重要です。自身の業務を整理し、以下の視点から任せる仕事を検討しましょう。

  • 自分がやらなくてもよい仕事:日々の業務の中で、必ずしも自分が手掛ける必要のない業務を見つけ出しましょう。自身の仕事の構成を考えることで、現在の仕事の大半が自分がやらなくてよい可能性もあることに気づけます。
  • ルーティン化している仕事:日次・週次・月次でルーティン化している業務は、部下育成の機会にもなり得ます。所要時間も洗い出し、整理することが推奨されます。
  • 育成につながる仕事:部下の成長を促す視点から、どのような仕事が部下にとって「ストレッチ」になるかを考えます。
  • 突発的な仕事:急に発生する業務も、任せることで部下の対応力を養うことができます。

適切な相手を見極めるステップ

仕事を任せる「人」の選定もまた、重要なステップです。部下を「個人」として深く理解し、その特性を見極めることが成功の鍵となります。

  • 無意識の思い込みを取り除く:部下に対する固定観念を排し、一人ひとりの個性と向き合いましょう。対話を通じて部下の理解を深める努力が求められます。
  • スキル管理表の作成:部下が「何ができるか」を客観的に把握するために、スキル管理表を作成しましょう。
  • 部下のタイプ評価:自部署で求められる能力を明確にし、部下メンバーの「持ち味は何か」を評価します。部下の「意欲」と「スキル」で分類することも有効です。
  • 部下のキャリア形成支援:部下が「何をしたいか」「どうありたいか」を理解し、そのキャリア形成を支援する視点を持つことが大切です。

これらの情報を基に、現在の業務量(時間外勤務の有無、業務の難易度、抱えている仕事の締め切りなど)も考慮に入れ、誰に何を任せるかを決定しましょう。

【公開講座】仕事の任せ方研修~自分でやった方が早いを克服し、部下の成長を促す

部下や後輩がいる人にとって、「どの業務」を「誰に任せるか」を考えることは、組織で働くうえで逃れることはできません。組織の視点で考えると、誰か特定の人でなければできない仕事が多いことは、組織にとってもリスクのあることです。

本研修では、効果的に仕事を任せるために事前準備の必要性とその具体的な手順についてご紹介します。

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部下の育て方:経験から学びを引き出す支援者へ

現代は「VUCAの時代」と呼ばれ、過去の知識伝承よりも、主体的な「革新」が求められます。そのため、部下育成のスタイルも「教え込む」から「部下の力を引き出す」支援型へと変化しています。上司・先輩の役割は、もはや「指導者」ではなく「支援者」であると認識しましょう。

経験学習モデルの4つのサイクルを回す

部下の主体的な学びを促す上で重要なのが「経験学習モデル」です。人は経験を通して成長するという考え方に基づき、以下の4つのサイクルを意識的に回すことが部下の成長に繋がります。

  • 経験:部下自身が実際に仕事や課題に取り組むこと。まずは「経験する場」を与えることがスタートラインです。
  • 省察:経験したことを振り返り、内省すること。なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのか、深く考える機会を提供します。
  • 持論化:省察によって得られた気づきを、自分なりの「教訓」や「概念」として言語化すること。これにより、得られた学びが汎用性の高い知識となります。
  • 試行:持論化された学びを、新たな行動や課題解決に適用し、検証すること。この新たな試行が次の「経験」へと繋がり、学習サイクルが継続します。

各サイクルで実践すべきこと

  • 経験:適切な「ストレッチ」の機会提供:部下の成長を促すためには、彼らにとって「適切なストレッチ」となる経験を与えることが重要です。これには、本人にとって不慣れなこと、前例のない新しいこと、高いレベルでの責任が伴う仕事、組織を横断して取り組む仕事などが含まれます。部下が自ら考え、行動できるよう、意識的に「放置」する時間も与えましょう。
  • 省察:面談を通じた内省の促進とフィードバック:効果的なリフレクションのためには、面談の「場」の設定が重要です。部下が「受け入れられている」と感じられるよう、傾聴力を発揮しましょう。また、「問い詰める」のではなく「内省を促す」ための質問力を磨き、原因の掘り下げや多面的な見方を促します。フィードバックは、正解を押し付けず、至らない部分に気付かせ、一度に全てを言わないように心がけましょう。
  • 持論化:本質を掴む支援:部下に「何を教訓として得たか」を語らせ、具体的な経験の中から本質を抽出し、「概念化」できるよう支援しましょう。既に存在するセオリーと照合させることで、学びをより深く、汎用的なものにできます。
  • 試行:チャレンジと応用を促す:持論がまだ仮説の段階にあることを認識し、それを「検証」する機会を与えましょう。演繹法的なアプローチで適用場面を広げさせたり、アジャイル発想でスピーディに修正させたりすることで、新たな学びのサイクルを回すことができます。

【公開講座】部下の育て方研修~面談とフィードバックで経験学習サイクルを回す

かつての"教え込むスタイル" から、"部下の力を引き出すスタイル" へと育成指導のスタイルが変わってきている中で、1対1での面談を活用する動きが広まってきています。しかし、その趣旨を理解しないまま形だけ面談を行っても効果は期待できません。

本研修では、「経験学習モデル」の考え方に則り、面談を通じて効果的な部下育成を進める方法について学んでいただきます。

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1対1面談:部下のキャリアを主体的に支援する

社員の価値観が多様化する現代において、部下一人ひとりの価値観を尊重し、キャリア開発を支援することは不可欠です。1対1面談は、部下の特徴やキャリア志向を深く理解し、育成力を高めるための強力なツールとなります。

1対1面談の6つのプロセス

面談を効果的に進めるためには、明確なプロセスを踏むことが重要です。

  • 事前準備をする:面談の目的を明確にし、部下の情報(過去の働きぶり、成果、課題など)を整理します。
  • 部下の働きぶりを認める:面談の冒頭で、部下の普段の努力や成果を具体的に認め、感謝の気持ちを伝えましょう。これにより、部下は心理的な安全性をもって話せるようになります。
  • 雑談をする:いきなり本題に入るのではなく、まずはリラックスした雑談から始め、部下との信頼関係を築き、本音を引き出しやすい雰囲気を作りましょう。部下の関心事や日々の様子を探る良い機会です。
  • 面談の本題に入る:本題では、部下の話が中心となるよう、「主役は部下」という意識を持ちましょう。傾聴に徹し、部下の言葉の奥にある思いや考えを引き出すことに注力します。
  • 次回の面談までにやるべきことを決める:面談で話し合った内容に基づき、部下自身が次回の面談までに取り組む具体的な行動や目標を決めさせます。これにより、部下の主体性が育まれます。
  • 次回の面談は振り返りから始める:次回の面談では、前回の面談で決めた行動や目標の達成状況を部下自身に振り返らせることから始め、経験学習サイクルを回しましょう。

面談で活用する3つのフレームワーク

1対1面談の効果を最大化するために、以下のフレームワークを活用して部下のキャリア開発を支援しましょう。

  • スキル・経験・強み・課題の整理:部下がこれまでに培ったスキル、経験、強み、そして課題と感じている点を自ら整理させるフレームワークです。これにより、部下は自己理解を深め、今後の業務で強みをどう生かし、弱みをどう克服するかを具体的に考えることができます。
  • キャリア・アンカーとキャリア志向の把握:部下にとって「こだわり」や「やりがい」となる核となる価値観(キャリア・アンカー)を把握するフレームワークです。部下が何を最も重視し、どのような行動指針を持っているのかを理解することで、部下のキャリア志向(キャリアオプション)を確認し、適切な支援に繋げることができます。
  • 自己効力感を高める問いかけ:部下の自己効力感(「自分ならできる」という自信)を高めるためには、肯定的な質問話法が非常に有効です。つい言ってしまいがちな否定質問を肯定的な表現に言い換え、オープン・クローズド質問や未来・過去質問を適切に使い分けながら、部下自身に考えさせ、前向きな行動を促しましょう。

【公開講座】1対1面談研修~部下のキャリア開発支援編

社員の価値観が多様化したことにより、現場では社員1人ひとりの価値観を尊重しながらキャリア開発を支援することが求められてきています。それを実現させるためには、まずは部下の特徴・キャリア志向をよく理解することが不可欠です。

本研修は、実際に面談をする管理職・リーダーが、1対1面談でどのように部下の特徴・キャリア志向を把握していくか、フレームワークをお伝えしていきます。さらに、ワーク、ケーススタディでの実践を通して、部下のキャリア開発を促す1対1面談ができるようになることを目指します。

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任せる勇気が部下の成長の糧となる

本コラムでご紹介した「仕事の任せ方」「部下の育て方」「1対1面談」のそれぞれの実践ポイントは、バラバラに取り組むのではなく、相互に関連し合うことで最大の効果を発揮します。

部下に仕事を任せることで経験の機会を与え、その経験を1対1面談でのフィードバックを通じて省察・持論化を促し、新たな試行へと繋げることで、部下は主体的に成長していくことができます。

部下育成スキル強化プラン~組織の中核人材を育てる

このように、「仕事の任せ方」「部下の育て方」「1対1面談」という3つの視点から、段階的かつ実践的にスキルを高めていくことが可能です。そして、これらを一貫して体系的に学べるのが、インソースの公開講座セットプラン 「部下育成スキル強化プラン~組織の中核人材を育てる」 です。

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