もし業績不振企業に経営者として着任したら何をするか?|経営の方法論10

※上記画像は生成AIで作成|AIのビジネス活用ならインソースのAI・DX推進サービスへ
先日、中堅企業の経営者の集まりに参加しました。その際、伝統的な業界の若い経営者の方から「どうやったら業績や営業利益を伸ばせるのですか」と聞かれました。パーティの最中だったので、あまり時間がなく、うまく話せませんでしたが、私のような普通の人でも業績を上げていくには、いくつか方法があると思います。
ここでは、仮に私が経営者として、業績不振の中堅企業を突然引き継いだ場合、業績を伸ばすためにやることを書いてみました(あらゆる企業で、あてはまるかどうか分かりませんが)。
経営サイクルを回そうと決める~ちまちましたことからスタート
おおむね経営サイクルを回すために、具体的にすべきことを決めます。ため息が出るほど小さなことばかりですが、「分相応」という言葉があり、私には大胆な方法は取れそうにありません。まずはここからスタートします。
1.まずは、ちょっとがんばって社員の給与をアップ~覚悟の昇給
売上をすぐ上げるのはまず無理です。たぶん無理。ですが、ちょっとしたコストダウンを行う前提で、社員の賞与を1万円でも2万円でもアップすることからスタートします。100名の企業なら100万円の原資で可能です。給与は低いが経費は使い放題というのは嫌いです。私なら交際費やタクシー代の見直しで、余計な経費はすぐ削減するので、賞与の原資は捻出できると思います。場合によっては自分の給与、賞与を削っても実現します。
この賞与アップで「この社長は何か違うぞ」と思ってもらえたらラッキーです。社員に評価されなくても、社長自身が努力したことで、その後の業績向上への自らの覚悟ができます。
2.トップセールスに励む~自ら売上を上げる経営者は評価される
「売上はすべてを癒す」これはダイエーの創業者、中内功氏の言葉ですが、売上を上げるのは経営者の一番の業務です。経営者として時間配分の8割は営業活動に配分します。仮に優秀な営業本部長がいても、自ら営業に邁進します。
まず着任したら最低10社、既存先を回ってみます。10社回れば自社の課題などが明確になり、その後の業務改善につなげられます。直接、顧客の話を聞くことで、社内で「お客さまが言っていた課題だ」と、後々使える説得の理由も得られます。
次に自ら、新規先の開拓をスタートさせます。既存顧客と似た顧客を数十社洗い出し、1つ1つアプローチを開始します。研修業での経験で6回ぐらい電話すれば、まず会ってはくれるでしょうから、テレアポから着手します。
業績が不振な企業は新規先開拓をまずやっていません。どこから手をつけていいかわからないのだろうし、少々自信を失っているでしょうから、経営者としての勇気と覚悟を見せることで、営業担当メンバーを鼓舞し、信頼を得ようとがんばります(私は元エンジニアですが、今でも毎日のように営業活動に出ていますよ)。
3.分不相応な販管費はカットする~合計残高試算表、伝票を確認する
決算書、特に毎月の合計残高試算表(毎月の損益計算書)を確認し、節約できるところはないかを確認します。まずは、販管費の見直しを行います。販管費は気がつけば想定外に膨らんでいるものです。原則は人件費と通勤交通費以外、ゼロを目指します。交際費、交通費、各種会費、各種手数料などは、どれを残すべきかを、伝票1枚1枚確認して決めます。
その際、私の相場観に照らし、企業規模に対して「分不相応」な交際費や経費がないかチェックします。営業利益が1億円なのに、税務上の損金算入が認められる、交際費の限度800万円を使いきっているような状況は、企業としてはまずいです。利益を全力で上げて、しっかり納税するのがあるべき姿だと思います。
また、最近は創業間もないベンチャー企業が、高級なオフィスに入っていることが多いですが、あやうい感じがします。豪華なオフィスは社員の採用に有利で、成長戦略としてわからなくはないのですが、家賃は固定費で毎月出ていくので、削減すれば赤字縮小や早期黒字化につながり、資金調達もすごく楽になります。私なら絶対そうします。
4.全社で業務改善運動を推進~「謎ルール」を率先垂範で解明、撲滅
大きな変革や改革は成果が出るまで時間がかかります。しかし、資産に乏しく、業績不振の中堅企業において、取引銀行や従業員が数年後の成果を待てるとは思いません。来月の月次損益をなんとか改善しなければなりません。私(経営者)が主導し、キャッシュアウトを少しでも減らせないか、担当者を一人でも減らせないかと考えながら、全社の業務フロー、仕事のやり方などを部署単位でコツコツチェックします。
あらゆる組織には必ずと言っていいほど、いつ、だれが決めたかわからない、生産性の低い「謎ルール」があります。こういった謎ルールを、外部の目で発見し、生産性の高いルールに変更していけば、コストダウンは可能です。私の経験では「謎ルール」廃止には、さほど抵抗はありませんでした。なんと言っても「謎」だったからです。
不振企業には、変革しようとする人はまずいません。非難を恐れず、他人任せにせず、小さなことをバカにせず私(経営者)が率先垂範で改善をスタートすれば、必ず成果が出てきます。こういった小さな改善を、ちまちまとやっていると、必ず、「この経営者は何かやってくれそう」という期待感が社内に高まってくると思います。この期待感を背に、全社を巻き込んで業績向上運動に邁進します。
5.デジタル化で業績向上を狙う~DXで組織に明るさを!
不振企業は旧態依然としていることが多いです。組織の明るさアップのためにも、今流行りのDX化を大なり小なりスタートし、将来への明るい期待を作っていきます。当然ながらDX化で売上と収益拡大を狙います。経営者がDXを理解し、最初はあまりお金をかけず、経営者自らが率先垂範でDX化を推進することが肝心です。そして、うまくいったら次世代の若手をDX人材化して、DXを組織に定着させます。具体的には以下の4点を実践します。
➀パソコンファイルのネーミングルール共通化~探索時間の削減
私が最初に取り組むのは、パソコンファイルの、ネーミングルールの社内統一です。同時に個人持ちファイルを禁止します。ホワイトカラーの勤務時間の1/4~1/3は何かを探していると言われています。ネーミングルールを統一することで、情報探索コストが削減され、あわせて属人化業務を削減できます。
(ファイル名の例)
241124 マネジメント教室原稿 業績向上(舟橋).doc
(日付+内容+(作成者)+データ種類)
インソースでは、すでに実施しており、ファイル名共通化で、年間少なくとも人件費で4億円削減ぐらいの効果は、出せているのではないかと思います。小さなことですが、効果は絶大です。営業部門や管理部門の若手から喜んでくれるはずです。
➁ネット売上を作る~社長自らECで「直売」をやってみる
次に、今の商材やサービスのネット販売を実施します。インソースの創業期、自分でHPを作り、メルマガを書いた結果、Web経由で問い合わせがもらえるようになり、だんだん売上が上がっていきました。HP作成のコツは、4Pをしっかり記載することです。製品・サービス内容だけでなく、価格、購入方法、現在のお得なキャンペーンなど、しっかり文字や数字で記載するのが重要です。
加えて、事業ポリシーを、社長自ら徹底的に書くのがオススメです。文章が苦手ならライターに依頼するのも手です。また、ECの販促策として、社内にある名刺の顧客情報を廉価なソフトを活用して全社で集約し、お客さまに定期的にセールスメールを送付し、ECの売上を増やします。既存の営業戦力を使わない売上向上策は、社内外の評価につながると思います。
➂在庫を見える化でキャッシュフロー改善
メーカーや販売業なら、在庫管理をGoogleやoffice365活用でオンライン化して、全社で情報を共有し「見える化」します。適正在庫はビジネスチャンス確保とコスト減の両方に効きます。過剰な在庫は会社のキャッシュを蝕み、過少な在庫は売上を蝕みます。簡単な改革ですが、キャッシュフローの改善に大いに寄与するはずです。
➃若手従業員をDX化の主役にする
DX化をうまく推進する中堅、中小企業は、若手社員にDXスキルを身につけさせることで、組織全体のDX化を着実に実現しています。私は元SEですが、60歳を超えた今、新しいDXにハイスピードで対応する自信は全くありません。若い力はDX適応力がすばらしく、学歴など関係なく、20代は40代より3倍ぐらい覚えるスピードが早く、ExcelやPython、Web制作などDX関連スキルを覚えていきます。
中途採用で業務が分からないIT専門家を探すより、自社業務に精通した20代や30代の社員を、DX担当者として育成する方がコスパが良いので、私が着想したDX活用策を若手にやってもらいます。そうすることで社内活性化も行っていきます。
以上が不振中堅企業に着任した際の、私の行動案です。ご参考になれば幸いです。
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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)
1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。



