新規事業が発想できない!の新しい打ち手「行動観察フレームワーク(Foresight Creation)」

- 新規事業開発に関する、数々の手法を試してきたが打ち手がなくなってきた
- デザイン思考や発想法を学んではきたが、これだ!と思うものが考えられない
本日は、このような悩みをお持ちの新規事業開発・推進担当の方の突破口となりうる、新価値創造のフレームワーク「Foresight Creation」について、大阪大学フォーサイト株式会社Global Business Managerの河原 沙也加氏に解説していただきました。
※本動画は、2025年12月に開催した無料セミナーの一部抜粋版です。フル版(約60分)の視聴をご希望の方は、以下よりお問合せください。
行動観察とは~「事実」と「知」からインサイトを生み出す
行動観察をご存じですか?
行動観察は、弊社(大阪大学フォーサイト株式会社)代表の松波晴人が強みとしてきた新価値創造のアプローチです。
行動観察(を使った手法)では、「場で観察される事実」と、「学術的な知」を組み合わせ、今まで見えてこなかった新しい仮説(インサイト)を生み出します。そして、その新しい仮説(インサイト)に基づいてサービスや製品を考えることで、新しい価値を創出します。
行動観察の事例~高齢者向け新サービスの開発
具体例として、高齢者向けの新サービスを考えた際の事例をお話しします。松波は実際に、高齢者の方に一日密着し、場で観察される事実(Fact)を収集しました。
その中で、ある女性の高齢者のご自宅に同行した際、家の中に犬の写真が4枚飾られていることに気づきます。しかもその写真が非常にユニークで、卒業式の服を着た子犬の写真が4匹分あったのです。
お話を伺うと、その方は「犬の幼稚園」に、ご自身の飼い犬を4匹通わせていたとのことでした。犬の幼稚園というのは、人間の幼稚園と同じように、犬同士が遊んだり、一緒にご飯を食べたりするサービスで、もちろん送り迎えも必要になるというものです。
高齢者が、サービスを与えたい側にいるという新しい仮説(無意識のニーズ)
この事実に対して、「なぜ?どうして?」という松波の気付きに、社会学の知見(学術的な知)を掛け合わせます。社会学では「人は役割を持つことで幸福感を感じる」という論説があります。これを、行動観察で得た気付きと組み合わせることで、新しい仮説を導きました。
これまで「高齢者の方に対し何を提供すればよいのか」を中心に、私たちはサービスを考え続けてきました。しかし、そうではないのではないか。高齢者はサービスを受けたいのではなく、自分がサービスを提供したい、誰かに貢献したいのではないか。そこにお金や時間を使いたいのではないかという新しい仮説(インサイト)を持つに至りました。
こうした事実と仮説(インサイト)を集め、最終的に高齢者が他者に貢献するためのサービスを開発していきました。新しい仮説(インサイト)は、「サービスを受けたい」から「サービスを提供したい」ということであり、ここで大きく転換が起こっているのがポイントです。
このように、事実とナレッジ(学術的な知)を組み合わせ、新しい仮説を生み出すのが、行動観察の方法論です。
行動観察の本質~無意識下のニーズ・機会・課題を掘り起こす
新しいサービスを考えたい、人の意見を知りたい、社会の動向を知りたいというと、さまざまな調査方法があります。これは、どれが良い・悪いではなく、目的に応じて使い分けることが重要です。
例えば、アンケートやグループインタビューでは、回答者の「顕在的なニーズ・機会・課題」がアウトプットとして得られます。そのため、改善や論理的な整理には非常に有効です。
行動観察は、いわゆる氷山の水面下、本人も見えていない8~9割の部分について、深く理解するアプローチです。だからこそ、イノベーションにつながりやすいということになり、私たちも、この行動観察を重視していることにつながります。つまり、事実(Fact)をもとに学術知と組み合わせて、新しい洞察を得るというアプローチです。
「リフレーム思考」のイノベーション~近代で競争優位を保つために重要な考え方
持続的な競争優位を保つことが、より難しい世の中に変わった
近年、ダートマス大学のD'Aveni名誉教授も指摘していますが、持続的な競争優位を保つことが非常に難しい時代になってきています(ハイパー・コンペティション)。これまで、電話という技術・ツールが、長期間、競争優位を保っていました。しかし現代は、こうした一つのものが長い競争優位を持つということが難しくなってきています。例えばAIの例で、ChatGPTができて、バージョンアップをして、Geminiができてと、競争優位を長期間保つことが難しくなってきています。
だからこそ、イノベーションがさらに重要になっているといえます。競争力を保つためには、この時代にあわせて本当に求められているものを深く理解し、変化を起こし続けなければなりません。
「リフレーム思考」で、深層的な事実を統合して新しい価値を得る
ここで考えるべきことは「リニア思考」と「リフレーム思考」です。
リニア思考:表層的な事実を見て、論理的に整理する考え方
リフレーム思考:様々な事実を見て、深層的なところまで読み解く考え方
行動観察では、リフレーム思考で、深層的な事実を統合して、今まで見えなかった新しい仮説(インサイト)を導き、フォーサイト(新価値)を得ていくことになります。
先ほどの高齢者の事例では、行動観察で、以下のようなことが見えてきました。
表面的な事実
- 高齢社会
- 病院に高齢者が一杯
深層的な事実
- 犬の幼稚園に通わせている
- 孫の海外旅行費を全額出している
- (一人暮らしなのに)新巻鮭を丸ごと買って、近所に配っている
こうした一見バラバラな事実をつなげていくと、「誰かの役に立ちたい」という共通の思いが見えてきます。そこで、「高齢者が貢献する場をつくろう」という、新しい発想に至るわけです。
「リフレーム思考」では、事実に学術知を組み合わせて、新たな仮説(インサイト)を得る
この行動観察のフレームワークで、特に重要なのが、ファクト(事実)とナレッジ(学術的な知)を組み合わせて、新しい仮説・洞察(インサイト)を得る部分です。
これは大学の研究と同じフレームであり、統合・アブダクション(仮説的推論)の進め方です。実際に事象を観察し、先行研究を集め、新しい仮説を導き出します。そのため、私たちは「現場の調査をします」とは言わず、大学の研究と同様に、「一緒に研究をしましょう」という形でプロジェクトを進めています。
「行動観察」と「リフレーム思考」で新価値を生み出すフレームワーク ~「Foresight Creation」の方法論
新価値創造のプロセスを体系的に学ぶことができる
この考え方をさらに体系化したものが、「Foresight Creation(フォーサイト・クリエーション)」です。
大きなポイントは二つあります。
1.新価値創造のプロセスを、体系的に整理している
2.必要なコンピテンシーを8つに分け、それぞれをトレーニングできる形にしている
Foresight Creation 8つのコンピテンシー(8つの玉)
- 着眼力
- アブダクション
- 統合
- リフレーム
- メタファー
- 先見力
- メタ認知
- マインドセット
「デザイン思考」の相手に共感するという考え方も取り入れている
デザイン思考という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。これは、新価値創造の方法論の一つとして良く知られているもので、ひたすら共感せよというのがメインのフレーズです。
物を使う方(相手)のユーザビリティを考え抜き、自分の中に落としこんで、新価値創造を自分の実感を持って進めようとします。しかしこれだけの考え方では、どうしても抽象的になってしまったり、ハードルが高くなってしまったりして、組織で活用するのが難しいということが多くあります。
こういったデザイン思考の学びや、他の理論なども含めてできたのが、Foresight Creationです。一つひとつの玉(コンピテンシー)を磨くと、新価値創造に必要なスキルが一つひとつ養えて、新価値創造がうまくいくということが体系化されています。
Fact/Insight/Foresightを基礎にして、イノベーションのループを回し続ける
Foresight Creationの全体像は、以下図のとおりです。
「Foresight Creation」のプロセスを完結させるためには、この図解の先に「行動(Action)」を加える必要があります。新価値創造の本質は、優れた仮説を立てること自体ではなく、それを実際に形にする「実践」のプロセスにこそあるからです。
私たちも、Fact/Insight/Foresightのプロセスで、「新価値創造を考えました」で終わりではなく、「これを実際に行動に結び付けました」「結果を得ました」「結果から、さらに事実(Fact)を得ます」という、結果の振り返り(Reflection)を行うことで、ループを何度も何度も回すということを重要視しています。
そして、このすべての活動を支える基盤として私たちが大切にしているのが、「マインドセット」です。新価値創造は、どういうスキルや順番で行えば良いかということになってしまいがちですが、「なぜそれをやりたいのか」「どんな思いで価値を創ろうとしているのか」という、その人自身の思いも重要視しています。
※実際のセミナーでは、この後に、花王やその他企業で行った「行動観察→リフレーム→新価値創造」の具体的な事例をご紹介いたしました。ご興味のある方は、以下よりお問合せください。
Foresight Creation の方法論を学べる公開講座を開講中です!
これまで紹介してきた、Foresight Creationの方法論について、より深く学べる公開講座を、大阪大学フォーサイト社・インソースの共催で2種類開講しています。
新規事業研修~行動観察を発展させた新価値創造の方法論「Foresight Creation」~
行動観察の第一人者である松波晴人氏が講師を務めます。
本研修は、新価値創造を行う組織を作り出すにはということがテーマです。組織の観点から、Foresight Creationの具体的なコンピテンシー(8つの玉)について学びます。ここまでご紹介させていただいた新価値創造の方法論をしっかりと学び、組織に取り入れたい方にオススメです。
開催形式:オンライン
発想力強化研修~0→1を生み出すプロトタイピング実践
アート等を通じて、世の中の色々なものを結びつけることを専門にしている、大阪大学フォーサイト株式会社アートワークカタリストの加藤夏来氏が担当します。
このプロトタイピングは、アイデアを素早く具現化して検証を重ねるという手法です。実際に手を動かすことで、アイデアを深める、アイデアを他者に共有する際に役に立つような手法です。実際に手を動かしてみながら、新価値創造の方法論を学びたい方にお勧めです。
開催地:インソース駿河台セミナールーム(東京・御茶ノ水)
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【伴走型】課題解決ワークセッション
新規事業開発など、自社のリアルな課題を解決するための「伴走型ワークショップ」を、研修と同じように「1回単位」でご依頼いただける形式にて、開発いたしました。
本ワークショップの成果物は自社に特化したものになるため、「学び」だけでなく「実益」も得ることが可能です。
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