内部通報に頼らない改善の仕組み~声を聴かない組織に炎上の芽は潜む
近年、内部通報件数は増加傾向にあります※。
その理由は様々ですが、「なかなか上司や周りに相談できない」「部署での人間関係がうまくいっていない」「相談したのに、上司が対応してくれない」と、意外にも職場環境を改善することで解決できる内容のものもあります。
ささいな不満も相談できない環境は、やがて離職やハラスメントといった問題の火種となりえます。火種は「不満」ではなく、「声を上げられない職場環境」にあるのです。管理職にはまず、部下が思い悩んだ結果として内部通報を行う前に相談できる環境を作る必要があります。
※消費者庁「民間事業者の内部通報対応 -実態調査結果概要-」(令和6年4月)より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/research/assets/research_240426_0001.pdf(最終アクセス:2025/10/29)
仕組み化で従業員と管理職の負担を軽減
いざ相談できる環境をつくり、良くしていこうと思い立っても、その場限りの対応では効果は期待できません。従業員・管理職ともに慣れないことをして疲弊するのが目に見えています。仕組み化し、日常の一コマで取り組めることからはじめていくことをおすすめします。
月1回30分の1対1面談が有効
1対1面談は、フィードバックを通じた育成やキャリア開発支援で実施されるケースが多いですが、部下の悩みや不安・不満の把握にも効果的です。ポイントは、月1回30分、難しければ10分でもいいので、高頻度かつ定期的に実施すること。短いインターバルの中で面談を重ねることでお互いの心理的距離が縮まり、部下が本音を話しやすくなります。
日報への返信も部下の安心感につながる
部下が日々提出する日報も、大事なコミュニケーションツールです。ただ読むのではなく、リアクション(いいねマークひとつ)だけでも、部下は上司が気にかけてくれていると安心できます。
悩みごとや、良い気づきが書かれていれば、コメントも返すようにすると、さらなる安心感につながります。ポイントは、指摘にばかり走らずポジティブ&寄り添うような言葉選びをすること。部下のミスや新たな気づきは、改善の有効なネタでもあります。時に注意が必要なこともありますが、まずは部下の気づきを大切にし、翌日の業務を前向きに始められる返答ができているか、読み返してみてください。
声を聴かない組織に、炎上の芽は潜む
従業員が不満を抱くことは、日常的にあるものです。それを拾い上げ、改善につなげられるかが重要です。小さな不満が大きな火種とならないよう、まずは風通しのよい職場づくりができているかを見直してみませんか。
職場づくりに関するよくある質問(FAQ)
風通しのよい職場づくりに向けた取り組みを進めるうえで、管理職や人事の方からよく寄せられる疑問があります。ここからは、実際に多くの企業で寄せられる質問にお答えしながら、押さえておきたいポイントをご紹介します。
Q1. 内部通報が多い職場は「悪い職場環境」と考えるべきでしょうか
内部通報が多いからといって必ずしも悪い職場とは限りません。むしろ制度が機能している証拠でもあります。しかし、通報件数が増える背景には「部内で解決できない風土」があることが多く、働きやすい職場環境づくりが求められます。
Q2. 社員がストレスをためないために管理職ができることは何ですか
小さな相談を歓迎し、否定せずに受け止めることが第一歩です。さらに、改善提案が反映された事例を共有することで、社員が「声を上げても無駄ではない」と感じられる環境を整えましょう。
Q3. 経営にとって「相談できる環境」を整えるメリットは何ですか
早期に課題を発見・解決できるため、大きな不祥事や離職につながる前に対処できます。これはリスク管理の観点からも極めて重要であり、結果としてコスト削減や組織の信頼維持につながります。
Q4. 社員が意見を言わない理由にはどのようなものがありますか
多くの場合、「意見を言っても変わらない」 という諦めや、「発言で評価が下がるのでは」 という不安が原因です。管理職が意見を歓迎し、改善につなげる姿勢を見せることで、こうした心理的ハードルは下がります。
Q5. 働きやすい職場環境づくりは離職防止にもつながりますか
はい。相談しやすい職場では社員が孤立せず、ストレスをためないで働けるため、離職意向が下がります。さらに、改善が繰り返される環境は社員のエンゲージメントを高め、優秀人材の定着にも直結します。経営にとって大きなリスクである人材流出を防ぐ上で極めて有効です。
1対1面談研修~効果的な面談を実施するためのポイントを学ぶ(1日間)
1対1面談を運用する企業が増えてきた一方、「部下育成につながる1対1面談を行うのが難しい」「話す内容がなくなってしまい、実施の頻度が減っている」とのお悩みが多く聞かれます。
本研修では、1対1面談をどのように進めていけばよいのか、基礎から習得します。1対1面談でよく扱う4つのテーマごとに、面談を進める際のポイントを学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 既に1対1面談を実施しているものの、効果を実感できていない
- これから1対1面談を導入するが、どのように進めていけばよいか分からない
- 1対1面談を実施しているが、話すことがなくなり、実施頻度が減ってしまっている
研修のゴール
- 1対1面談の基本的な進め方を理解する
- 1対1面談を通じて、部下のモチベーションを向上できるようになる
- 1対1面談を通じて、部下の成長を促進できるようになる
セットでおすすめのサービス
管理職研修~「風通しのよい職場づくり」で職場環境を整える編(1日間)
「風通しのよい職場づくり」に取り組む組織は多いですが、具体的な役割が見えないというお悩みをお持ちの管理職の方は少なくありません。
風通しのよい職場とはどのような環境であるべきかを正しく理解し、職場改善するために、管理職として必要な意識・取り組みについて学びます。
(管理職向け)心理的安全性を高め、チームの健全な挑戦を促すプラン
本プランでは、1回目の研修で心理的安全性を担保するための管理職の心構えやチーム内でのコミュニケーションの取り方を行います。
2回目の研修では、悪い報告がすぐに上がってくる「前向きなリスクマネジメント」の基本を学びます。さらに最終回では、制約のある状況下でも組織目標の達成に向けた変革を先導する力を身につけていただくことを目的としています。
コミュニケーション最適化講座~バランスの取れた意思疎通で生産性を高める
トヨタ生産方式の「ジャスト・イン・タイム」の考え方を応用した「ジャストコミュニケーション」の実践方法を、6つの要素(目的・量・質・タイミング・伝え方・引き取り)に分けて解説します。
世代間の価値観の違いやテレワークなど、多様な働き方の中でも円滑なコミュニケーションを実現するための具体的なノウハウを習得いただきます。






