株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

パーパスを組織マネジメントに活用する~組織に活力が欲しい時|経営の方法論15

パーパスを組織マネジメントに活用する~組織に活力が欲しい時|経営の方法論15

※上記画像は生成AIで作成|AIのビジネス活用ならインソースのAI・DX推進サービスへ

パーパス、ビジョン、ミッションは、人や組織によって使い方が多様ですが、その差異を議論するのは建設的ではありません。それより、経営者やリーダーの立場にある方々は、これらを組織運営の円滑化や企業成長に活用することをお勧めします。特にメンバーに自律的に働いてもらう際は、パーパスを定め、組織マネジメントに使っていくのが良いと考えます。

パーパスは「天命」、超自然的な使命

昨今、パーパス(Purpose)やパーパス経営という言葉を、よく目にするようになりました。一般的な解釈としては、パーパスとは、「企業固有の存在意義、企業固有の使命」とされていますが、私はパーパスを「天命」、超自然的な絶対の存在である「天」からの使命であると解釈しています(この「天」は「社会」と読み替えていただいても構いません)。

ブレイクダウンすると、「この世の中をより良くするために、天(あるいは社会)が、自社に期待していること」「自社が企業として、天(あるいは社会)から生存を許されている理由」であると考えています。

ビジョンは自ら定義したありたい姿、ミッションは実現のロードマップ

ビジョンやミッションとよく似ているなと感じられる方もいらっしゃると思います。「ビジョン」とは、組織自らが考える「ありたい姿」、「見られたい姿」のことです。その目指している姿を具体的に表現するために、自社がどうあるべきかを自ら定義したものと解しています。

また、「ミッション」とは、ビジョンを実現するためにやらなければならない仕事のことです。つまり「ビジョン」を行動に移すための具体的なロードマップと考えればいいと思います。

組織において責任や権限は常にあいまい~職務記述書の限界

リーダー(もしくは経営者)の最も重要な仕事の一つは、適切に部下やメンバーに仕事を割り当てることです。そして、自らの代行者として判断・実行するための権限を与え、円滑に事業の運営と成長を図ることです。

しかし、これがなかなかうまくいきません。社内外の環境変化に伴い、新たに発生しうる業務を想定した上で、ジョブディスクリプションを書き、権限を与えるのはまず不可能です。よって、仕事の責任範囲や与える権限は常にあいまいにならざるを得ません。

あいまいな仕事を拾うことが本来の仕事

常に想定外の事態が発生する中で、部下メンバーが「自分の仕事はジョブディスクリプションで記載された仕事だけ」と解釈し、行間に落ちるあいまいな仕事を自らの職務として積極的に拾っていく意識がなければ、ビジネスチャンスの喪失、非効率の発生、大事故などが頻発しかねず、成長はおろか安定した事業継続もできません。

「あいまいさ」に打ち勝つためにパーパスを活用する

問題は、責任や権限が明確でないところで発生します。それをカバーするためには、起こりうるあらゆる事象を、自らの職務と捉える、いわば「あいまいさに強い人材の集合体」に組織を変えていく必要があります。

そこでパーパスの出番となります。パーパス(組織の使命、天命)を明確にし、組織に浸透させれば、個々の社員がそれを拠り所として、あいまいなことに対し、自分ごととして適切な判断、対応ができるようになります。

パーパスは職務権限を越える上位概念

仕事を金銭的な報酬を得るための手段とだけ捉えると、明文化された仕事以外には果たす責任はないので、余計なことに手を出さないのは至極当然だと思います。

一方、パーパス(天命)実現のために自らの仕事があると捉えると、発生するどんなことも自分の職務と考え、迷いなく関与することが当たり前になります。パーパスは天命ですから、そこに疑念を挟む余地はなく、文書化された職務権限があろうとなかろうと、責任を果たす必要があるからです。このようにパーパスは明文化された職務権限を埋め、上位概念として機能します。

インソースでの「パーパス」例

インソースのパーパスは「働くを楽しく」ですが、具体的には、スピード感を持って、社会課題を解決することです。これは、私が明文化する前から、メンバー全体の気持ちや、欲求の中にあったものであるように思います。当社に集まって来るのは、人に喜ばれることをするのが好きと考える人材であり、その結果、なんとなくできた気がします。

当社においては、社会課題の解決というパーパスを共有することが一体感を醸成し、働く意欲向上につながっていると思います。また、パーパスの存在が判断力の強化、スピード感を持った行動、困難な課題へのチャレンジに有効なのだと感じています。

特性アセスメント「ジラフ」の効果

採用の際、自社で開発したアセスメント「ジラフ」を受験してもらっています。その中で『あいまい性への耐性』評価を採用判断の決め手の一つにしています。「あいまいさ」に強い人材は入社後の業績貢献が高いからです。パーパスが当社に有効なのは、これも理由の一つにあるのかもしれません。

社員の働く理由をシンプルに統一すると活力は増す

明文化されているかどうかに関わらず、パーパスはあらゆる組織に存在するのではないかと考えます。リーダーの皆さんは、改めて自社のパーパスを感じ、それを言語化し、メンバーに伝え、パーパス実現こそが仕事であると宣言すべきだと思います。社員の働く理由がシンプルに統一できれば、組織のベクトルが揃うので、組織の活力は今まで以上に強化されます。活力が欲しい企業は、今すぐでもパーパスを中核にした経営に移行すべきと考えます。

ジョブ制導入の前にパーパスの浸透を

また、昨今、ジョブ型雇用の議論が盛んですが、導入前にパーパスの明文化、組織への浸透を急ぐべきだと考えます。パーパスが職務における判断基準の、最上位概念であることが浸透すれば、あいまいな仕事を『私の職務の範囲外です』と言って、明示された好きなことだけやればいいと考える、間違った「ジョブ型大好き社員」が発生することが防止でき、本来の意味でのJOB型雇用実現に近づくと考えます。

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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

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