ベテラン社員のパソコン操作を定着させる方法 ~繰り返し質問できる安心感でプライドを守る
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現場では、「もう今さら聞けない」と感じながらパソコン操作に苦手意識を持つベテラン社員が少なくありません。
知識や経験は豊富でも、わずかな操作の違いが壁となり、自信をなくしてしまうケースもあります。
この記事では、教える側が「知らなくて当たり前」という前提で寄り添い、安心して質問できる関係を築くためのポイントを整理します。
教える側が陥りやすい落とし穴~前提・専門用語・ペース
人に何かを教える際、多くの人が次のような点を見落としがちです。
- 相手の前提知識を過大評価してしまう
- 専門用語を無意識に使ってしまう
- 相手の理解度に関わらず先に進めてしまう
例えば、「クリックしてください」と言っても、「左クリック」と「右クリック」の区別がつかない場合、混乱を招きやすくなります。こうした小さな行き違いが「自分には向いていない」という思い込みにつながり、学ぶ意欲を削いでしまうのです。これはパソコンに限らず、相手に社内ルールを説明するときや、社内システムを教えるときにも起こり得ます。
教え上手はここが違う~スキルが定着する3つの共通点
1.「知らなくて当たり前」という前提を伝える
「マウスを持つのが今日初めて」という方に「全員が最初はここからですよ」と伝えるなど、最初に安心感を与えることで、相手の学ぶ姿勢が大きく変わります。「最初は誰でもここから」というマジックワードが、緊張をほぐします。
2.専門用語をかみ砕く
「カーソル=マウスの先の矢印」「タスクバー=画面の下にある帯」など、身近な表現に置き換えることが理解促進につながります。
3.相手のスピードを尊重する
ベテラン社員ほど「遅いと思われたくない」という意識を抱きやすいものです。焦らせず、相手のペースに合わせることで安心感と意欲が高まります。
理解が進む4つの工夫は「分ける・やる・成功・基礎」
作業をステップに分ける
例えば「Wordで文書を作り保存する」なら、①Wordを開く → ②文字入力 → ③名前を付けて保存、のように小さく区切ると理解が進みやすくなります。
見せる → 一緒にやる → 自分でやる
まず操作を見せ、次に一緒に行い、最後に本人に任せる。この流れが「できた」という実感を生み、定着を促します。
小さな成功体験を積ませる
「保存できた」「印刷できた」といった達成を積み重ねることで、苦手意識が徐々に薄れていきます。
必ず基礎操作から教える
アプリの画面は変化しても、基本的な操作概念を理解していれば応用が効きます。短期的な操作習得ではなく、長期的な定着を意識しましょう。
よくあるつまずきから学ぶ更なる工夫~専門用語・情報過多・質問できない
ケース1:専門用語をつかった操作ができない
つまずき例と工夫:クリックとダブルクリックを混同していた人に「カチっと一回」「カチカチ二回」とリズムで伝えると、理解が一気に進みました。
感覚的な部分は比喩やリズムで伝えると理解しやすくなります。
ケース2:画面の情報が多すぎて混乱
つまずき例と工夫:操作マニュアルを配布したところ、「どこを見ればいいのか分からない」と目が泳いでしまいました。画面キャプチャに赤枠をつけるだけで、注目ポイントが分かったと言っていただけました。
「どこを見ればよいのか」を明示することで安心感が生まれます。必要箇所を強調するなどの工夫が有効です。
ケース3:質問できずに沈黙
つまずき例と工夫:「何かあれば質問してください」では遠慮されます。「ここは分かりにくいところなので、分からなくて当たり前ですよ」と声をかけると質問が一気に増えました。
質問しやすい空気づくりが安心感につながります。空気づくりのために「できなくてあたり前、最初は誰でもここから」など、寄り添う声がけが有効です。
教える人に必要なのは「知識」よりも「寄り添う姿勢」
大事なのは知識量よりも「相手の気持ちに寄り添う姿勢」です。
- できないことを責めない
- できたことをきちんと認める
知識が豊富な人よりも「安心させる言葉」をかけられる人のほうが相手のスキルを伸ばします。知識を一方的に伝えるよりも、安心できる関係を築くことがポイントです。
成果を決めるのは「操作」より「教え方」
未経験者に何かを教える際に最も大事なのは、正確な知識よりも、安心感を与え、成功体験を積ませる伝え方です。
明日から実践できるポイント
「一緒にやりましょう」と一言添えてみてください。きっと相手の表情が変わります。
まとめ:未経験者を迷子にしない3つの指導ポイント
- 「知らなくて当たり前」の姿勢で接する
- 専門用語はかみ砕いて説明する
- 小さな成功体験を積ませる
パソコン操作をサポートする場でのちょっとした工夫が、「できない」から「やれるかもしれない」への変化を生み出します。
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