ENERGY vol.12(2023年秋号)掲載
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経営トップはインボイス制度を契機にデジタル化を推進すべき【辻・本郷ITコンサルティング株式会社】
国内最大級の税理士法人「辻・本郷税理士法人」のグループ会社として、企業のDXをコンサルティングでサポートする辻・本郷ITコンサルティング株式会社。同社の黒仁田健代表取締役社長に、中小企業が直面する経理のDXについて伺いました。
杉山
令和5年10月施行のインボイス制度の影響を教えてください。
黒仁田氏
大きなインパクトがありますね。仕入税額控除ができるかどうかは、企業の損益やキャッシュフローに直接関わってきますから。
インボイス制度で経理の業務が増える
黒仁田氏
特に大変なのは請求書受領時です。受け取った請求書がインボイスかそうでないのか、インボイスであれば、登録番号や税率や税額の記載が適正かなど、それが要件を満たしているかどうかのチェックを請求書ごとにやっていかなければなりません。人がすべてやったら膨大な作業になります。
杉山
だから経理事務の効率化が必要ですね。
黒仁田氏
ええ、そのソリューションの一つが、パッケージソフトの利用です。最近、各社からインボイスに対応する様々なパッケージソフトが出ているので焦る必要はありません。
ITツールで業務の効率化を図る
黒仁田氏
こういったITツールを活用すれば、自動で登録番号の照合や、請求書発行のデータ送信が可能です。請求側としても、要件を満たしたインボイスを発行できるだけでなく、請求書発行業務の削減も可能になります。
世の中の方向性としては、確実に紙から電子へと進んでいます。
デジタル化は時代の流れ「やるしかない」
杉山
データの電子化はDX実現に向けた第一歩です。デジタル化を一気に進めるには、経営者が今回の制度変更を契機として、真剣にデジタル化に取り組むしかありません。
黒仁田氏
企業を存続し大きくしようという経営者であれば、デジタル化という世の中の大きな流れに沿った、インフラの構築は間違いなく必要だと思います。
トータルで考えて実務に落とし込む
黒仁田氏
今回のインボイス制度は、税額計算や法令の話だけではなく、デジタルでどうやって受け取るかというソフトウエアの話も出てきます。法令だけでなく、システム、そして実務にどう落とし込むかをトータルで考えないといけません。法令には対応はしているものの実務が非効率になっていると、経理の方にすごく負担がかかるというケースもありますから。
仕事の仕方が変わる
杉山
これからは、法令に加え、システムと実務がわかる税理士さんにお願いするのがよいのですね。
黒仁田氏
これまでの税理士は、毎月の売上などの資料を受け取ってから仕事が始まりました。しかし、このインボイス制度や電子帳簿保存法は、後処理でなく前処理をどうするかがポイントです。経理の部署とタッグを組み、全体の業務フローをみて、会計事務所と会社でそれぞれ担当する部分を見直す機会だと思います。大転換です。
コンサルタントも学ぶ業務フローの可視化
杉山
川上から川下までとなると、これはもうプロジェクトマネージャーです。税理士さんに求められるスペックが変わってきたということですね。
黒仁田氏
そうなのです。当社は幸いさまざまな分野において経験豊富なスタッフも多いので、各専門のノウハウを活かせるようにチームで対応しています。
全体の流れが共有できた研修で腹落ち・実践が大切
黒仁田氏
2年前、インソースさんの「業務フローを見直す」研修を受けたのが、弊社にとって、とても意味のあるタイミングでした。
事業のど真ん中の業務フローを改めて可視化したことで、全体の業務の流れが共有できました。その中で少しずつ業務フローを変えてきました。腹落ちしてから実践するのが大切なのです。
ビジネスに直結するインソースの豊富な研修
杉山
インソースグループには、「業務フロー」だけでなく、ビジネスの現場で実際に役立てるための研修がそろっています。
当社のDX研修の特徴は、ビジネスの現場で実際に役に立つことです。インボイス制度の導入を契機に、各企業の皆さまにおいてもDXが進むことを期待しています。
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Vol.12 今日からはじめるDX
Vol.12は「中堅・成長企業でのDXの進め方」がテーマです。他社リソースを上手に活用するために身につけたい「要求定義と要件定義」を解説しました。2人の「プロの目」によるDXの取組みへのヒントに加え、身近なアプリではじめるDXを活用事例とともに紹介します。DXお悩みQ&Aでは、中小・成長企業特有の事例を取り上げました。DXをはじめるなら「今」です。
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vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。