
ENERGY vol.12(2023年秋号)掲載
PICKUP
中堅成長企業のDX化はシステム会社との連携がカギ【株式会社メイズ】
システムの側面から、日々ユーザー企業の課題解決に取り組む株式会社メイズ。現場から見たDX実現のコツや人材育成について、同社代表取締役社長の佐々木一博氏と株式会社インソースデジタルアカデミーの杉山晋一社長が語り合います。
顧客の要求定義が明確であればシステム開発は速い
杉山
人材が豊富な大企業に比べて、新たな業務に人を割くことが難しい中堅・成長企業では、システム会社の力を借りてDX化を図るというのも一つの方法です。
システムを依頼する事業会社と受注するシステム会社が、うまく進めるためのコツはありますか?
佐々木氏
事業会社に明確な要求定義があると、システム会社としてはやりやすくなります。開発のスピードが上がりますね。
ただ、中堅・成長企業さんでは、従来の業務への思い入れがどうしても強くなるので、やりたいことが明確になっているかが重要です。
やりたいことを10割盛り込むと失敗する
杉山
発注者である事業会社側の要求定義が重要だということですね。そもそも経営者と営業担当者で実現したいことが違う場合もあります。経営者なら失注先リストやリピート先、営業なら案件管理などを見たいと思いますが。
佐々木氏
その通りです。お互い自分にとって役立つものにしたいと考えます。しかし、希望を全部入れたら、使いにくいシステムになってしまいます。
だから我々は、やりたいことの8割を目指しましょう、と話しています。スモールスタートです。
標準仕様ならコストも保守も有利
佐々木氏
業務の効率化を目指すシステム開発の場合、誰かの頭に入っていることを聞き出して作ります。こちらが正常ルートで、全体の業務の8割をカバーできます。
残りの2割が、個別対応が必要な異常ルートです。100%対応するためにこのルートを作ると、正常ルート以上の手間がかかって、ほぼ失敗します。
だからスモールスタートをして、翌年度以降のバージョンアップだったり、異常ルートが本当に必要か考えたりしましょうと提案しています。
大企業のように標準仕様にすれば、金額的にも保守的にもよいのですが、中堅・成長企業ではカスタマイズが優先されがちです。
中堅・成長企業がDX化すれば共同作業が速く進む
佐々木氏
要望を直接聞くのはシステム会社です。だから我々は、「これはこっちを取り上げるべき」「一方でこれは取り入れないほうがよいのでは」などといった話ができなければなりません。そもそも先方は、何をしたいか(ニーズ)が明確になっていなかったり、自社にどういった資源があるか(シーズ)が分かっていなかったりする場合もあります。
杉山
まさに共同作業です。中堅・成長企業とシステム会社の連携がDXを進めるというわけですね。
対談を終えて(杉山晋一)
事業会社にシステムのわかる人間を育成すると、システム会社の仕事が奪われるという見方もあります。しかし、私はそうは思いません。
事業会社の中に、ITリテラシーが高い人材がいることで、外部のシステム会社という貴重なリソースを有効に使えます。
もし半年と見込んでいた納期を、半分の3か月で結果を出せれば、残りの3か月で別の仕事ができることになります。これはまさにDXです。
生産性が上がれば、新しい事業にチャレンジできるようになります。結果的に給与水準も上げることにつながると思っています。
佐々木 一博 氏
株式会社メイズ 代表取締役社長。
杉山 晋一
株式会社インソースデジタルアカデミー 代表取締役執行役員社長。
DXを推進するためには
SEには営業スキルが必要 -システム会社-
我々のような中堅システム会社では、優秀な社員が一人でいくつもの業務を兼ねています。
IT専門技術に詳しいのはSE職として当然ですが、現在はさらに顧客の要望を調整する、営業的なスキルも求められています。しかし、システム会社のSE職で営業的スキルを持つ人材は多くありません。
また、我々は社員の中から、次のリーダーを見つけて育成する責任があります。
そのため、営業向きのSEやリーダーの資質がある社員を発掘できるアセスメントに大変興味があります。該当者だけ育成できれば、コスト的にも助かるからです。
アセスメントで人材を発掘して、効率よく人材育成ができるインソースさんのカリキュラムに期待しています。
忙しすぎるシステム担当者 -事業会社-
事業会社のシステム担当者はとにかくお忙しいです。
多くが総務部兼情報システム担当という形で、社内のIT関連を一手に引き受けています。
システムのメンテナンスや運用に加え、「パソコンが動かない」「インターネットがつながらない」など、パソコンのヘルプデスクなどの業務が、もうご自身の業務のほぼすべてなのです。
そのために、なかなか先のことを考える時間もないのだと思います。会社のサポートを得て、システム担当者がDX推進に関わっていただける時間が増えることを願っています。
関連サービスのご紹介
講師派遣型研修のおすすめコンテンツ
公開講座のおすすめコンテンツ
eラーニングのおすすめコンテンツ
その他
本コラム掲載号の記事一覧
2023 AUTUMN
Vol.12 今日からはじめるDX
Vol.12は「中堅・成長企業でのDXの進め方」がテーマです。他社リソースを上手に活用するために身につけたい「要求定義と要件定義」を解説しました。2人の「プロの目」によるDXの取組みへのヒントに加え、身近なアプリではじめるDXを活用事例とともに紹介します。DXお悩みQ&Aでは、中小・成長企業特有の事例を取り上げました。DXをはじめるなら「今」です。
Index
ENERGY最新号はこちら
2025 AUTUMN
Vol.17 企業課題を解決
Vol.17は、「企業課題解決」がテーマです。労働人口の減少など企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、 成長し続けるために経営戦略や人事戦略を改めて考えていくことが求められます。 本誌では、企業インタビューによるDX人財育成の事例や人的資本経営をサポートするソリューション事例をご紹介しております。
Index
■関連記事一覧
-
-
更新
なぜいま「タウンホールミーティング」が注目されているのか~戦略浸透と組織活性化を実現する人事部の役割
タウンホールミーティングは単なる情報共有の場ではなく、戦略浸透と組織活性化の起点です。カスケードダウンとの統合や人事部の設計・フォローアップの具体策を解説し、実務で活用できるチェックリストや施策例も紹介します。
-
-
-
更新
「デキる社員に仕事が集まりすぎる」を変えるには~優しい人が損をしない組織づくりと、上司・人事が講じるべき策
「デキる社員にばかり仕事が集まる」「優しいからデキない社員を助けて疲弊している」こんな職場の悪循環は、やがて優秀人材の離職やメンタル不調を招きます。本記事では、デキる社員が損をしない組織を実現するために、上司と人事部が取り組むべき評価・配置・業務設計のポイントを解説します。
-
-
-
更新
行政の「暗黙知」を可視化する3ステップ~経験依存から業務改善へ
行政の現場には、経験や感覚で培われた「暗黙知」が数多く存在します。暗黙知が文書化されないまま属人化すると引き継ぎや業務改善を難しくします。本コラムでは、暗黙知の可視化を通じて行政の業務改善を進める具体的な手法を解説します。
-
-
-
更新
コンサルタントの真価は情報収集にあり~仮説・逆算・知見で高める「きく」技術
コンサルタントの真価が問われるのは、情報収集です。本記事は、情報収集の質を高めたいコンサルタント必読の実践ガイドとなっております。コンサルティングの成果を左右するヒアリングのコツから、逆算でつくるアンケート設計、選択肢作成のポイントまで丁寧に解説します。
-
-
-
更新
仕組み化の勘所は「実数」を数えること|生産性向上の方法論1
「仕組み化」は、再現性のある行動や判断を、属人性を排して誰でも遂行できるように制度化・マニュアル化・組織化することですが、一番の勘所は実数を数えることです。あらゆる企業や組織で「何をどれだけやっているのか」を定量的に示すことが、全体の生産性向上や意思決定の迅速化につながります。
-
-
-
更新
KPIを活用すれば業績は持続的に向上できる|生産性向上の方法論7
KPIとは「KeyPerformanceIndicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」とも訳されます。これは、企業や組織が目標を達成するための進捗状況を評価するために用いる指標です。KPI管理の大きな特徴は、仕事の成果を評価するのではなく、成果に至るプロセスの行動を数値管理することです。
-
-
-
更新
うまく情報を活用すれば弱くても勝てる|生産性向上の方法論6
原材料や資金は使えば減るし、人は働くと疲れます。一方、情報はいくら使っても減りません。むしろ使い倒せば新たな価値を産む特別な存在です。弱小企業でも、勤勉に情報を活用すれば、大きな成果が出ます。
-
-
-
更新
ルール作りはリーダーの仕事|生産性向上の方法論5
職場ではルールには2種類あると考えます。一つはハラスメント防止や情報漏えい防止などのリスク対策としてのルール。もう一方は、チームとして積極的に売上アップやコストダウンを狙う業績向上のためのルールです。
-
-
-
更新
部下に指示待ち時間を作らない|生産性向上の方法論4
『部下が指示待ちになり、自部署の生産性が低い』こういったご相談を受けることがよくあります。大抵の場合、2つの原因が存在すると考えます。また、2つの原因が複合している場合もあります。今回は、この問題について書きます。
-
■関連商品・サービス一覧
-
人材に関するお悩み
-
ダイバーシティ
- 女性活躍推進
- 役職定年者の活性化
- 再雇用・雇用延長対応
- ダイバーシティ推進
-
人的資本経営
- 人的資本経営(管理)
- タレントマネジメント
- リスキリング促進
-
アセスメント
- 選抜者教育の導入
- 管理職向けアセスメント
-
採用・離職防止
- 活躍してくれる人材の採用
- 採用支援サービス
- 離職防止
-
リーダー・管理職
- 新任管理職研修
- 評価者の教育と事務軽減
- 変化に強いリーダーの育成
- 管理職の意識・スキル向上
- 次世代経営者育成
- 業績向上
-
組織風土・マインド
- 内向型人材の活用
- 若手の主体的発揮
- エンゲージメント向上
- 従業員のモラル向上
- モチベーション向上
-
営業・マーケティング
- 営業力強化
- マーケティング強化
- 新規事業のアイディア創出
- 営業支援ツール Remote Plants
-
組織運営
- 上場に向けた社員教育
- 企業統治・ガバナンス
- サクセッションプラン策定
- CSR、社会貢献
-
部門・組織向け
- 病院に特化した研修
- 人事業務の外部委託
-
-
サービスラインナップ
-
講師派遣研修
-
ジャパンソリューション推進冊子
ENERGY - 作りこみ型研修サービス
- 研修内製化支援
- 効果測定・定着化サービス
- 講師一覧
-
公開講座
- WEBinsource
- 人財育成スマートパック
- バリューパック
- 公開講座コースマップ
-
DX教育推進
- DX/研修百貨店
- Python学院
- RPA導入支援
-
動画教材
- 動画百貨店
- イージーオーダー動画制作
- フルオーダー動画制作
-
通信教育
- 通信教育百貨店
-
経営シミュレーション
実践型プログラム Biz-Ex - 英語学習アプリ レシピ―
- 時短読書サービス Flier
-
セミナー運営
- セミナー運営サービス一覧
- セミナー配信・研修運営代行
- オペレーター派遣
- 配信会場レンタル
- 配信機材・PCレンタル
- 収録・動画制作
- オンライン研修運営コンサル
- オンラインウェビナー運営支援
- ホリデー受付サービス
-
Web制作
-
Webサイト制作
まかせてウェブ -
リスティング広告運用代行
Web広告出稿 - Webサーバ構築・保守
- WEB記事制作サービス
-
人材アセスメント
- 階層別テスト
- DXリテラシーアセスメント
- 新人8大スキルアセスメント
- 金融・生活リテラシーアセスメント
- 営業スキルアセスメント
- 論理的思考アセスメント
- エンゲージメント診断
- 360度評価アセスメント
- 管理職向け意識調査
-
昇格論文評価
アセッサー派遣型研修 - 文書添削サービス
- ITリテラシーチェック
- CS・窓⼝調査
- ハラスメントリスクアセスメント
-
不正リスクアセスメント付き
ワークショップ -
特性アセスメント
giraffe[ジラフ] - オーダーメイド・アセスメント
-
人事コンサル
- コアソリューションプラン
- 教育体系構築コンサル
- コンピテンシーモデル構築
- 評価制度構築コンサル
- 理念浸透サービス
- インターンバス
- WEBinsource人事管理
- マニュアル作成支援
- Re・デザインサービス
- 人事面談代行サービス
- IDカードプリンタ GRASYS
- 採用管理ツール HR PRIME
-
-
最新WEB
- 速報新作研修
-
講師派遣研修
-
公開講座
-
動画百貨店
-
最新ニュース・記事
あなたにおすすめの読み物
業務改善
「Excelができる」ってどんな状態?Excel(エクセル)スキルはデータの「分析」か「処理」の2つに分類できる

生産性を高める上司部下コミュニケーション~伝え方の見直しこそ、最も確実で持続的な業務改善策
Excelは組織で活かす!Excelを「教える側」と「教えられる側」の心理~DXのための「Excelの教え方」1
素人デザイン基本の「き」は、「相手目線」と「引き出し」~ノンデザイナーのためのPowerPointデザイン1
社員情報、あちこち探していませんか?〜人事業務を支える「情報の一元管理」【WEBinsource人事管理】
Wordの長文作成をラクにする便利機能と活用術!「分かりやすさ」と「変更のしやすさ」を併せ持つ文書の作り方
パワークエリでできること~Excelの面倒な繰り返し作業を自動化して時短する
1人から始められる業務効率化~Copilot Chatで事務作業のコストを削減する
効率化のための業務改善とは~職場のムリ・ムダ・ムラをなくすために意識すべき5つのポイント
大変革は小さな改善から!個人の小さな効率化が大きな組織を動かす
成果につながる業務改善の実践術~管理職が使いこなすべき「本気のPDCA」、実行できていますか?
課長なら知っておきたい。IT活用で業務改善を実現するための第一歩「流れ図」
改善のその先を見据えた価値創造とは?~3つの観点で新たな価値を届ける
あなたにおすすめの公開講座
あなたにおすすめの講師派遣
あなたにおすすめの動画教材
あなたにおすすめのサービス
おすすめの研修シリーズ
ITリテラシー
おすすめの読み物シリーズ
DXのためのExcelの教え方
-
マクロ・VBAを諦めた皆様へ~便利なExcelの次世代機能!学習コストを抑えたデータ活用術(2025年版)
-
我流からの脱却!「なぜ?」を深掘りする応用機能~DXのための「Excelの教え方」7
-
グラフ、条件付き書式、表示形式、フィルタ...業務効率化を加速させる応用機能~DXのための「Excelの教え方」6
-
絶対参照と相対参照、IF・AND・ORのネスト...一歩進んだ機能の適切な教え方~DXのための「Excelの教え方」5
-
初心者が「できた!」を実感できる、Excel教育のポイント~DXのための「Excelの教え方」4
-
Excel指導のゴールは「検索」と「自己解決」ができること~DXのための「Excelの教え方」3
-
「Excelが苦手」な人の本音を理解し、劣等感を抱かせない教育を行う~DXのための「Excelの教え方」2
-
Excelは組織で活かす!Excelを「教える側」と「教えられる側」の心理~DXのための「Excelの教え方」1
人事のお役立ちニュース











