株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

経営サイクルを知る|経営の方法論1

経営サイクルを知る|経営の方法論1

※上記画像は生成AIで作成|AIのビジネス活用ならインソースのAI・DX推進サービスへ

企業経営や営業活動に、特別な才能が必要であるとは思っていません。努力や熱意次第で、誰でも一定レベルに到達可能だと考えます。

銀行員時代、「マネジメントとか経営とか、そういうものは、たぶん君には無理だろう。専門職を目指しなさい」と言われた私でも、20年以上、経営者をやり、東証プライム企業の社長をなんとかやっているのですから。

誰でもできる、分かる、経営の基本ルールみたいなものをお伝えしていきます。

経営サイクルを知る~企業経営で重視すべきことには順番がある

私は「経営サイクル」と呼んでいますが、企業経営の基本原則があります。企業経営において、重視すべきこと、やるべきことには順番があります。

  1. 一番大事なのは売り上げを確保すること
  2. 二番目は利益を確保すること
  3. 三番目は投資(社員増、給与増、設備投資、新商品開発や研究開発)
  4. 四番目は管理部門(人事、経営管理)強化、新分野進出、ESGなどいろんなこと

この順番通り、企業サイクルを回していけば、だいたいの企業は安定的に成長します。社員としては儲かったら、すぐ賃上げして欲しいと思うものですが、最優先は経営サイクルを早期に確立することです。経営が安定していれば、継続的な処遇改善のしくみを構築できます。一方、経営サイクルが順番通りでない企業活動は、事業の停滞や経営破綻を招くと言っても過言ではありません(もちろん例外は多数ありますが)。

経営サイクル1.売上確保

営業は経営の本業~今、自社にある商品やサービスを徹底的に売るのが基本

まず売上確保ですが、営業活動は経営の本業と言っても過言ではありません。まずは今、自社にある商品やサービスを徹底的に売るのが基本です。

最近、中古品の売買が盛んです。50年前の壊れたステレオでも、驚くような価格で販売されています。一般の人には粗大ごみにしか見えないようなものでも、欲しい方はいるし、支払ってもよい価格があります。営業活動とは、今、自社にある商品を買ってくださる方を見つけ、利益の出る価格で、なんとか販売することです。

売上が先、投資は後~売上アップで資金確保が優先

よく「わが社の商品やサービスは、充分でないから売れない」という営業マネージャーがいます。売上、利益が確実でない段階で、投資を先行すれば、早晩、資金不足に陥ってしまい、最悪、倒産することになります。資金が不十分な状況での先行投資は危険です。今ここにあるものを徹底的に売る方法を考え、行動するのが最優先です。

ベンチャー企業は往々にして、売上を十分に確保する前に、広告宣伝費をかけすぎたり、社員数を先に増やしたり、次々と新分野に進出したりして、資金を使い果たしてしまう会社が多く、残念に思います。

簡単に断らないことが将来の売上確保になる~商品・サービスを上位概念で捉えるべき

ただ、営業活動を通じて、新しい顧客ニーズを発見し、将来の売上確保につなげることも重要です。自分たちの商品やサービスを広く捉えることです。「うちはDX研修が本業なので、管理職研修は専門外」と考えていれば、事業は広がりません。専門外でも「研修」という点では同じです。

自社の商品・サービスを上位概念で捉え、幅広に考え、依頼された仕事を「どうやったらできるか?」と考え、売上につなげる努力をしてみるべきです。今も将来も利益が出そうにない、なら断るべきですが、簡単に断っていては、将来の売上確保はできません。

経営サイクル2.利益確保

次に、利益確保です。これは、企業経営を安定させるためには、売れても、売れなくても、コストダウンを常に考えるということです。あらゆる部署、役職のマネージャーであっても、コストダウンへの貢献はできます。利益確保はいつでも意識してください。

コストを下げる努力を継続することは経営の基本

コストダウンは日本の製造業、特に自動車産業の得意技です。トヨタ生産方式は、コストダウン方法の教科書ですね。原価低減、販管費削減を日常業務にする。ビジネスが上手くいっていても、変わらずコストダウンを継続することは難しいものです。

インソースでも継続的な業務のDX化、日常的な販管費削減活動を行っていたつもりでした。しかし、コロナ禍で売上が落ちた際、販管費の見直しをしましたが、びっくりするぐらいの冗費が出ました。常にコストを下げる努力を継続することは、経営の基本だと改めて思いました。

内製化でコストダウン

以前、ある講演会でアイリスオーヤマの大山会長が「当社ではネジ一本でも内製化している」とおっしゃっていました。昔は外注先の下請け企業の方が、従業員の給料が安かった。だから外注はコストダウンになった。しかし、今は下請け先も給料が変わらない。外注を2回入れると利益は半分になってしまう。だから内製化だと。本業にかかわるところは内製化する。これが、コストダウンの方法ですね。

経営サイクル3.投資をする

投資については、資金が潤沢であれば、積極的にアクセルを踏むべきです。インソースでは人材とDXに投資し、特にDXに関しては創業以来70億円ほど使い、今の業績につながっています。

将来の売上のために失敗してでも新しいことにチャレンジする人材は大切

部長以上のマネージャーは「新しいことをする」責務があると、先に書きましたが(※)、将来の売上のための活動を意識して実施すべきです。何もしなければ、手間はかからず、失敗するリスクはありませんが、成果を生むこともありません。

経営者になって思うことは「新しいことをやり、成果を出してくれる部下は引き上げたい」ということです。今の業務から利益を生むことも大事ですが、失敗してでも新しいことにチャレンジする人材は大切だと感じます。

>※コラム「部長の要件~部長は企業の未来を作る仕事」

経営サイクル4.管理体制強化、新分野進出

管理部門への投資は、このサイクルの4番目と言われると、ちょっと釈然としないと思いますが、会社が上手く回り出したら、管理体制の強化です。成長を加速させる管理会計の導入や、人事施策の導入や、コンプライアンスの徹底は、業績の持続的な向上のためには不可欠です。

現実問題として、業績が悪化しても、経営者はすぐクビにはなりませんが、不祥事があればすぐクビになります。すべてのマネージャーにとって内部統制は重要です。

また企業の寿命は30年と言われています。内外の環境変化の中で、企業が同じことを同じようにやっていても成長できません。新分野進出は必要です。儲かっていることに安住しないことが大事です。

マネージャーは経営の現状を知り、経営サイクルが回るように行動すべき

企業経営とは、このサイクルを日々回し続けることです。成長とは、このサイクルをどんどん早く、どんどん大きく回していくことです。また、企業経営者は、売上を第一に、利益、投資、さまざまな活動を調整し、成長を実現することにあります。マネージャーの仕事は、経営サイクルが円滑に回るように貢献することです。

マネージャーは特に指示されなくても、経営の現状を認識し、分析し、決断して、今やるべきことを実行すべきです。例えば、売上で利益確保が難しい時に、過去の計画通りの採用計画や、購買計画を遂行することのないようにすべきです。自部署のミッションは達成しても、会社全体の経営サイクルが回らないことのないようにしてください。

経営サイクル~企業経営の基本ステップ

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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

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