銀子の一句インタビュー ダイバーシティ推進研修を訪ねる~|シルバーWEBライター銀子さんの研修川柳

多様な人と普通に働くために


銀子

ダイバーシティという言葉もだいぶ耳慣れてきましたが、一般にはどの程度進んでいるんでしょう?


I氏

一口にダイバーシティといっても、内容は多岐にわたります。一般には女性活躍やシニア・障害者・LGBTがよくあげられますが、外国人や持病のある方なども含まれます。また複合的な場合もあり、多様です。研修についていえば、ここ3~4年は女性活躍推進のテーマが多かったのですが、社会状況を反映してか最近はシニア関連も増えています。

銀子

少数派といわれる人々を支援する制度もいろいろあるようですが、自然に生まれる人間関係の信頼レベルでは進展しないのでしょうか?制度化が「組織に対する好感度UP」に貢献するだけで、中身が伴わないということはありませんか?

I氏

そういう場合もあるかも知れません。本当はわざわざ制度化しなくても、多様な人が人間同士の信頼関係をもって、普通に暮らせる働ける世界が一番いいのですが、理想と現実にはやはりギャップが存在します。
ただ、制度化は社外からの好感度・信頼度アップだけでなく、「社内に対して公平公正な適用基準を示す」ということでもあります。また、求人の際の判断基準になったり、労使のための安心のルールでもあったりと、様々な側面があります。

理解の次を行く「一体化」


銀子

なるほど。ダイバーシティは頭ではわかりやすく共感しやすい概念だと思いますが、どのように実施すれば良いのか、悩むところですね。


I氏

そうですね。そこで今は個人の多様性を認め理解するダイバーシティだけでなく、“包括して一体化する”という意味の「インクルージョン」を合わせて、ダイバーシティ&インクルージョン(diversity&inclusion)と呼ばれ始めています。多様性を認め歓迎するだけではなく、「多様性を活かし企業の戦力として包括する」ことが大事という考え方です。
ダイバーシティ推進の本来の意義は、多様な人材を活かして組織力を上げること。就業者にとっても精神的な理解を得るだけでなく、正当な評価による社会貢献を果たすことにあります。

銀子

素敵です。研修でも、本来の意義でダイバーシティの勉強が必要ということですね。

I氏

インソースでは創業当時から多様な人材の活躍を提唱し、先入観を排した考え方で研修を作ってきました。ダイバーシティ関連の研修についても、一般的に心情的な面ばかりを強調する研修が多い中、インソースでは精神的な支柱に加えて、どのようなコミュニケーションや指導、管理が必要で適切かなど、具体的で実践的なカリキュラムを組んでいます。

銀子

まあ。先進的ですね。長年フリーライターだった私は多様な人々と会う機会が多かったせいか、人の属性の違いが障壁になっていると感じたことはありません。またインソースに入っても差別を受けていないので、あまり実感が湧きません。気のせいかな?

I氏

あはは。自社の話で恐縮ですが、インソースは特別かもしれません。女性の登用も多いですし、個人の事情にもフレキシブルに対応してくれる、働きやすい組織だと思います。でも、何の想いも努力もなしに、この社風が根付いたわけではありません。
まず、創業時からの想いのひとつに「仕事はできるようになれば楽しい」というものがあり、あらゆる人が「自分にもできる!働くって楽しい!」と思える社会の実現のために、研修を開発してきました。属性や価値観を問わず、あらゆる人に働く喜びを感じていただくサポートをしたいという想いは、ダイバーシティの推進につながるものがあります。
現実にインソース社内には、ダイバーシティに該当する社員が何名もいますが、誰も特別視していないはずです。日常的に仕事仲間として普通の人間関係を重ねてきたことで、今のフラットでオープンな社風があるのだと思っています。

ダイバーシティ&インクルージョン実現への要件


銀子

「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現させる秘訣は何でしょうか?


I氏

まずは、経営層が毅然としてその重要性を示し、自ら行動することです。そしてその考えが全社に浸透すれば、実現は難しい事ではありません。当該者や周囲の社員がごく自然に環境を受け入れ仕事に専念できれば、ダイバーシティもインクルージョンも実現したと言って良いでしょう。

銀子

相乗効果による成果が出れば、ますます仕事が面白くなりそうですが、これからの課題は何でしょうか?

I氏

やはり、新しい価値観に対する適応でしょうね。受講者の声で圧倒的に多いのは、「同じ仲間として理解したい」「偏見はもたない」などの感想です。しかし、新しい価値観を受け入れにくい方々がいるのもまた事実です。

例えば、管理職向けの「女性活躍推進研修」でのこと。受講者の男性から「なんで俺が受講しなきゃいけないの?」「結局、男じゃなきゃダメなこともあるんだよ」などの声が出ました。一方、女性を対象とした「女性管理職養成研修」では当の女性からも「下駄をはかせてもらって昇進する意味があるのか」といった疑問も出ました。気持ちの切り替えは簡単ではなく、変革は一朝一夕には起きません。じわじわと進む、グラデーションです。一見すると活用されそうもない制度、現実的ではないと思われることも、まずは「理解しようとする」ことがダイバーシティ&インクルージョンの第一歩になります。

そのための良い例が、心情的な啓蒙ではなく具体的に学ぶ研修です。新しい価値観への適応は、企業成長のためにコストを投じるべき社命であり、社会の新基準にもなることです。そういう意味で、この研修には大きな意義があるんです。そして最後は人と人との間に生まれる尊重の関係、「お互い様」の気持ちがダイバーシティ&インクルージョンを普遍化させます。

銀子の眼

緑のモヒカン・顎ピアス・日本語ペラペラのアルゼンチン人・超元気な病人・常軌を逸した堅物ダークスーツ...いろいろな知人がいた私にとって、外見や属性には大きな意味がありませんでした。さまざまな違いを持った人や知らない世界と、仕事を通じて出会うなんて、社会生活は面白いですね。

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