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【エフェクチュエーション6】飛行機の中のパイロットの原則~自分がコントロールできる領域内の優先順位をつける

コラム【エフェクチュエーション5】ではではエフェクチュエーションを構成する5つの原則の4つ目「レモネードの原則」で、予期せぬ困難は職員の成長機会にしてしまおうと提案しました。

さて、ここではいよいよ、エフェクチュエーションを構成する5つの原則の5つ目「パイロットの原則(Pilot in the Plane Principle)」をみていきます。

原則➄パイロットの原則(Pilot in the Plane Principle)

飛行機の中のパイロットの原則は、未来を予測することよりも、自分でコントロール可能な領域を見極め、現在の行動で未来をつくっていくという姿勢を示しています。この原則は、エフェクチュエーションの集大成とも言える概念であり、極めて実践的な考え方を含んでいます。多くの組織で見られる停滞の要因として、判断待ちや依存型の行動が挙げられますが、パイロットの原則はそれらを解消し、個人が状況に応じて最適なアクションを選べる状態を目指します。

現場を動かす自律的な意思決定力を高める

現場では、自分の裁量で動ける範囲を把握している職員ほど、変化に強く、自律的に動く傾向があります。一方で、自身がどこまで判断してよいかが不明確な職員は、小さな決断でも上司の承認を求め、業務スピードが低下しがちです。この原則では、全体を完全に管理するのではなく、自分が影響を及ぼせる領域を適切に理解し、そこに集中することが重視されます。まさに航空機のパイロットが、予測困難な気象条件の中で冷静に優先順位をつけ、安全に運航する姿と重なります。

「いま、ここ」に集中し、判断の基準を明確にするスキルを育てる

パイロットの原則で最も重要とされるのは、「目の前の状況に集中し、今すべき判断に優先順位をつける」力です。これを人材育成に応用する場合、情報の真偽をきちんと見極めること、適切に判断するための基準を教えることとして落とし込むとよいでしょう。判断に必要のない、直接は関係のない情報を排除して、メンバーが迷いやすい状況を減らす仕組みをつくるように努めます。優先順位付けができないまま業務を抱え込むと、判断が後手に回り、組織全体のスピードが低下します。

何が職場で一番重要なものか?~組織理念が行動に表れている状態をつくる

この場面で有効なのが、判断の基準を事前に共有することです。例えば顧客満足を最優先とする現場であれば、顧客にとっての損失を最小化する行動を優先することを浸透させます。生産性向上を重視する部署であれば、まずはボトルネックの解消に直結する業務を優先します。判断基準は抽象的なものではなく、具体的に言語化し、常に立ち返れるようにしておく必要があります。行動基準のもとになるもの。多くは「組織理念」がそれにあたります。

管理職の判断を助ける一般職メンバーの働き~想定数と練習数で困難に強くなる

人事が着手すべきことは、各部門と連携して判断基準を整理し、マニュアルではなく行動指針として共有することです。そのうえで、管理職向けには現場でどのように判断を下していくかを学ばせます。さらに、若手向けには上司の判断をサポートする好ましい報告や相談、フォローの仕方を身につけさせるとよいでしょう。現実に近い状況の中で判断の練習を繰り返すことで、判断力は確実に鍛えられます。

評価制度の設計においても、結果だけでなく「適切な判断を行ったプロセス」を評価対象とすることで、判断力そのものが重要な能力として認識されるようになります。

段取り力とリスク予測力を磨き、自律的な行動を促す環境を整える

パイロットの原則においては、段取り力が極めて重要です。自分でコントロールできる領域を理解したうえで、どの順序で行動するか、どのタイミングで誰に情報を伝えるかを適切に整理することで、業務は安定し、トラブルにも強くなります。段取り力が弱い社員・職員は、優先順位の判断が曖昧になり、仕事全体の見通しを立てることが難しくなります。これは教育によって改善が可能であり、マインドセットや技法を体系的に学ぶことで業務遂行力は大きく向上します。

どんなリスクがあるのかを知っておくこと、対策を増やすことで冷静さを保つ

また、自律的に働くためには、リスクの種類を理解し、事前にどのような行動をとるべきかを知っておく必要があります。リスク予測といっても、将来を完全に予測することではなく、起こりうる範囲のリスクを事前に想定し、対応策の選択肢を準備しておくことが目的です。このことによって、予期せぬ出来事が発生しても冷静に対処しやすくなります。

業務の棚卸しや作業手順の可視化、情報伝達のポイントなどを演習形式で習得することで、職員の業務遂行力は大幅に向上します。また、リスク予測のスキルを育てるために、現場のトラブル事例を集め、場面ごとの判断ポイントを整理した教材を作成すると効果的です。さらに、管理職向けには、部下の判断を尊重しつつ、適切にフォローするためのマネジメントスキルを学ぶ場を提供します。

評価制度においては、段取りの良さやリスクを踏まえた行動など、プロセスの質を評価する項目を追加することで、自律的に働く文化が育ちやすくなります。

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