大きな絵を描くことは重要か?|経営の方法論3

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マネージャーのトップは経営者です。今回は経営者にフォーカスを当てて「大きな絵」について書きます。
経営者にとって「大きな絵」は必要か?
世の中には「経営者は大きな絵を描いて、大きなことをすべきだ!」などと言う方もいそうですが、こういう人に対し、舟橋社長でしたら、どう反論されますか?とのお話がありました。
正直に言って、私は大きな絵など持ち合わせず、経営者をやってきました。最近やっと大きな絵らしきものが見えてきたかなという状況です。なので、会社規模が小さな時は絶対に必要という訳ではないけど、会社規模が大きくなり、利害関係者が増えれば、必要なのだと最近思っています。
会社規模が小さいうちは事業を継続させているだけで素晴らしい
会社規模が小さいうちは、事業を継続させるために、それどころではないと思います。売上をなんとか確保し、仕入れや給与、家賃を支払うので精一杯だと思います。やるべきことがたくさんあり、大きな絵を描く余裕はないのが現実でしょう。私も創業当初、苦労しましたので、事業を継続していることだけでも、とても素晴らしいと思います。
会社規模が大きくなれば組織牽引のために「大きな絵」が必要
会社規模が小さく、従業員や株主など、利害関係者が少人数であれば、人柄や必死になって企業を支えて奮闘する姿を見せるだけでも、組織を牽引していくことができると思います。ただ、会社規模が大きくなり、従業員が増え、株主など利害関係者が増えてくると、組織を牽引するために大きな絵が必要になるのです。社員や株主に「大きな絵」を見せて、この経営者に乗っかっていけば、まあ大丈夫、会社は発展するし、株価も上がるだろうと思ってくれれば成功です。
「大きな絵」の構想に経営者の伝記やビジネスモデルの書籍は必読
私が大きな絵を構想する際、参考にしているのは、過去の名経営者の伝記の中にある、さまざまなビジネス知識と現代経営学の成果です。書籍や研修(これはインソースでもやっています)などを通じて、これら謦咳に接することで、大きな絵の構想に活用しています。この両輪でビジネスを進めていると言えます。
研修管理システムは『トヨタ生産方式』(大野耐一著)を参考に開発
インソースの研修サービスで特徴的なのは「講義を担当する講師」と「研修を作るコンテンツクリエイター」と「顧客対応をする営業担当者」の3つを分離し、分業していることです。小さな研修会社では、3つを一人が担当していることも良くあります。分業すれば講義が上手な講師が、テキスト作成に時間を取られないので、年間200日、常に最新のコンテンツで登壇でき、良いサービスを廉価に提供できるのです。トヨタ生産方式のカンバン方式を参考に、システムを開発し実現できています。
公開講座は『小倉昌夫の経営学』(小倉昌夫著)を参考に運営
小倉昌夫氏は宅急便の発明者です。氏の著書の中に宅急便の収支の合わせ方が書かれており、トラック1台あたりの収支をできるだけ黒字化すると同時に、事業全体を黒字化するという2ステップで、採算管理をしていることが書かれています。公開講座も1開催あたりの黒字化と、全体の黒字化をバランスさせるように設計しています。
事業運営は『リクルートのDNA』(江副浩正著)を参考に運営
創業期のリクルートの方法論を、インソースの事業運営に、大いに参考にさせてもらっています。この本はベンチャー企業経営のバイブルと言ってもいい本です。何回も何回も拝読しました。採用力強化の方法も、大いに参考にさせていただきました。
目立つビルを建てれば、人材が確保できるという内容のことが書かれています。九州での事業拡大を狙い、博多駅の隣で福岡県庁近くの、吉塚駅に近い場所に新築ビルを建てました。その結果、優秀な人材が多数確保でき、コンテンツ開発力を大いに強化できました。
難解な現代経営学も「両利きの経営」のように実務的な示唆を与えてくれる
現代経営学は数式が多数入っていたり、とっつき悪く、難しいところがありますが、内容を把握しておくと、構想を実現する際、大いに手助けになります。
一例であげると、組織行動論で知られるジェームズ・マーチの「両利きの経営」は、既存事業・既存顧客・既存プロセスから確実に利益を出す「効率化」と、新規事業・新技術・新市場から将来の成長をつくる「挑戦」の、相反する2つを同時にやることです。
既存事業と新規事業を組織的に分離し、評価やKPI、人材要件も分けるという手法は、なるほどと思うことが多々あります。業績が気になる経営者としては、物差しを変える重要性を示唆し、実務的に貴重な考えを与えてくれるものだと思います。
大きな絵の実現には筋トレのようなコツコツ続ける努力が求められる
大きな絵を描いた以上、それを実現するために必要な計画を立て、徹底的に準備し、実現していく努力が求められます。経営する企業を必ず大成長させる友人に、最近久しぶりに会いました。知り合った20年前と変わらない、溌溂とした外見でした。聞くと数年前から毎日、出社前にジムに通い、筋トレを続けているとのことでした。
筋肉はコツコツ運動を続けないと、成長しません。逆に言えば、コツコツ飽きずにやっていると、必ず筋肉の成長という成果につながります。友人は毎日、大胆に売上を伸ばす戦略を考え、画期的な業務改善を検討し、コツコツ実行してきた結果、新しいビジネスモデルを考案し、非凡な成果を出しているのでしょう。
成長意欲の源泉は「社会を良くしたい」という使命感にある
ある程度の成功や成長を収めてしまうと、創業時や経営者になったばかりの頃のモチベーションが失われてしまう人も、たくさん見てきました。今までの苦労を考えると、楽しく人生をエンジョイするのも、悪いことではないと思います。
一方、先の友人のように、強烈に成長意欲を持っている人は、おしなべて、社会を自分の手で良くしたい、よりよくできるはずだという「使命感」と「自負心」を持っていると思います。人に褒められたいとも、評価されたいとも思っていないのです。結果的に「大きな絵」は、自らの内から出た強い欲求でしょう。
楽観性と行動力~「大きな絵」を実現するために
目標達成に向け活動していると、絶えずなにかしら困難な状況はやってきます。そこで経営者が「もうダメだ」と考え、表情を曇らせれば、周りは不安になって意欲をなくしてしまいます。平気な顔で「大丈夫」と言える楽観性と、あきらめず打開策を求めて動き回る行動力が必要だと思います。逆に、自分の悲観や憤懣など、ネガティブな感情を出し過ぎるのは、やめておいたほうがいいと思います。明るくて損はありません。
天才や強運な人は最初から「大きな絵」を描いて突っ走るのも賛成
永くビジネスパーソンをやっていると、さまざまな人に出会います。「天才」や「運のよい人」は、最初から大きな絵を描いて突っ走ればよいと思います。こういった人は、周囲の人や出会う人に恵まれ、また、社会も良いように変化するので、どんなにビジョンが大きくても、結果的に実現している気がします。超自然的な力が応援しているのかもしれません。非論理的かもしれませんが、今はそう思います。
ただ、「運に恵まれた」と公言している人は、激烈に勉強し、努力していて、それを忘れているような方が多いように思います。自分に才能や運がないと思えば、勉強しつつ、定石通りコツコツ経営を、飽くことなくやっていくのが極めて大事だと思います。
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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)
1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。



