地方公務員の不祥事撲滅・信頼獲得に向けたカギは「地方公務員法」の徹底的な理解~あるべき姿を法律から学ぶ

- 酒気帯び/飲酒運転により検挙される
- 勤務時間中に私的な目的でインターネットやSNSを利用する
- 週末などに、自身の業務と関連のある副業に従事し、報酬を得る
以上の事例は、地方公務員の不祥事として報道されたものの一部です。こうした事例はどのような根拠で禁じられており、どうすればなくせるのか。すべての地方公務員の方に身につけていただきたい法律である、地方公務員法について解説します。
地方公務員のあるべき姿は「地方公務員法」に描かれている
全体の奉仕者としてあらゆる住民に信頼され、行政・地方自治の専門家として組織の民主的・能率的な運営へ主体的に関与する。このような地方公務員の「あるべき姿」に沿って活躍をする職員の方はたくさんいます。
その一方で、住民からの信頼が損なわれ、組織全体の士気にも影響が及ぶような不祥事の報道を見聞きすることも少なくありません。地方公務員の方が「あるべき姿」を意識し、関係者から信頼を得られる言動を徹底するために身につけておきたい知識の一つが、「地方公務員法」です。
地方公務員法で最も紙幅を割いて定義されている「あるべき姿」の側面の一つは、服務です。
- 服務:公務員が職務遂行上又は公務員としての身分を有することによって守るべき義務や規律のこと
勤務中のSNS利用が「職務専念義務違反」になる理由
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない(地方公務員法第三十条)
地方公務員のあるべき姿を端的に記したこの条文から始まる「第六節 服務」においては、職員が遵守すべき項目を列挙しています。ここでは、その一部を紐解き、ニュースなどで見聞きする不祥事が、地方公務員法で規定される姿とのかい離によって起こっていることを解説します。
1.飲酒運転・SNS投稿は「信用失墜行為」に当たる
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない(地方公務員法第三十三条)
一人の職員の言動が、組織全体の信頼を損ねることにつながり、そうした不利益を防ぐために規定をされています。「酒気帯び/飲酒運転により検挙される」「組織の内外でハラスメント行為を行う」「SNSで不適切な内容を投稿する」などが該当します。
2.職務専念義務~勤務時間中のよそ事は法令違反
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない(地方公務員法第三十五条)
全体の奉仕者として公共の利益のために働くことが求められる職員が、責務を全うするために定められたものです。職員が「勤務時間中に私的な目的でインターネットやSNSを利用する」ことは、法律で明確に制限されており、法令で定められた基準により処分が科されます。
3.営利企業への従事等の制限~任命権者の許可が兼業可否の論点
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない(後略)(地方公務員法第三十八条)
職員の職務遂行上の能率や品位、公正さを担保するために規定されています。任命権者の許可を得ずに「自身の業務と関連のある副業に従事し、報酬を得る」ことは、週末など勤務時間外であっても、制限されています。
ただし、地方公務員法はあらゆる兼業を禁じているわけではありません。任命権者の許可があれば兼業も可能としていることから、地域貢献や社会貢献に資するものは、一部の地方公共団体で解禁する動きも出ています。
こうした変化も、あくまで地方公務員法の枠内で行われており、条文の中で注目する点が時代とともに変化しているといえます。
以上の項目をはじめ、地方公務員法で定められた服務に違反した場合、懲戒処分が科されます。「地方公務員法に違反した場合は懲戒処分の事由となる」「懲戒処分には戒告・減給・停職・免職の種類がある」「懲戒の手続や効果は条例で定めなければならない」など、処分についても明確に規定されています。地方公務員法は、まさに職員にとっての「ルールブック」なのです。
地方公務員法は服務だけじゃない~評価・研修・福利も定める「働き方のルール」
地方公務員法は、数年に一度のペースで改正されています。2014年の改正により、組織全体の士気高揚や公務能率の向上を狙いとして、人事評価が義務化されました。地方公務員法は、服務だけでなく、評価制度や研修、厚生福利制度など、働き方全体に関して規定しています。
この意味で、地方公務員法は、職員が働くうえでの「羅針盤」とも捉えられます。
不祥事ゼロの組織づくり~地方公務員法を現場に浸透させる方法
地方公務員による不祥事を根絶し、職員や組織全体が住民から信頼されるようになるための第一歩こそが、職員全体への地方公務員法の浸透です。
- 新任職員へ、地方公務員法の全体像を解説する研修を実施
- 自組織で起きた事例などを盛り込んだ、地方公務員法の内容をより身近に理解できる資料の作成・配布
- 日常の中で内容を振り返れるような教材の準備
このような方法で、職員全体の法令知識の底上げと、理解の定着を図ることが大切です。
地方公務員法と制度を知る研修
本研修では、地方公務員として採用された方に必要な基本知識と地方公務員法について学びます。
法律と地方公務員制度のポイントを短時間で学べる内容になっています。講義中心の内容ではありますが、○×での確認テストを設け、メリハリのある進行ができるようにしています。
本研修のゴール
- 地方公務員法について理解する
- 地方公務員として働くうえで必要な知識を得る
よくあるお悩み・ニーズ
- 地方公務員としての基本知識を得て業務をスタートしてほしい
- 地方公務員法について改めて知識を得てほしい
セットでおすすめの研修・サービス
不祥事撲滅~公務員編
「不祥事を起こしたら、どのような結末をたどるのか」「個人や組織全体で、不祥事撲滅に向けてどのような取り組みが有効か」にフォーカスして解説し、意識の醸成を図れる動画です。
具体的な事例なども取り上げ、不祥事は他人事ではなく、組織の仕組みと個人の倫理観によって真剣に防止策を講じなければならないことを認識いただけるような動画にしております。
飲酒運転撲滅~公務員編
本動画は、飲酒運転の危険性と防止策を学ぶ内容です。飲酒運転は死亡事故率が約7倍と極めて危険で、公務員が行えば重い懲戒処分を受けます。
アルコールが抜けるまでの時間の計算方法なども解説し、再発防止とコンプライアンス意識向上を図ります。
行政法基礎講座トータルパッケージ
インソースでは、地方公務員法以外にも、職員の方に身近な法令を解説する動画や研修を取り揃えております。
その一つである「行政法」動画教材は、行政法の3領域(行政組織法・行政作用法・行政救済法)を体系的に学び、行政運営の土台を理解いただける内容となっています。



